【感想・ネタバレ】古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛までのレビュー

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秦漢期を想定した古代中国の一日を体験する形式をとり、衣食住から性愛にいたるまで当時の日常生活を再現する内容。読むことで間違いなく古代中国についての解像度が上がる。典拠も巻末注にまとめられているので非常に有用な一冊。

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2022年12月08日

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官吏はルックス採用が多く美男子の要素の一つは髭であり、髭を剃っているものは宦官や犯罪者とみなされた。
髭を剃る刑罰があった

庶民の多くが氏を持つようになったのは紀元前前後
気軽に名字を変えた
家族などの親密でない他人を名で呼んではいけなかった、特に皇帝の場合は公文書にも使ってはいけなかった
姓+官職・役職名

地図は北が下、南が上
郡>県>郷>里
中国北部は人口密集地帯、南部は過疎
普通語や共通語の概念がなかった
長江流域は鬱蒼とした森林に覆われて今とは生態系が異なっており、象が生息していた。また在任や民がそこに逃げ込めば捕まえるのは難しかった
毛先から魂が抜けてゆくと信じて毛先を隠していた
髷を結い身分に合った冠をかぶっていた

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2022年09月16日

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古代中国で、人々がどう暮らしていたのか。
膨大な資料から生活習慣に絞って集大成した十年がかりの労作。
古代にタイムスリップして一日を過ごしてみたら?
といった体裁でまとめられていて、ユーモアもあり、読みやすいです。

秦や漢という大国がすでにあった頃、何百年にも及びますが、ほぼ紀元前という。
ドラマでは現代感覚も加味してあるので、いや、ここまで豪勢じゃないでしょ、精巧じゃないでしょ?と思う面もあるけれど、既に多くの書物があり、法律があり、文化があったことも事実。
で、日々の暮らしの実態は?

皇帝は早朝に起き、えんえんと案件を審査する。
朝起きたら口は漱ぐが、歯を磨くというところまではない。
近年特定されたばかりの曹操の墓でわかったことでは、曹操はかなり歯が悪かったとか。
ただ意外と虫歯がない人もいたようで、それは食事が現代と違い、虫歯ができにくい内容だったからだそうです。

イケメンは採用されやすく、それというのも容姿は能力の内と考えられていたから。
毛先を見せては生命力が吸い取られるという考えがあり、髪はまとめて小さなお団子にして留め、冠をかぶせるのが正装だった。
名前を呼ぶのは君主か親ぐらいで、親しくない人が呼ぶのは非常に失礼に当たる。
役職名か、字(あざな)で呼ぶのが普通だった、など。

意外と現代に通じることも多く、生きる喜びは似たようなもの、同じ人間なのね~!と思いつつ、全く違う感覚もある。
とても面白かったです☆

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2022年09月16日

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タイムスリップ形式で読みやすかった。
一日の生活を通して、政治・経済・文化…いろんな側面が見えるんだなって実感できた。
文化史導入として「一日」を知ることから始めるの、なかなかいいかもしれない

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2022年08月18日

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ネタバレ

ともかくすごい。あっちこっちから引っ張ってきてこれだけみっちり再現してしまう。カンセキならでは。よく拾ってきたよなあ。漢代あたりが中心なんだが、読んでたら陶淵明がどんなに暮らしてたのかとかふわふわと気になってきた。悠然として東の垣根の下の菊をとるときの格好とか、彼は大金持ちの貴族で落魄してるんだから食べ物は問題なかったろうとか、四合院すでにあったのねとか。明器とか。見事なはりがたとか。

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2022年06月07日

購入済み

素朴な感じをたたえた拓本や模写

以前「古代ローマ人の24時間」という本を読んだことがあるが、本書はよく似た手法を採用した古代中国版である。全巻トリビア蘊蓄の塊であるが、古代ローマと違ってそれらトリビアが、古代中国の格言やことわざとして現代日本語に残っているので、大変に興味深い。基礎知識的な話の多い導入部はそれほど面白くないが、中盤以降、俄然面白くなってくる。文中に様々の絵が散りばめてあるのも楽しい。特に素朴な感じをたたえた拓本や模写がいい。

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2022年05月04日

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長い歴史の記録がある中国。
時間ごとの生活習慣や衣食住について知ることができる。
容姿の良し悪しについても言い難いことまで書かれていてその辺りは今も昔も変わらないもののようだ。
仕事の風景、夫婦の日揉め事や離婚、いつの時代も似たようなもの悩みがあったようだ。

