【感想・ネタバレ】泣いてちゃごはんに遅れるよのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

著者の方がどういうひとなのか、前知識がないまま読みはじめた。
東京の編集者だからアグレッシブなのか、この方が特別チャレンジ精神があるのかわからないが、華やかな都会の思い出話には少し萎縮してしまう。
ただ上京したの話は、自分の体験も思い出して胸がギュッとなった。希望1割不安7割楽しさ2割、みたいな、あの頃のなんとも言えない気持ちはまだ覚えている。

全体として働くことへのプライド(それが家事であっても)が感じられ、自分もがんばろうと思えた。

0
2023年06月23日

Posted by ブクログ

巧い文章を書くエッセイストさんですよね、寿木けいさん。
収録されたエッセイの順番も、よく考えられています。

レシピ本での、その紹介もお見事な日本語だったので、期待していたけれど、
それを大きく上回る内容でした。早くも2022年のBESTにノミネートです。
(順位づけすること自体がナンセンスだけど)

【本文より】
・知らんぷりというなの横着が、次に使う相手を苛立たせる。小さな苛立ちも、積もれば魔物になる。

・『血が、涙が、汗がデザインできるか(東京都現代美術館)』

・工夫や茶目っ気、はにかみ、やりくり。移り変わりのなかでどうしても見逃したくないと思ったそれらの、小さな景色を書き留めている。

・しかしそのあいまいさを支えているのは、無数の本当の手触りなのである。

・探しものはなんだって、一本道をゆくものではないこと、もう、じゅうぶん承知だ。

・庇護してくれる男のもとへではなく、自身のねぐらへ帰って、明日のために眠る

・強がって壊してしまった関係や、自覚しながらも傷つけたひとのこと。

・《仕事の合間に子育てをする生活は嫌だ》

・自分だけではなく、善きものを振りまいてまわりの誰かも喜ばせることが、女はうれしい。

・立っているだけで褒められるのは、初めてだった。それだけでうれしかった。

・拾い拾いしながら歩いてきた。やりたいこと、できること、わたしににかできないことのどれかを、そしてできれば3つとも満たすものを、いつも探している。

0
2022年09月25日

Posted by ブクログ

よかった。
これまでのこの著者の本とは一線を画す。
覚悟を決めたな、という感じ。
2022.3.31

0
2022年04月03日

Posted by ブクログ

時間をおいて再読することはままあるけど、読み了えてすぐに読み始めることはまずない。ただ、寿木けいさんのエッセイだけは別。

サーキットトレーニングよろしく初読・再読の2セット読みすることで味わいが深まることは前作『閨と厨』での経験済み。グルメ雑誌風にいえば滋味深さを堪能できる。

著者のエッセイは、落語の三題噺よろしくいくつかのエピソードや記憶の断片を挟み込み、それぞれの話は屹立しながらも絶妙に絡み合う。定食に添えられた手抜きのない副菜だけでもご飯が食べられてしまうようなオモウマイ エッセイだと断言できる。

例えば、自身のエッセイの書き方を語ったエッセイ〈かまどの神様 -自己紹介に代えて-〉はこんな構成。

起:編集者時代を回想
段取り上手から『ダンドリータ』というあだ名が付けられていた。

承:結婚後の段取り
家の切り盛りは仕事の様にはいかず、夫といさかいが起り、ホワイトボードにTO DO LISTを記すことに。〈共働き×子ども2人〉の家庭において重要なのは見える化する事。夫の目にも止まるべく台所、それも冷蔵庫に装着し、ハウスマネジメントを共有。

転-その1 台所
料理家でもある著者は台所は主戦場。そこでは時に歯を磨き、俎板を横に追いやり原稿を書いたり、考え事に耽ったり…。そんな自分を終始見てるのは台所の安全を司る荒神さんとお札。

転-その2 お札
アートディレクターの石岡瑛子のエピソードを想起。火の用心の御守りを台所に貼っていたことに驚く。自信家で赤を勝負色と語ることとは真逆にも思えるが、その実は…。石岡瑛子の心に熾る火柱に精神性を考察。

⑤結-再び台所へ
文筆家として、その手法を明かすことを由としないが自己紹介を兼ね手の内を語る。冷蔵庫に貼ったホワイトボードにはエッセイのキーワードを書き付け、3つ揃えばもうそのエッセイは書けていると。
それが私の段取り…と書き出しのダンドリータに繋がるサゲ。

闊達なエッセイだけに、書くうちにふと気づいたりそういやあんなことあったよね的に想起したことを挿入していくフリージャズのような即興的スタイルで書かれる方かと思いきや、あにはからんや。そこには周到な準備と発酵とホワイトボードへの一瞥。

