【感想・ネタバレ】撤退論のレビュー

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Posted by ブクログ

現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。

撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを意味しているということである。

難しいと考えているシステムの転換は、現代のシステムの思考の中て考えているから。

そのためには、イメージから先に変われ。かえ?とは、目標わ着地点をへんこうすることではなく、現在流通している思考や、言葉遣いそのものを変えるということに他ならない。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。

そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。

この「まえがき」と白井聡と平田オリザの論考が、特に優れている。この三箇所だけで、この本は⭐️5つだ。

白井聡はあまりにもハッキリとこの本で、誰もがそうではないか?と薄々気づいていたことを明らかにした。「われわれは根本問題の所在をはっきりと認める必要がある。日本の政治が見るも無惨な状態にあるのは、官僚機構が、あるいは政界が劣化しているからだというよりも、そうした堕落を許すどころか、腐敗堕落した勢力をわざわざ選択し、それに権力を与えている有権者の無知と堕落のためだ、という事実が正面から認められなければならない」

とうとう言ってしまった(笑)
ここを読んだ時間が寝る前だったので、その日は寝付くことができなかった…。白井さん!

平田オリザの指摘も示唆に富む。
西洋のリアリズムを情緒、感傷的に読み変える日本文化。
この甘美な情緒が産むものは何か。

せめてソフトランディングできたら、と願う。

兪炳匡の「プランB 」が少しでも実現できたらと思うが、この国はできないだろうな…。
兪さんの指摘、「著者が懸念するのは、現在の日本で生まれ育った人が、欧米諸国に留学ないし就職する際に、『基本的人権の尊重は建前であり、本音では揶揄・否定しても構わない』との言動をとりかねない」こと、さらに、「個人を評価する時に、日本では、仕事をする能力と倫理観・価値観を『足し算』によって評価」するが、「欧米での評価方法は、『掛け算』ですので、差別発言がある限り、高い研究実績を乗じても0以下になり」、「特定の大学だけでなく欧米の大学・政府組織・企業から永久に追放されます」は重く受け止めた。
つい最近、映画人をはじめとする文化人のセクハラに関して、その作品までも追放するのか、という発言が、なんと新聞にまで登場したことが思い出される。
言論人でさえ、足し算に疑問すら持たず、掛け算の発想すらない、その程度の知性が新聞をつくる国なのだなと思う。

今回の「撤退」に関するアンソロジーは、しみじみ読んでよかったと思うが、しみじみ悲しくもなる。

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2022年06月01日

Posted by ブクログ

涙あり、衝撃あり。15通りのメガネをかけさせてくれる、とても有意義な一冊。
一人ひとりの論考をじっくり味わいたい、でも面白すぎるし文章の量も程良いのでもう1人読みたい、もしくはこの人の別の著書を早く読みたい、そんな気持ちになった。
新しい時代がそこまで来ている、そんな予感がしてくる。

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2022年05月30日

Posted by ブクログ

内田の依頼に応じた識者たちが人口減少の日本の撤退論を語る。



それぞれある意味好き勝手に持論を書いている。

これをここでまとめても意味はなかろう。

自分の思う「撤退論」を書くことにする。

識者の意見に影響を受けつつ。



人口減少は先進国共通の現象であり、これを避けることはできない。

異次元の少子化で児童手当増額などといいながら、

扶養控除を廃止したり、社会保険料を増やそうとする政府の愚には呆れる。



彼らにこそ撤退論が必要なのだ。

高度成長時代の、人口増加時代の仕組を変えようとせずに小手先だけの政策を行う。

前例に倣うことしかできない。

更に省益優先、OBの天下り先優先で国有財産を財団法人に抱え込む。

違う仕組みが必要なのだ。1年で50万人が減る国には。

それができないのは、今の仕組のままの方が都合がいい輩が政府、財界の多数派を

占めるから。何年か何十年かは持つかもしれないが、その多数派はどんどん減る。

そして皆が貧しくなる。このままの仕組みでは。それは見えている。

だって確実に人口は減るのだから。増やすには移民しかないのに、それは拒否するのだから。

絶望しかない。

撤退論、必要だ。

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2023年05月29日

Posted by ブクログ

各界の著名人から内田樹氏が撤退について執筆を依頼し、まとめたもの。各専門分野からの種々の視点でどう考えているのかが分かり面白い。

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

資本主義的な競争では敗北した日本だが、現状はまだ物価が安くて住みやすい状況にあると思う。
経済的な敗北を敗北と思わずに、実質的な豊かさを手に入れられる社会を作れるかが課題。
私有から共有へ、共有する資産を豊かなものにしていきたい。

