田中克彦のレビュー一覧

  • ことばと国家
    ▼素晴らしい本です。馬鹿を承知で煎じ詰めると、方言がことばであり、文法とか正誤など些事であり、そこにヒトの愛着と歴史があり、国家なんぞ超えた普遍の価値がある。国家は国家のために言語にマルバツをつけてレッテルを貼るが、それはそれそのように理解せねばあかんぞな、というような。

    ▼(引用)人の精神には弱...続きを読む
  • シャマニズム 2
    東欧からシベリアに至るまでの北方ユーラシアに居住する諸民族(アルタイ諸語を話す諸民族)の宗教的世界像、並びにその担い手であるシャマニズムについて解説した書。1巻に続く下巻となる本書では、シャマニズムの主役であるシャマン、そして諸々の儀礼についてを取り扱う。
    本書は、20世紀初頭のフィンランド人宗教学...続きを読む
  • ことばと国家
    “ことば”というものを“国家”との関係性で見つめることが無かったの自分に愚かさを感じさせられた。

     “母語”はそこに暮らす“なかま”たちのコミュニケーションのための必然として生まれてきたものであり、それがそのなかまたち(民族)の文化を作り上げ継承してきたものなのだから、それを奪われたり、他の“こと...続きを読む
  • ことばと国家
    言葉には話し言葉と書き言葉があります。
    歴史的に見て、勿論話し言葉先にありました。
    多くの人びとが文字によって自分の思うことを伝えはじめたのは本当に近年のことであります。
    医学博士・野口英世の母は使い慣れない文字で外国にいる息子に、
    すべてひらがなで、「はやくきてくたされ」と3度も繰り返しす一通の手...続きを読む
  • ことばと国家
    社会言語学というのか、とても面白くて理解が浅いながらもサクサクっと読んでしまった。古い本だけどおれ的には中身は古くない。
    母語と母国語の違い、アルザスの最後の授業の話、ラテン語が「たえず変化することによって、新しい歴史的状況に適応していおうとすることばの性質に反して、文法とは、真の意味におけることば...続きを読む
  • ことばと国家
    20年以上前に書かれた言語の国家政策に関する名著。文章が非常に分かりやすく、説得力に富んでいる。
    現代にも非常に重要な示唆を与えてくれる。言語がいかに政治と分かちがたいものか。
    (2015.9)
  • ことばと国家
    痛快な文体で国家とことばの関わりについて述べた本。「国語」の始まりは日本の西欧化と密接な関わりがあること、方言滅ぼし教育の存在があったことなど、日本の中央集権的国家語統制の確立の道具としての国語の存在という視点を学ぶことができた。現在の標準語を特に違和感なく使用している自分の普段の生活をあらためて振...続きを読む
  • ことばと国家
    かつて、イタリア中部の一部属の話していたラテン語は、ローマ帝国の言語として、その支配地域と共に拡大していった。もちろん各地には、それぞれすでに話されていた言語があり、ラテン語は、支配階級の言語として、そこに覆い被さっていったのである。土着の言語はラテン語の影響を受けて、今日のロマンス諸語など俗ラテン...続きを読む
  • 漢字が日本語をほろぼす
    漢字が日本語の中に入っていることが,日本語を学ぶ外国人にとって非常に学びにくくしている.中国周辺国では漢字に対抗してそれぞれ独自の文字を発明している事実がある由.テュルク(突厥)文字,タングート(西夏)文字等の紹介があるが,ハングルが朝鮮語を音で表す言葉として発明されたのが最も身近な例だろう.支那と...続きを読む
  • ことばと国家
    言語の分類は常に恣意的で、政治の力が働くということを
    「フランス語」や「ドイツ語」、「イディッシュ」が形成された経緯を見ながら説明しています。
    今現在の、例えばベルギーを見れば、国家における言語の果たしている意味というのはいまだ変わりません。
    30年前の本ですが、時代に左右されない内容のみで構成され...続きを読む
  • ことばと国家
    今ではなにげなく使っている、「国語」という言葉の成立過程のくだりには、はっとさせられ、言語と国家を切り離して考えることの難しさが、あらわれている。「母語」って言葉、いい響きですね。
  • ことばと国家
    神です。

    うちの学類に入学したら読まないとダメだと言われた。

    ことばの在り方、国語という概念、今までの常識。

    いろんなことを考えさせられた。

    あたしの考えの根源にはこの本の影響が間違いなくある。
  • ことばと国家
    すごくおもしろい!一応英語という言語に携わる職につくつもりなので、いい刺激になったぁ。母語と母国語の違い、とか何気ないことに気づいたよ。ゼミの先生に、イ・ヨンスクさんの師であると教えてもらって読んだ本なので、私の興味にストライクしました。これ読んで田中克彦さんに目覚めたので、違う本も読んでみたいと思...続きを読む
  • ことばと国家
    ことばがどうやって生まれるかを考えたことがなかった。あらゆる言語はピジンであることに気付き、驚いた。言語学の奥の深さを感じた。
  • ことばと国家
    国語、国家語、母語、母国語、方言、俗語ーー。これらの意味の違いを明確に言える人はどれだけいるのだろうか。ラテン語とラテン系諸語にも明確に線引きができるという。

    「イディオム(固有語)という語は、一社会固有の特徴を反映するものときての言語をすこぶる適切に示す」ーー。こうしたソシュールのことばをベース...続きを読む
  • 漢字が日本語をほろぼす
    日本語は漢字で考えるということは面白いしてきである。中国語と日本語の共通点を漢字で考えることでわかりやすいと考えていたがそうではなかった。英語の学習を文字で考えるから会話ができないということはあたっていると思われる。
  • ことばと国家
    情熱的社会言語学入門書。概して入門書といえば基本事項をわかりやすく満遍なく抑えたものというイメージがあり、またそのようなものが求められがちだ。本書では時折、感情的な意見が客観性を欠いたかのように映る。しかし読み進めていけば言語の本質を真剣に追求した人間の息遣いに他ならないことに気づく。社会言語学のエ...続きを読む
  • 言語学者が語る漢字文明論
    この言語学者さん、昔〜しから、気になってましたが、読んだのは、はじめて、、なんかワザと極論いってて、そこまで言わなくても、と思うところはあるけど、最近、漢文やんなくちゃ、とか、、こつこつサンスクリットかじってる自分には、相当ショッキングな、考え方だけど、よ〜く考えてみると、そんなに違った方向ではなく...続きを読む
  • ことばと国家
    社会言語学者の著者が、言葉と国家をめぐる複雑な問題を分かりやすく解説している本です。

    言葉はダイナミックな政治の文脈に置かれており、そのことに早くから気づいていた言葉の研究者たちは、国家や民族といった言語外的な要因を慎重に取り除いていくことに注意を払ってきたと著者は言います。そして、まさにこのこと...続きを読む
  • ことばと国家
    丸谷某をはじめとした所謂日本の知識人への痛烈な批判の小気味良さは初めて読んだ時と今もって変わらない。
    でも今回の再読で一番感じたことは、現在の否応なく巻き込まれているグローバルな環境、つまりは英語優先主義の現状をどのように見ているのだろうか?ということ。
    アイデンティティーと深く結びつく言語の行く末...続きを読む