【感想・ネタバレ】家族終了のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

上野千鶴子さんの「女ぎらい ニッポンのミソジニー」を読んでいて、たくさん引用が出てくくる中に酒井順子さんが出てきたので読んでみました。「家族終了」というけっこうインパクト強いタイトルに惹かれて、小説かと思って買ったのですが、エッセイだった…エッセイって好んで読まないので「しまった」と思ったのですが、まぁ、とても面白く、色々と心に刺さりました。
文体が独特で、語尾が短く簡潔で私は好きです。他の方のレビューを読んだら文体が嫌いっていう人もいるみたいですけど。
著者は私の10歳年上。ご自分の両親のことも赤裸々に(というほどでもないか?)つづられているが、私自身のことや、私の両親と重ね合わせて読んでも世代的にそんなに離れていないので、共感することが多々あった。
私や著者の母親世代は、女性が仕事をして社会で能力を発揮することができず、家族のために無償労働をして当たり前だった。だから娘にも同じことをさせようとする母、娘が男性と対等に働いてキラキラ輝くのを嫉妬する毒親もいるらしいが、著者の母は「結婚したら家事をしなくちゃいけなくなるから今はしなくていい、好きなことをしておけ」と、家事を教えてくれなかったそうだ。私の母も全く同じことを言っていた。そして私が男性と対等に働いて、30になっても結婚せずに好きなことをしているのを羨ましがって「私もあなたのように生きたかった」と言っていた。そのまま結婚しなくても本当に良かったのかどうかはわからない(今度聞いてみよう)。
家族にまつわるあれこれを、完全に部外者として、しかし「家族のいる人は大変ね、私なんて独り身だからラクチン」と見下すわけではなく、かと言って必要以上に自分を卑下もしすぎず、部外者だからこその鋭い視点でつづっている。
私がすごく共感したのは、家族でディズニーランドにいかねばならぬ(子供を連れて行かねばならぬ)と、出かけて行って、廃人のようにくたびれて帰途につく人々を観察したくだり。私も絶対に家族でディズニーランドに行ったりはしたくないので(笑)。夫が行こうと言い出したらこの章を読ませようと思った!
40になっても親に心配されてうれしかった思い出や、皇后雅子さまに関することなど、うんうん、とうなづきながら読みました。
最後の方は、事実婚やLGBTのことなど、現代は様々な家族の形があって良い…という流れになっていき、私もその通りだと思う。しかし実際は日本の政治家が保守的すぎて選択的夫婦別姓でさえも認められず、法でしばられた同姓を名乗る夫婦だけが正しい家族!とされている。はっきり書かなくてもそれが少子化につながっているのだな、と腑に落ちる書き方で、すごく納得させられた。
酒井順子さんの他の著書も読んでみたくなったが、最初に書いたように上野千鶴子さんがいろんな方のいろんな著書を引用しているので、あれやらこれやら、読みたい本がたまってきました。どれから読もうかな。

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2023年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

しみじみと、年を取ったなあと感じた。これが同世代のありがたいところだ。自分では書けないけど、言語化してくれる稀有な著者。ケアされることをこの人がどう描くか、楽しみ。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

酒井順子氏は独身である。子どももいない。
(同棲はしているのでカップルではある)
だから、夫婦や家庭が解散するとか、そういう話ではない。
家とか、家庭観とかをいろんな角度からみていて
自分の思っていたことを言語化されたり
気付かされたりとかする。
ちょっと頭をかすめていたことを、びよーんと延ばされて意識させられる感じ。

娘が夜遊びしても、思春期という短い時期をめいいっぱい楽しんでほしい
という姿勢は素晴らしいが、マネできるかな。
という親の視点や、
60代の親に「高い舞台から落ちないか」と心配される喜びを感じる40代の子の視点。

第一次産業で家庭や地域の役割が、
技能継承や所得の継続の意味で大きかった時代がかわり、
今は個人の職業は多くは家庭からは離れている。
そんな中、家庭の役割に重きをおき、選択的夫婦別姓すら認めないという国の姿勢は、
時代の長れからは、非常にずれていると改めて感じた

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2022年05月15日

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