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2022年04月23日

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秦漢時代にタイムスリップして1日24時間を体験するという設定で、当時の暮らしを描いていく。皇帝やその側近、官吏、有力者、庶民などなど登場する人々は様々だ。そうした人々のファッションや仕事、性愛、結婚や離婚、子育て、食事、飲酒、果てはトイレやハゲの話題まで「日常生活」が描かれている。日常に関する記述を様々な史料から見出した著者の多年にわたる研究の成果が平易で読みやすい文章や数々の図版で紹介される稀有な一冊。新書でありながら、しっかりと注記がされていて、典拠をたどれるのもありがたい。

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2022年04月07日

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まるで、異世界転生のラノベのような
ノリで書かれているが、
優れた学術書。
古代中国の暮らしが、
想像できるように表現も
工夫されている。

研究成果を社会に還元しようとする
学者の誠実さが感じられる好著。

他の時代、他の地域でも
こういう本が登場して欲しい。

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2022年03月21日

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秦漢時代の庶民の暮らし24時間を細部まで再現する。人物、出来事中心の歴史とは対照的な画期的な試み。

英雄が歴史を動かすのとは異なる、筆者曰く「動かない歴史」。朝起きてから眠りにつくまでの24時間、古代は秦漢の頃の中国にタイムスリップした読者の前に展開される日常生活を生き生きと描いた作品。

筆者の想像ではなく脚注の多さで分かるようにどれも根拠のある描写、筆者の並々ならぬ労力と引き換えにリアルな生活の息吹が読者に伝わってくる。ちょっとしたエピソードや絵、像などを組み合わせたことが成功している。

筆者によるとローマ人の24時間については作品があるようだが、中国史においては画期的な試みのようだ。

黒澤明の「七人の侍」の創作秘話で、武士の一日を描こうとして挫折したエピソードがあるぐらいなので、中国はおろか日本でも同様な作品は難しいのだろう。

新書大賞で1位は取れなかったが個人的にはここ最近の新書ではベストの出来でした。

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2022年02月11日

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中国の仙侠BLにはまっており、世界観をより理解したいなと思って読んだ。

大きな社会の流れの中で、緩やかに流されつつそれに自覚的でない民の日常史を取り扱った本。

古代中国、という括りで扱っている時代の範囲は秦・漢(殷・周にもちょい言及あり)〜南北朝くらいまで。王朝が変わった後でも民草の日常は緩やかにしか変わらない。

なので、古代以降の中国文化を理解する上でも役立つところが多々ある。

姓・名・字の仕組みとか。

実在の人のエピソードを交えたユーモアのある語り口なので読みやすい。

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2021年12月29日

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古代中国、秦漢時代の人々の生活を一日24時間で再現する日常史。
プロローグ-冒険の書を開く
序章 古代中国を歩くまえに
第1章 夜明けの風景  第2章 口をすすぎ、髪をととのえる
第3章 身支度をととのえる  第4章 朝食をとる
第5章 ムラや都市を歩く   第6章 役所にゆく
第7章 市場で買い物を楽しむ 第8章 農作業の風景
第9章 恋愛、結婚、そして子育て  第10章 宴会で酔っ払う
第11章 歓楽街の悲喜こもごも
第12章 身近な人びととのつながりとイザコザ
第13章 寝る準備
エピローグ-一日二四時間史への道
注記・・・参考文献等、驚きの盛り沢山!
約二千年前の古代中国での、人々の生活はどうだったのか?
多くの文献史料と出土資料を活用し、一日24時間で再現する。
24時間のそれぞれの時間帯での事柄を、タイムスリップした
著者が、古代中国史の知識を駆使して、体験するという内容。
夜明け前から寝るまでの、様々な仕事と営み。
秦漢時代の様々な人々の生活を、衣食住から行動、身だしなみ、
買い物、恋や結婚、子育て、家族問題、酔っ払いとトイレ、
歓楽街と性愛等々、詳細に紐解かれています。
虫歯や口臭、ハゲ、鬘。
官吏や上流階級の女性のオシャレ願望。
イケメンは出世の糸口であり、アイドルの如くの人気ぶり。
二日酔いの悲喜こもごもや嫁姑の問題、離婚など、
現代にも繋がるような事例もあるのが、面白い。
しかし、職業や身分の違いや貧富の差での、衣食住の格差は、
かなり大きい。奴隷の生活の悲惨さといったら・・・。
あまりの情報量の多さに圧倒されつつも、知る愉しさに酔う。
資料画像も、こんなものまで発掘されるのかと、驚くばかりです。

