青木新門のレビュー一覧

  • 納棺夫日記 増補改訂版
    一章、二章と読みやすさを携え、これはノンフィクションなのだろうかと思うぐらい物語性に富んでいた。非現実のような現実。知らなかった事実。目を背けていた死との対峙。まざまざと眼前に突きつけられ、しかし己の未熟さを責めるわけでもなく、それを温かく、著者の体験として迂遠ながら間接的に教え諭してくれるような、...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    生死観を変えてくれる力のある本だ。死が怖いものではなくなり、身近な優しいものに感じられてくる。そして生きることが愛おしくなる。▼著者は生活に困窮し新聞の職安欄を見て葬儀の会社に入り、納棺を担当する。それは、筆者が(仏の)「光」と出会うきっかけとなった。生者が忌み嫌う死人が、筆者を光の救いの道へ導く。...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    「生」と「死」があるのではなく、「生死」。
    雪でもなく雨でもない「みぞれ」に託して語られる筆者の死生観がスッと入ってくる。

    私自身はお盆もクリスマスも初詣も一通りこなす無節操な日本人ですが、自然を見つめ死者と対峙し詩を書く筆者の、実体験の中から立ち上って来た仏教的な言葉の数々には、居住まいを正して...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    映画「おくりびと」から本へ。映画はこの本から「納棺夫」という職業といくつかの小さなエピソードを持ってきているけれど、本の内容とは別物だと思う。ただ、映画もそれはそれですばらしい作品だった。

    著者の経験と、美しい文章と、深い死生観・宗教観、非常に内容の深い本。年を取ってからまた読み返したい。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    人が死ぬということ、
    それについて深く考えさせられる。
    また作者の仕事に対する意識の高さ、と想いは素晴らしい。
    死ぬことと長年みつめあってきた作者の考えを少しでも理解できて、少し死というものがわかった気がする。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
     映画『おくりびと』の原作。死に対し真っ正面から向かい合う作者の態度に感動した。
     映画が話題になっていたときはさほどきにしていなかったことだが作者のいう「納棺夫」というのは長らく差別的な目を浴びせられてきたということだ。作者も親類から早く仕事を離れてほしいと頼まれている。しかし死者と関わりをもつ人...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    映画『おくりびと』にかなりがっかりしていたが、こちらは期待を裏切らないクオリティ。おくりびとは参考映像程度に考えておいた方がよい。それくらい別物で、読み応えのあるエッセイ。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    おくりびとの元となった本。前半は納棺夫の仕事とその仕事を通じて人の死に多く接したこと、後半はそれを元に仏教的な死生観について述べられている。
    自分も人の死に多く接している。しかし死の少し前、人が死を意識してから死ぬまでの間をよくみており、死んだ後のことやその後の家族の様子などはあまり見ない。その後は...続きを読む
  • 人は死ぬとき何を思うのか

    【気づき】
    ・渡辺和子
    死と言う制限があるからこそ、限られた人生で自分は何をすべきか、何を大切にして生きるかを考えられるのです。p.21

    ・キリストも良い事しかしていないのに、弟子に裏切られ、群衆の罵詈雑言を浴びながら、十字架に磔になって無残な死を遂げている。p.25

    良いことをすれば良い報...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    映画『おくりびと』の原作とも言われる作品。映画も悪くはないが、全く別の、もっともっと人間の死に、生に迫った、心の奥に染みる作品。映画を観たから、あるいは映画の内容からの連想で読まないのはもったいない。多くの人に読んでほしい。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    日記の部分は少ない。でもその日記の部分はとても響いた。

    死は悪ではない。
    現代の隠蔽された死を露わにしてくれる。


    僕は死んだ人に触れたことがない。
  • 人は死ぬとき何を思うのか
    2016年、21冊目です。

    このタイトルと同じ書籍を読んだことがあります。
    4人の著者の一人である大津秀一さんの終末期医療の現場経験に基づいて書かれた本だったと思います。確かテレビでも取り上げられていました。この本は大津さんに加えて、3人の著者が「死」に向き合うことについて書かれています。
    渡辺和...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    映画「おくりびと」の原作ではないが、元となった本。納棺夫というのは正式な職業名ではないが、この本をきっかけに、納棺をする人が世間に認知されるようになったようだ。
    著者は葬儀屋で働いていて、たくさんの死体に向き合ってきた。その時の体験から、「死」そのものについて考えるようになった。突き詰めていく過程で...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    有名な映画『おくりびと』の元になった本だが、そのテイストは全く異なる。鉛色の空の下の保守的な土地・富山に深く根付いた浄土真宗を柱に、キュブラー・ロスやシュレディンガーにまで触れ、生と死の根源的な意味を見つめる。筆者が獲得した「ひかり」の概念が随所に。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    死を見つめ続けた男は、その仕事の先に何を見たのか。
    死に「触れる」ことでみえてくる「生」。
    「生」に執着するあまり見えなくなる「生」。
    「死」、「生」、「神」、「仏」、「宗教」、「科学」と、絡めながら、「死ぬとは」、「生きるとは」を考える。
    この本は、“残る”。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    久しぶりに本が読みたくなって本屋に行ったら、この本に目が止まった。
    「おくりびと」でも有名になっていて興味があったし、
    1冊しか置いてなかったからすぐ買った。

    最近私も身内をおくったので、死というものはどうなんだろうか?って思ってたし。

    専門的な内容の箇所はちょっと難しかったけど、
    ...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    第三章がとりあえず難しい。日記かと思いきや違う。著者の頭の中を覗き見るみたい。これをきっかけに宮沢賢治の本を再び買ってしまいました。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    青木新門著「納棺夫日記」を読みました。

     実は、今「OPローズダスト」を読み出したところだったのですが、「おくりびと」がアカデミー賞を受賞した翌日、職場の人がこの原作をぜひ読んでとわざわざ貸してくれたため、せっかくのお薦めだからとこちらを先に読み始めたのでした。

     映画「おくりびと」も見たい...続きを読む
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    昔、死は日常(生)の延長にあったが、
    現在死は日常とは切り離された場所で秘めやかに起こっている。
    生と死が遠く離されてしまう事で、
    死はどんどんと忌み嫌われるものとなってしまう。
  • 納棺夫日記 増補改訂版
    納棺という仕事に従事し、とことん生死を探求した青木新門の小説である。
    前半部の、納棺についての話は、生死に真摯に取り組まなければ生まれない、生の声が詰まっていた。
    後半部は、宗教について書かれており、本としては、まとまりがないものになってしまったことが残念である。

    作者の言う通り、私自身も死をネガ...続きを読む