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2022年10月23日

Posted by ブクログ

以前、立ち止まって交通整理することが必要ではないか、+はわかりやすいけど-が評価されにくくて敬遠されるというようなブログを書いていたので非常に興味深い題材でした。
いろんな人が寄稿しているので中には読みにくいものがあったり、何を言ってるのか、何が言いたいのかがよくわからない人もいたけど、いろんな考え方があって面白く、中でも青木さんや想田監督、平川さんなどは近い考えで興味を持ちました。
障害とは、健常とは、健全とは?頭が悪い、コミュ障、ノンデリ、自我の喪失、倫理観の欠落などと障害の差は?ふだん考えていたことが青木さんによって明文化されていました。
常日頃、「誰が」という点に注目が置かれ、その中身に対しては二の次三の次だと感じることがあったが、政党名の威力がわかる調査結果はわかっていたとしてもやはり衝撃だった。
私はよく岩田さんに共感することがあるんだけど、冷淡な人だと思われがちだというのを見て、自分も「冷めてるね」って言われたことを思い出した。笑
ここでもうんざりするどころか、そうだよね~って思いながら読んでいましたよ…。
アジカンのゴッチまで寄稿している幅広さにびっくり。
みんながすべきことを人に求めるんじゃなくて、1人1人がわからないなりに自分にできることを考えるのが大事だと思います。
先に目指す方向性があって、そのために何をするかって話であるので、ゴッチの考え方にもとても共感しました。
終わり方や書き方の形式も独特で面白かったw

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2022年10月20日

Posted by ブクログ

内田樹さんの寄稿の依頼文をネットで読んで「撤退論」を手にした。岸田総理らの相変わらずの成長「必至」論は具体策も展望も欠くが、国民の側に立つはずの経済学者金子勝さんでさえ成長を説く。なんで目をつぶっているんだろうかと思う。
16人の中では初めて知ったユウヘイキョウさんのプランBがよかった。探して読んでみたい。

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2022年06月12日

Posted by ブクログ

編者の内田さんは言わずもがな、斎藤さんもユウさんも、その単著では、まんま撤退について論じていたので、本作の内容も推して知るべし。その上で、個人的にもいかに撤退をソフトに行っていくかに興味深々だし、本書を読まない訳にはいかない。政治・経済などの大枠から始まり、だんだんそれぞれの専門分野へと視界が移っていき、最後にまた大きな枠に戻る、みたいな結構。撤退≒縮小を論ずる以上、広い視野の方がベターということはなく、それぞれの観点から興味深い撤退が語られる。どういう撤退が可能で、望ましいのか、立ち止まって考えるきっかけになる。

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2022年05月09日

Posted by ブクログ

少子高齢化社会でも経済成長を続けることは、お米が足りないのにおにぎりをもっと作れって言ってるようなものなのかな。無理よね。
まず、無理を認めること。
それから、資本主義社会の外の世界があることを知り、体験し、その世界の間でバランスをとっていくことが鍵だと思った。


・大切なことを持続させるために、我々はこれまでの手法からの撤退を学ぶべきなのである。
・社会の内と外、此岸と彼岸、文明と自然、常識と非常識などなど、二つの原理を行ったり来たりすることで、問題を「なんとなく」暫定的に解決する。これが地に足を着けることである。
・現代における下野とは、他社のニーズを全く気にせず、とにかく徹底的に主観を認めることだと言えます。
・僕らが生きている時間の中には、大きく分けて二つの相があります。ひとつは必ず前に進む「文明の時間」、もうひとつは循環し回帰する「自然の時間」です。猫には、循環する時間だけが流れているのです。彼らにら「進歩」の概念がない。