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2021年12月18日

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古代中国にタイムスリップしたという体で、当時の人々の24時間を体験するというもの。
農民や商人、貴族や皇帝など、立場の違う人々が出てくるので完全とは言えないが、そもそも文献に残っている日常は少ないのでこれだけでも十分楽しめた。
歴史的な出来事は残しても、当たり前の日常は記録に残さないだろうし。
そういう意味では日記というのは後世においては貴重な文献になるのだな。

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2023年10月29日

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気鋭の中国史家が、文献史料と出土史料をフル活用し、服装・食卓・住居から宴会・性愛・育児まで、秦漢時代を中心とした古代中国の1日24時間を再現。「読者が古代中国にタイムスリップし、1日24時間を生き抜く」という架空の設定のもと、ロールプレイングゲームのような体裁をとっている。逐一注釈がついていて、信頼性が高い。
限られた史資料からとはいいながら、かなり詳密に古代中国の日常生活が再現されていて、とても興味深い内容だった。2000年前の中国とはいっても、思った以上に現代の日本の生活にも近いものを感じた。古代中国においては、当時の生活をイメージしやすい壁画や明器などが豊富に残されているのが、羨ましく感じた。

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2023年10月01日

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ネタバレ

秦漢時代の中国に異世界転生、あるいはタイムリープして24時間を過ごす中で、当時の中国の人たちの暮らし、風習を見ていこう、というテイの本。
三国志のような英雄モノなどでは決して描かれない、ごく普通の日常生活がどのように送られているのか、イケメンの定義とは?当時のトイレって?など、言われなければ気にならないけど、言われてみると気になるような内容が載っている。
すべて、史記や漢書にはじまり文選、呂氏春秋など膨大な一次資料に散らばる細々とした記述をピックアップし、考古学的資料による説明とともにまとめられている。
読んでいると自分が古代中国の町の中に迷い込んで、市井の人たちの暮らしを垣間見ている気分になれる。
興味深かったのは「イケメンでなくてもモテる例はあったけど、わざわざ史料として残っているというということはよほどの例外であったということ(イコールイケメンは正義)」「貧乏でも才能だけで栄達できた人はいたけどわざわざ史料に残ってるほどということはまず例外(やっぱり金持ちコネ社会)」なるほどそういう史料の捉え方があったかー。そして通常史料としては軽視されがちな志怪小説であっても、日常生活研究の史料としては十分に足るだけの価値のあるものであるという説明部分の記述から、著者の史料へあたる姿勢というものを垣間見ることができた。

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2023年04月21日

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大変興味深い本であった。著者も述べているように、類例のない歴史書である。中国秦漢時代の無名の民を対象にして、衣食住ほか全ての日常生活を1日24時間に沿って叙述した本は、西洋ローマ帝国に関しては類書はあるが、中国歴史書には無いという。

私自身の問題意識から言えば、日本の弥生時代後期の人々が中国に旅したならばどのような衝撃を覚えるのか?という事を想像させるものであった。つまり、57年に奴国の使者が洛陽に赴いて後漢の初代皇帝である光武帝から印綬を授けられた時(倭奴国王印)。また、107年の帥升らが160人の奴隷を安帝に献上した時。そして、239年、卑弥呼が魏に朝貢して「親魏倭王」が刻まれた金印と銅鏡を授かった時。その時の彼らの驚きをありありと想像する。私自身も、知識としては知っていたにせよ、竪穴式住居に住んでいない「平民」が、本当にいたのかなかなか信じられなかったし、数万の官吏(サラリーマン?)が存在し、貨幣で物買いしている姿、夕方から居酒屋みたいな所で飲み食いしている姿は簡単に頭に入ってこない。それって日本の江戸時代の姿じゃないか。

