恩地三保子のレビュー一覧

  • 満潮に乗って
    戦後の不穏な雰囲気が濃厚な作品。
    クリスティは戦争のことを書きたくないのかなと思い込んでいたけれど、こんな作品もあったなんて知らなかった。
    各々の生活、思想だけでなく、物語を動かす三角関係さえも戦争の影響下にあるように思える。
    トリックは当時の電話交換など少しピンとこなかったので、再読したい。

    ...続きを読む
  • 杉の柩
    エリノアが状況証拠通り、実は犯人だったという結末もあるかな、(近年流行った某ミステリーを想起)という疑惑が拭えないまま一気読み。
    枝葉と思えた情報が真犯人に繋がっており、本当に見過ごせない。
    愛憎関係の機微が物語に厚みをもたらしており、「ナイルに死す」が好きな人はきっとお好みかと思います。
  • 杉の柩
    おもしろかった
    医師がいいキャラで好き メインヒロインも好き
    確実に黒と見える状況をひっくり返す逆転劇が鮮やかだった
  • 杉の柩
    “冷静沈着で、常に溺れない人物”
    他人から見たらそう見えても、その人の心のうちはその人しかわからない。
    特に“苦しさ”は……
    人からどう見られているか、そういう人ほどよく感じてしまい、その人たちの期待を裏切らないようにしてしまう、この物語の中心となる人物。
    その人の、心の声が聞こえてくるような小説…...続きを読む
  • 杉の柩
    本気で誰かを好きになったことのある女性には、刺さるなんて言葉では足りないほど、心が抉られる作品でした。
    それでいて、シリーズの中でも読み進めやすい部類に入ると思います。

    嫉妬を表に出すまいとするエレノアに対して、そんなに自分を殺さないで欲しいと思わずにいられませんでした。
    気高くて、情熱的な女の子...続きを読む
  • 杉の柩
    111108さんのポアロおすすめ5から、ようやく読みました!

    犯罪自体は恐ろしくも、上流中産階級の優雅なセリフ、タイプの違う美女2人の描写が心地よく、うっとりしながら読み進めた。
    実は強い情熱を秘めたツンデレのエリノアが大好きになってしまったので、ラストはほっこり。
    そしてトリックにはびっくり!ま...続きを読む
  • 杉の柩
    容疑者のあっちもこっちもミスリードなんだろうと思いつつも結局犯人のあたりはつけられなかったので、解き明かされた真相に素直に驚いたし、面白かった。登場人物に嫌味なキャラも少なく、話の締め方もロマンティックで美しいと感じたので、なかなかいい話だったと思う。とりわけピーター・ロードが非常にいい男だったので...続きを読む
  • 杉の柩
    今回から感想戦は3人の予定。今回も絶対あり得ない人を犯人として予想。途中までニヤニヤしたが、外れた~幼馴染でいとこ同士のエリノアとロディーは結婚間近なカップル。だがロディーは叔母の家の門番の娘・メアリイに一目ぼれをし、婚約を解消するエリノア。叔母が亡くなり、財産をエリノア1人で相続する。その後メアリ...続きを読む
  • 満潮に乗って
    ポアロシリーズではこれと「カーテン」を最後に残しておいたのは、タイトルがなんか惹かれなかったから。
    でもこんなに面白い本、意図してないとはいえあとに残しといてよかった!
    どんな予想も全て裏切られた。
    オススメを聞かれたら間違いなくBEST5に入れます。

  • 杉の柩
    今回のは、冒頭から裁判で始まる、また新しい切り口の展開でした。
    読まれた方には、話がくどいという方もいらっしゃる。
    ただ、私からすると綿密に仕組まれた内容かつ、細部まで描写する事でその場の風景がはっきりと見えてくる。
    そういう印象を毎回受け取ります。
    最後の怒涛の展開は必見!この犯人の冷酷さと強かさ...続きを読む
  • 杉の柩
    アガサ・クリスティー好きの友達に勧められて読んだ。圧倒的不利な状況からの逆転劇が面白い!そこがキーだったのかー!!と思わず叫びたくなる伏線回収!!ヒロインの想いが切なくて、ミステリーとしても恋愛小説としても楽しめる!
  • 杉の柩
    ポアロ
    これは面白かった。ヒロインのロディーへの想いを考えるとこちらまで胸が苦しくなって、読むのが辛かった。とにかく苦しかったけど、最後にふーっと息を吐いた。結末を読んでもう一度読み返したい。
  • 杉の柩
    ポアロシリーズ18作目。クリスティー文庫を順番に読もう一人企画が途中で止まっていましたが(笑)久しぶりにクリスティーを読むともう楽しすぎてページを捲る手が止まらない!!幸せな読書体験でした。


    以下ネタバレ

    エリノアが可愛くて好きだ(笑)ロディーになんかもったいないなーと思ってたので、途中からぐ...続きを読む
  • 満潮に乗って
    アガサ・クリスティーの面目躍如! と言えるミステリーです。冒頭に少し姿を表してから、中盤まで出てこないポアロ。代わりに語られるのは、遺産の相続権を、後妻に奪われた、一族の物語です。一族の嫉妬や恨みが渦巻く一方で、当の後妻は、かなり気弱な様子。しかし彼女の兄がなかなかの曲者で、一族と真っ向から対立しま...続きを読む
  • 杉の柩
    ミステリとしてはもちろん、愛憎劇、法廷ものとしても楽しめた。作家の脂が乗り切った、という表現にぴったり。発行年順に読んでいて、今が一番読み終わるペースが早い。
  • 満潮に乗って
    英語の表題だと分かりやすい。
    taken at the flood
    floodというと、洪水かと思っていたが、
    波が押し寄せる、満ち潮もの状態なのかもしれない。

    潮の満ち引きに関するいろいろな言葉が引用されていた。
    どれも読んだことがない文献なので、いちど確かめようと思う。

    ロザリー...続きを読む
  • 満潮に乗って
    大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死亡し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。戦後、後ろ盾としてのゴードンを失った弁護士や医師らクロード家の人々は、まとまった金の必要に迫られ窮地に立たされていた。”あの未亡人さえいなければ”一族の思いが憎しみへと変わった時……戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く
  • 杉の柩
    エリノアは絶対犯人ではないし、登場人物の中に必ず犯人がいる!とわかっていたのに、最後まで真犯人が誰かわからなかった……
    紛失したモルヒネ=殺人に使われたモルヒネだと確認されてないことや、バラのトゲで怪我したのだという言葉…絶対何か関わってくると思いつつ、同じように出された車の目撃情報などは推理を惑わ...続きを読む
  • 杉の柩
    エリノアを信じて良かった。高潔な人だった。メアリイは何も良いこと無くて可哀想。看護婦を全く疑ってなかったので、ラスト数ページだ引っくり返った。メアリイの自殺だと思ってた。主観は何も当てにならない。
  • 満潮に乗って
    事件はなかなか起きないのに飽きずに読める。
    流石です。
    一人の大富豪の死によって狼狽する一族の人間模様や彼らと関わりのある人物の描写が丁寧に書かれている。
    関係性が整理しやすく、物語の構成としても面白い。
    設定自体は地味だけれど、意外性のある展開や真相で楽しませてくれる。