今回の感想は内容をそっちのけ、時間を忘れて読み耽ってしまう彼女の文章・文体にフォーカス。

接続詞の使用は最少、話の変わり目は時に転調激しいのに極めてシームレス。ギッコンバッタンのない最適なサスペンションが装備された読み心地。

腹落ちと腹持ちのいい上質エッセイ。騙されたと思って読んでいただきたい、超オススメの一冊。

0
2022年03月30日

Posted by ブクログ

どんなことどもも、糧にできるか。喜びも悲しみも悔しさも。日々の失敗も楽しみも。糧にできれば、揺るがない土台ができるんだろうな。揺るがないというか、どんな揺らぎも吸収してしまうような土台。
すっくとした立ち姿を想像させるさまざまな情景を読んで、ますます、敵わないなあ、と思うけど、そう思いたくて、また読むと思う。

0
2023年07月12日

Posted by ブクログ

文書から作者の凛とした生き方を感じるエッセイ。
母、妻、女性として、軸をしっかり持っていて、辛いことも悲しいことも乗り越えてきた強さがある。
でも、強さの中に弱さがあることをきちんと認めていて、そんな自分でもいいんだと教えてくれる。
作者が経験してきたことは、まわりから見たら、ヘビーなことだと思うけど、そう思わせない文章で書き綴っていて、巧いと思う。
そんな作者のお母さんもとても逞しい女性だと思った。

0
2023年04月29日

Posted by ブクログ

文章においては私は素人ではあるが、イチ読者として文体とか言葉のチョイスには作者のセンスが出ると思うので、それも楽しみながら様々なジャンルの本を読むようにしているが、すごくセンスの良い美しい文章を書かれる方だなというのが1番の印象。
読んでいて心地よく穏やかで優しい日常の情景が思い浮かんだ。
この本のタイトルにも繋がる、最後の二つの話で思わず涙してしまった。
涙に対する捉え方はむしろ逆だったので、新鮮だったしそういう強さも持ち合わせた人になりたいなと思った。

0
2022年05月21日

Posted by ブクログ

食べ物とエッセイが好きな私に友人がきっと好きだと思うよ~と勧めてくれた本。
著者の寿木けいさんの自分にはない丁寧な世界の切り取り方とその表現の仕方、そして端々で感じる自分の生活の手綱は放さず、自分でコントロールする強い意志がとても好きでした。
印象に残った箇所、フレーズを以下メモ。
・神保町「兵六」の15分進んだ時計に気付いたときに、「春の風がふわっと吹いた」-どんな風が吹いたかも、どんな気持ちになったかも分かる!大好きな表現
・お姉さんからの東京の駅のしおりに、東京出身ながらに共感。小さい頃感じてた東京の難しさ、すっかり忘れてたなぁ
・「庇護してくれる男のもとへではなく、自身のねぐらへ帰って、明日のために眠る」
・一年の中でもバタバタしがちな師走に、時間を贈り合い一年を労う夫婦-かなり素敵、我が家でも採用したい
・「時間のひだ」-考えたこともなかったが確かに時間をひだって表現するのはしっくりくる
・その商売ならではの気働き-私もちょっとしたこと、でも相手を想った気働きを仕事でしていきたい!
・人生のときどきで武器になりそうなものを拾ってきた
・「生きることを人まかせにしたくないという、私の、私に対する律義さ」

私もこんな風に生きていきたいな~と憧れちゃいました。

0
2022年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古い見方と新しい見方を両方兼ね備えた視点で、日常について記したエッセイ…かな?すごく良かった。日々思うような葛藤などが記されて。

ただ1つ思うことがあるとしたら、娘さんの話は、もし娘さんの目に入ったら悲し思われるんじゃないかなと。それだけです。すごく読みやすい本だったからこそ、その事が独り歩きしそうで…。もちろんプライベートな中、折り合いをつけているかとは思いますが、個人的には少ししんどくなりました。

0
2022年03月18日

Posted by ブクログ

よりよい自分であること。そこに人や生活との向き合い方が組み込まれていること。自分の状況、気持ちと周りのことも考えて、実践していく強さを持つ人は美しいな、と思う。

泰然という言葉が印象に残る。落ち着いて物事に動じないさま。
それは、きっと生きていくなかで身につけていくものなのでしょう。こうなりたいという願いから始まること。この本を読んで、いくつか願いを見つけたりした。

装丁も素敵なので、本をめくって、読み終わってからブックカバーもめくってほしい。

0
2022年03月06日

Posted by ブクログ

タイトルは沢村貞子氏のエッセイ「私の浅草」に登場する母の台詞。
長女誕生にまつわる困難と共に紹介されている。
子供の前では涙を見せない。家事をしていれば涙も忘れられる。

個人的には、過去のネガティブな感情や些末な出来事に対して、長々と書いている部分が多く感じられて好きになれなかった。

0
2023年03月24日

「小説」ランキング