以下、私の備忘録である。

・前漢時代に既に水時計(漏刻)によって、太鼓によって朝を告げ、夜を告げる役人がいた。
・4月頃、洛陽では午前5時15分日の出なので、鶏の鳴く「鶏未鳴」「鶏鳴」は午前3時15分となる。儒学思想では、子はこの時より起き始めなければならない。
・歯ブラシはまだない。歯木や楊枝も無く、起床時と食後に口をすすぐのみ。虫歯はあったが、アワ食のせいか、あまり居なかった。口臭予防の薬はあった。
・後漢の農民の服装は、一張羅の麻の長着、冬は綿入れと袴と思われるが、明器像を見ると、着物に衿があり靴を履いている。ヒゲも剃っている。夏はふんどしを使い、肌脱ぎも多かったようだ。
・美人の基準。涼しげな目、白い歯、白い腕、細いウエスト、ツルツルの肌、なだらかで細い眉、赤い唇、細い指、足がまっすぐで、豊かな黒髪。それらをバランスよく備えていること。現代美人とほぼ同じ
・化粧はいろいろ商品化。鏡台も手鏡も下級官吏は持っていた。←そういう意味では鏡をあれほど有り難かった倭国は、電子機器を初めて見たアフリカ原住民と同じ様な反応を示していたのを、中国使者は冷ややかに見ていたような気がする。
・食事は朝と夕2回が普通。黄河流域の主食はアワ、上等ではキビ、オオムギ。煮てから蒸し粒のまま食べる。アワは粉食でも(ラーメン、すいとん)。長江以南では米(ジャポニカ)。青銅器や土器で蒸して食べる。この頃既にカマドがある。おそらく日本より200年は早いし、明器(ミニチュア土器)を見る限りでは、明治のカマドと遜色ない。貧民の多くはネギやニラを鶏卵と共にニラ玉にしていた。あとはスープが一般的。
・調味料として「醤」(豆、肉、魚に塩麹香辛料を加えて)がある。他に「鼓」(豆に塩を入れて発酵)などがある。前漢中期以降にニンニクもある。
・食器。庶民は木器、竹器、土器、瓦器を用い箸、スプーン、フォーク(後に廃れる)を使った。食事中は正座が一般的。室内ではクツを脱いでいた。
・中原地域の建物は四合院(中庭がある建て方)が一般的。防御機能と防砂機能があった。住居の壁は、版築、日干しレンガ、石積、焼成レンガ。版築が最もポピュラー。←柱を建て木造で土壁を作る日本とは、ここで大きな差が出る。
・村の大きさはおおよそ数十人から数百人。山奥には10戸ほどのムラがあったり、田畑のそばにポツンと一軒の四合院があり複数家族が暮らしている場合もある。
・イケメンとは、白い肌、瞳を輝かせ、美しい髭を持った男子をいう。ヨーロッパのブランドヘア、青い目、彫りの深い顔つきは肯定的に捉えられていない。ハゲや低身長、もしくは吃音などの障害があればよろしくなかった。
・市場は青空市場では無く、四壁に囲まれ、中央に警察署がある場所を作っている。せいぜい郷に一つしかない。←台湾や韓国の市場はこの方式がまだ残っている。
・華北の農業。雨水に頼る畑作。除草と間引きは全て手作業で大変だった。黄土は肥沃な土地では無く、常に耕作し施肥を続けて豊かな土壌に変えていった。
・南中国では特に多湿な地域では斜面を焼畑にしてイネを撒いた。
・家計を支えるもう一本の柱として綿織物業と桑栽培がある。(蚕の飼育は前漢には既に一般的)←日本はこの面で決定的に遅れたのではないか。
・牧畜は遊牧民のみの生業ではなかった。農業と兼業している者も多く存在していた。
・漢代に「胎産書」あり。男女の産み分け等非科学的記述もあるが、月経と受精の関係など科学的記述もある。
・夜空は人々にとって正しく異界であり、宇宙人がいると信じる者もいた。異界からの使者は青い衣をまとった子供、もしくは青い鳥であるとされることが多い。死者の魂は崑崙山を終着点とし、もしくはさらに天界へ向かう。崑崙山に西王母あり、青い鳥(もしくは3本足のカラス)を使役。太陽にはカラスが、月にはウサギとヒキガエルが住んでいるとみなされていた。当時でも批判はあったが、信じているものは多かった。260年に火星人と会ったという記録あり。