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2023年06月17日

Posted by ブクログ

撤退論。例によって内田樹から寄稿依頼された面々が思い思いに「撤退論」を論ずる。勢い、流れで私も持論を述べたくなるが、テーマ幅広し。一人一人に割かれるページ数が少なく浅い。興味深いのだが〝好奇心のインデックス“程度の本だ。

切り口がそれぞれ。女性疫学者の三砂ちづるが、撤退の英訳withdrawalを、これは膣外射精という意味にもなるが、人口問題に絡めた性行為の撤退として私感を述べていた。少子化問題に対し、避妊を教育する自らへの疑問、近代化され、そもそも性行為の数が減っている事への警鐘。映画やドラマは見るもので、情報化・計画社会により、日常の起伏が減るように、恋愛や性行為がバーチャルのファンタジーに封じられ、自ら演じるものではなくなっていく。

『マニフェスト選挙を疑え』堀内勇作が示した政党名を隠して政策支持を問うた場合の結果と、自民党の政策と記して同内容の支持を問うた場合、自民党補正がかかり、支持率は政策に関係なく上昇する。民主主義からの撤退に触れた、白井聡。成田悠輔の論説を見聞きして以来、民主主義の膠着化は私の中で決定的になりつつある。成田悠輔と言えば、斎藤幸平(私の中では)。本著でも、資本主義からの撤退に軽く触れる。

想田和弘。映画監督らしい、がどんな映画かはよく知らない。本著に書かれた内容が胸打つ。
ー 直進する文明の時間に生きるのではない。猫は毎日毛づくろいして生きていく。効率よく毛づくろいするための工夫をするわけではない。循環する時間だけが流れていく。直進する文明の時間から撤退し、循環する自然の時間と共に生きていきたいと、無意識にせよ、体のどこかで感じていたからなのだ。

文明からの撤退。加速しないで欲しい、毎日の合理性や経済。意識低い系で世界全体、談合しながら滅びていければ、そこに幸福の真理が見出せないものだろうか。晴耕雨読。昨日と変わらぬ毛づくろいをしながら、日々、生きていきたいのだが。

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

内田師範のお話以外あまり面白くありませんでした。面白くないのは、たぶん、書いてる人たちの表現力が頭良すぎて何がいいたいのかケムに巻かれたような気持ちになるからかもしれません。

わかりやすすぎるのも、あれだし難解すぎるのもちょっと。

正直に申し訳ございません。

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

面白いのに、読みきるのに時間がかかってしまった。
総じて皆様が仰っているような、ユルい撤退を早いところ社会全体で開始したいと思うのだけど、
いったいどうすればよいのか。方向転換せずにいたら、みんなで崖から落ちることになるのに。

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2022年12月13日

Posted by ブクログ

撤退についての、さまざまな論者からの寄稿
それぞれでいろんな発見も、驚きも
(少し誇張しているのかもしれませんが)
ありました。

撤退の困難さはいろんなところで感じる昨今です。

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2022年10月11日

Posted by ブクログ

撤退論 内田樹編 晶文社
歴史のパラダイム転換に向けて

題名に惹かれて手に取ってみたけれど
前書きを読んで学者の限界を感じた
まず仲間内で先生と呼び合うのをやめてからにしてほしい
少子化がいけないと決めつけてからの話では
答えが出ないだろう
問題は噂されている
権力を振りかざしている側の都合で
子化を作り出して不安をばらまいていることの真偽を
確かめることが前提だろう

識者とされた多くの人が原稿を寄せた中で
唯一面白く読ませてもらったのは
『個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か』
というタイトル始まるお話だ
広い目線で現代文明が陥っている
物質至上主義の問題の急所を捉えている
いやもう一つ
夫婦で語る「撤退女子奮闘記」と「撤退のマーチ」が面白い

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2022年10月06日

Posted by ブクログ

「撤退論」と銘打ったにしてはちょっと散漫かなぁ.
撤退だかなんだかわからないのもあったし.個人的にパラダイムシフトを起こす様な論説は,残念ながら一つもなかった.

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2022年06月05日

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