感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ものすごく、素敵な物語でした。
高校生のころ、「おもしろい」ヤツに憧れて新宿のルミネtheよしもとを度々訪れ、芸人さんたちの生の漫才を楽しんだ日々を思い出し、懐かしい気持ちにもなりました。
売れない芸人が、新たな相方とスタートを切り、売れるようになってゆく、というサクセスストーリーは、決して珍しいものではありません。
けれど、主人公のお笑いへの熱意、新たな相方として75歳という遅咲き過ぎるデビューをはたしたクセの強いおじいちゃんのキャラ、おじいちゃんの家族が抱える問題など、物語の中で描かれるそれぞれのエピソードがグイグイと本の中にひきこんでくれます。
漫才のシーンも臨場感があって笑いを誘いますし、舞台から降りたあとの2人の掛け合いも微笑ましいです。
辛いこと、苦しいこと、恥ずかしいこと、怒りを覚えること、生きている中ではしんどいことも少なくありませんが、「笑い」は世界を変えるのだということを改めて感じさせてくれました。
ラストシーンでは思わず涙がこぼれそうになりました。会者定離とはいうものの、やはり切ない。
でも、とても心温まるいい読書でした。
最近、本を読む時間がなかなか取れていなかったですが、久しぶりに読んだ本が本書で良かった、と心から思います。