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2023年04月10日

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面白かった。
ワイワイガヤガヤした雰囲気で
人間味にあふれた考察だった。
冠婚葬祭とかも見たかった。
妻と離婚できる7条件にほぼ当てはまっていた笑

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2023年02月19日

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ネタバレ

まずは出典の書物の多さに脱帽。さすが10年分。確かに庶民の生活をつぶさに書き記した歴史書などあまりなかったかもしれない。

呉と越が敵対しているときに献上されたという西施という美女の話からでてくるフェイスパウダーの話に驚く。戦国時代あたりからフェイスパウダーあったのか。
カイコの触角のような眉が理想とされた話。ちょっと怖い…

劉邦の酒飲みの話が多かったのもびっくり。
大酒飲みが16リットルも酒を飲んだって…急性アルコール中毒にならないのか。しかし一気飲みで亡くなった人もいた、ということなので急性アルコール中毒自体はあったのだろう。
口臭をきにしていて、皇帝から苦い薬を賜った、何の失策をしたのか?と思ったらブレスケア的なもので、皇帝から「口が臭い」と思われていた、という話が面白かった。
兵馬俑が型取りをしていたことから、マニュファクチュア的なものが古代中国では出来ていたことになり、興味深いと感じた。

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2022年10月19日

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秦や漢の時代を中心に、当時の官吏や庶民がどのような1日を過ごしていたのか、イメージが湧いて当時にタイムスリップしたようで楽しめた。膨大な資料にある断片的な情報をつなぎ合わせて普段の生活を再現しようとする取り組みのすごさをとても感じた。当時の人はどんなふうに食事し寝ていたのか、歯は磨いていたのか、口臭を気にしていたのか、どんな風に買い物したのか、などなど、とても面白い。「古代ローマ人の24時間」という本を読んでこの本にたどり着いたが、いずれも面白い。次は、「古代日本人の24時間」を読んでみたい(そんな本はないかもしれないが)。

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2022年09月13日

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気鋭の東洋史学者による古代中国の日常生活再現。再現とはいえ、バシッと「この時代のこの地域では」というようなまとまった史料が有るわけではないので、断片的な史料を組み合わせて24時間を再現したことになる。そのため、時代・地域を超えてさまざまな要素が詰め込まれており、ぼんやりと昔の中国ではではだいたいこんな感じの生活が営まれていた、というイメージを受け取れたら一読の価値があったと思って良さそう。
なお、筆者はやたらとRPGらしさに拘っていたが、その要素はわざわざ入れる必要があったかどうか不明である。

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2022年06月17日

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秦や漢の時代といえば、春秋戦国時代や三国時代と並んで、日本でも割と知られている時代だ。
最近は映画や漫画の舞台にもなっている。
けれど、当時の人たちがどんなものを食べ、どんな風に寝起きし、働いていたかと言われると…ぼんやりとした像しか浮かばない。

本書は、現代から秦漢時代の中国にタイムスリップした人が見聞きする一日を紹介するという、はじけた設定をとっている。
「えっ? あのお堅い中公新書が?」という衝撃はありつつ、そこは好奇心に従って本書を読んでみた。

官人の勤めぶり、農村の農作業のしかた。
この辺りは部分的にはイメージはあったが…。

女性のお化粧。
太眉が流行れば、額の半分くらいの描き眉をする人もいたとか。
この時代にもマリー・アントワネットばりのいきすぎファッションがあったことに、思わず笑いがこぼれる。

家の作りで、豚小屋の上にトイレを設けるという話は聞いたことがあったが、そのトイレの付近に風呂場がよく作られていたことは知らなかった。
用を足したあと、紙がないので、水で洗い流す便宜のためらしい。

こんな風に、さまざまな暮らしの様子が明らかになっていく。
何か、視界が開けていくような感覚になる。

さて、一読者としてはこのように気楽に読め、悪く言えば雑学的に消費してしまう読み方もできてしまうこの本なのだが、著者は最後に歴史学の上での意義を説いている。
文献に留まらず、木簡・竹簡、壁画、など、使えるものは何でも使うというスタンスひとつとっても、筆者の問題意識を重視する姿勢の表れだ。

何でもない人々の日常生活の変化は緩やかだ。
長いスパンでは変わっていくが、大きな事件とは違って変化がゆるやかなため、記述されにくい。
こういうのを「動かない歴史」というらしい。
マルクス主義歴史学のように、(虐げられた)民衆が歴史を動かすというのではなく、時代に流されつつ歴史を作る人々の「生のありかた」に光を当てたい、という動機で始めた研究であるとのことだ。

