司馬遼太郎氏ばりの骨太な時代劇が、BLで読める幸せに感謝。
BLにして本格的な時代物なんです。いいとこ取りの、やわで適当な時代物風劇画とは一線を画しています。
この世に愛と憎しみの未練を残したまま死に逝こうとする者の魂を喰らい、幾歳月をさすらう妖しい座頭の千載。そして、そのさすらいの旅を共にする大
...続きを読む剣豪にして浪人の草薙主税。
オムニバス一話完結形式で、二人が様々な人々の無念を晴らしていきます。
道理に合わない理由で引き裂かれ、追われる恋人や人外の哀しみ、痛みが物語全体を重く覆っているのですが、これを一掃する千載と草薙の活躍がスカッとした気分にさせられ読後感は爽快。
一話ごとのラストシーンで、二人の後姿がどんどん近づいていくのも心の距離のようでうれしくなるひとコマです。
かなりの表現力を求められるテーマを、これほど的確に描ける岡田屋センセに惚れ惚れしますが、いつものがっつり系エロは拝めませんでした。やはり、短編なのと、別の明確な主題があるせいでしょうね。
草薙と千載の絡みは、先生らしくブレのないエロだったので、これから明かされるであろう千載や草薙の過去とともに、次回楽しみなところです。