ジュリアフィリップスのレビュー一覧

  • 消失の惑星【ほし】
    最後の二章はもう夢中で読んで、読み終わってから、大きな大きなため息が出た…

    読みながら、映画「ウインドリバー」のことを思い出していた。
    本作もウインドリバーも、先住民がどんな思いで生きてきたか、垣間見ることができる。

    ああ、でも、あまりに感情が揺さぶられ、いろんな感情が浮かんで来ては、また別の感...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    2人の少女の失踪をきっかけにカムチャッカ半島に住む女性たちの虚しさや悲しみが11カ月に渡って語られる。カムチャッカ半島には本土との陸路はなく、島を出るには飛行機か船という閉鎖的な空間。そして女性の立場の弱さや先住民に対する差別的意識もあり登場する女性たちの生きづらさが伝わる。これから先生活がましにな...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    カムチャツカ半島で起きた幼い姉妹の失踪事件。そこから波紋が広がっていくように周囲の女性たちの暮らしが描かれる。みんな何かを消失していて、でも何を失ったのか分からないままずっと何かを探しているよう。日常の中に溶け込んだ悲しみと刺すような痛みが淡々と描かれていて、それが美しいほど涙が出てくる。5月と6月...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    読んでるうちにどんどん息苦しくなって一回本を閉じてしまった。女性としての自分に突き刺ささりすぎる内容だった。ラストについては、色んなサイトのレビューを読んで、人によって解釈が違うんだと驚いた。自分と同じ解釈の人もいたけど、まったく違う解釈もあって面白い。
    二月のレヴミーラの話が個人的に一番刺さる話だ...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】

    女性にお勧め

    二人の姉妹の誘拐事件から始まるオムニバス形式の物語。
    性差別や人種差別、都会と田舎の隔たりなど、誰もが少なからず感じたことのある差別意識や劣等感を
    描いた作品です。

    友人の勧めで読み始めました。
    とても面白いのですがどこか暗く重たい雰囲気でなかなか読み進められませんでしたが、大変面白かったです。
  • 消失の惑星【ほし】
    「生きてゆく」ということは、
    「いくつもの大切なものが失われてゆくのを見届ける」
    という、絶望との戦いだ。

    あり得たはずの未来が失われ、
    見つけられなくなってしまう、
    そんな毎日のつらさに抗い、
    目を瞑らずに立ち向かう、
    究極の強さだ。

    それでもどうにか進んでゆく。
    それこそが人生だ。
    と認識さ...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    途中までは登場人物や街の名前、場所を何度も最初のページに戻って確認しながら慎重に読み進める。夏休みから始まった物語は年を越し、お互いに接点のなかった彼女、彼等が少しずつ重なり始めてからのスピード感と驚き。
    米国生まれの著者がロシア留学時代に訪れて着想を得たという景色を想像しながら、訳者あとがき、「カ...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    2人の子供の誘拐事件からカムチャツカ、ミステリー、ロシア、自然、閉塞感、民族、女性、家族、様々な要素が全体的に静かなトーンで語られていく。少しづつ異なる視点の登場人物が広大な半島の中で少しづつつながり合いながらそれぞれの悩みに向き合いなんとか日々を生き残っていく。単純な幸せなんていうものは誰にも存在...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    二人の少女が誘拐事件がバタフライ効果のようにさまざまな女性の生き方に変化を与えます。登場する女性たちは、みんなそれぞれの形で苦しみを抱えています。カムチャッカの豊かでありながらも過酷な環境の描写や女性たちの心的描写がとても丁寧に書かれていると思います。本の手触りがとても良いのでそれも含めて星5つです...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    幼い姉妹の失踪から始まる物語。だけどその事件のことはあまり語られず一章ずつ語り手を変えながらその人物の生活、不安、怒り、悲しみが描かれていく。失踪のことは語られないけれど常にその空気は感じられて読み手も不安なまま読み進めていく。その緊張感に圧倒される。何かを、誰かを失うということの痛みや悲しみが迫っ...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    幼い姉妹の失踪から始まり、まずはみっしりとした不安感に覆われる。しかし読み進むうちに、それも物語の断片であって、登場人物の誰もが、さびれた極寒の地で閉塞感や失望や喪失感を抱えて生きていることがわかってくる。群像劇から浮かび上がってくる、民族や貧困や女性の現況。

    被害者が「消費されやすいことを警戒」...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    言い回しや表現が素晴らしかった。訳者によるものか作者によるものか不明だが。
    カムチャッカ先住民とロシア人、女性と男性、田舎と都会。排他的な差別が描かれていた。
    様々な女性のオムニバスのような形で話が進み、それぞれが抱えている孤独がうまく表現されていた。
  • 消失の惑星【ほし】
    誘拐事件の解決ドラマと思いきや、事件が起こった町で生きる人々の話

    ソ連時代と現在の世代間の分断、先住民族と白人との分断

    とても作者が同年代と思えないほど、語り手一人ひとりの生活が丹念に描かれている
  • 消失の惑星【ほし】
    小説を読んでこんなに心が痛むのははじめてだった。ある意味ではハッピーエンド的な終わり方かもしれないけれど、リリヤ、ソフィヤ、アリョーナその後のことを考えるとまた苦しくなる。3人の母親だってきっと手放しには幸せを謳歌できない。犯罪の被害に遭うこと、そのことで残る痛みまで想像させる。
  • 消失の惑星【ほし】
    良い点。題材にしている部分が面白い。ロシアの半島が舞台で、民族差別や性差別があり、それといなくなった姉妹に対する周りのリアクションを描く、という目線が面白い。

    悪い点。デビュー作なので、少し何を書いているか分かりづらい部分はあった。また、登場人物が年寄りは小言が多く、男は下品かアホで、女はそれなり...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    家族や隣人、社会に対するささやかな不満、不安、疑惑など、日常生活を快適に送るにはあまり直視したくないネガティブな感情を、ナイフで抉るように真正面から几帳面にほじくり返した作品。
    みんな同じことにイライラしているんだな、しょうがないな、とっとと諦めたほうがいいのかな、と変な意味で救われたような、そんな...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    性別や人種の産まれもった苦しみ、集団への不満、そこで働く人々の苦悩、性的マイノリティ、消失と絶望の決して終わらない日々、などなど私たちに呪いのように付き纏う生きづらさ。

    群像劇チックではあるが、
    特に交わらない登場人物がほとんどだし、全ての章にオチを持ってこないという構成が永い時間の残酷さと希望を...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    カムチャッカを舞台に、複数の女性を月ごとに主人公にした小説。
    とっかかりは幼い姉妹の失踪事件だが、事件の解決とかはあまり重きは置いてなく、土地ならではの閉塞感が女性の視点で描かれる。原住民、有色者への蔑視も見え隠れして、重厚だった。
  • 消失の惑星【ほし】
    これは完全にカッコいい表紙とタイトルにやられた。アメリカの作家なんだけどロシア文学に惹かれカムチャッカの街…あんなところに街があるって個人的には凄く意外だった…に実際暮らしていたという冷戦期には考えられない経緯を経て産まれた作品なんだとか。物語の入口は凄くシンプルで海岸に遊びに来た幼い姉妹が何者かに...続きを読む
  • 消失の惑星【ほし】
    非常に評判の高い作品。
    とてつもなく閉塞感が強くて、人生が重くて、どないしようかと思ったけど、それでもどんどん先を読まされてしまうリーダビリティはすごい。これは翻訳の力によるところも大きいだろうと思う。

    カムチャツカ半島というのは、そうなのか、ロシア本土とは陸路がないんだ! そもそも閉ざされた土地...続きを読む