こんなことが書かれている最終章を読みながら、今の史学科の学生は「歴史学概論」みたいな授業で、どんなことを学ぶのかなあ、と知りたくなった。

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2022年05月04日

購入済み

労作と言おうか力業と言おうか、広範な資料および史料から日々の生活に関わる部分を抜き出して並べるのは大変だったろうと推察される。
単なる雑知識の寄せ集めになりかねないところ、24時間を描くという形にしたことで読みやすくなっている。

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2022年03月04日

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秦漢時代だから、三国志前の時代か。
その頃から庶民の悩み、浮気や恋、生活の苦しさへの悲哀は現代人でも理解出来るほど、筆者により分かりやすく書かれている。

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2022年02月22日

Posted by ブクログ

今から2000年前の中国の中国の秦漢時代の1日(24時間)を再現した一冊。服装から食事、住居、性愛など、中国の文献を大量に読み込まなければ実現できないレベルの細かさで再現されていて、リアリティあっておもしろかった。始皇帝、項羽と劉邦、劉備、曹操、呂布など、中国歴史好きの人には堪らない偉人のエピソードも出てきて面白い。イケメン・美女が重宝され、貧富の差はとんでもなく激しく、不倫、嫁姑問題などなど、あまり現代と変わらないこともありつつ、市場で普通に罪人の処刑が行われていたりと、いろいろびっくりする内容も多い。

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2022年02月15日

Posted by ブクログ

コーエイの三国志に昔ハマった身からすると、楽しすぎる本!

古代中国の英雄史のウラにある、
今の僕らと同じ人間による、今の僕らと似たような生活。

飯を食い、仕事をして店で物を買い、
居酒屋で酒を飲み、そして恋する

エピローグが素晴らしい

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2022年02月01日

Posted by ブクログ

歴史のガクモンについて、あまり堅苦しく考えない人に向いている本だろう。ツルツル書かれているように見えてしまうのだが、著者の言うとおり、一つ一つの記述(多少は膨らませてあるかもしれないが)に史料/資料があるようだ。古代中国をテーマとしたテレビドラマを見ているつもりで読まれるがよろし。十分に面白いし、歴史をテーマとする新書としては成功している。

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2021年11月20日

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秦漢時代の人々がどんな日常生活を送っていたか、未来からその時代にタイムスリップした設定で朝から寝るまで24時間の暮らしをロールプレイングゲーム風に描いています。

リアルな日常の暮らし、人間らしさ、本当におもしろくて、これを読んだから、私がもし古代中国にタイムスリップしてもこの予備知識でなんとか生きていける気がする。

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2024年03月12日

Posted by ブクログ

古代中国での生活を24時間に分けてわかりやすく解説している。当時の生活が意外と現代と通じているところもあり、面白かった。

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2023年03月05日

Posted by ブクログ

強大な国家だと、古代でも、現代と似たような生活になるようだ。貧富は、当然として、潤いの無い忙しい生活のよう。官僚では、特にそうらしい。人間って、どこまでも阿保ですなぁ。

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2022年05月25日

Posted by ブクログ

ロールプレイング設定が謎でしたが、内容は分かりやすく非常に読みやすかったです。
帯の引き文句と中身に若干のギャップは有りました。

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2022年03月13日

Posted by ブクログ

これは苦労の集大成。
いろいろな文献の中から
当時の生活がわかる部分を集めてきて
わたしたちにわかりやすいように
ある1日として読み物にしてくれた。

これがあればきっと、タイムスリップや
転生ものが書けるぞ(たぶん)
中華ファンタジーのいろいろな作品を
思い浮かべながら楽しみました。

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2022年02月14日

Posted by ブクログ

古代やファンタジーの映画や小説を読んでいていつも疑問に思っていたことがある。現代のような衛生器具が揃った時代ではない頃は体臭や口臭がキツく、「百年の恋も冷めてしまう」状況ではなかったのではないかと。
その答えを求めてこの本を読み出した。
詳しくは本書を読んでいただきたいが、古代でもエチケットの意識はたしかにあったということ。案外2000年前でも現代と、あまり変わらない点も多かったらしい。

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2021年12月28日

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