W・G・ゼーバルトのレビュー一覧
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サフォーク州を徒歩で横断した「わたし」は、旅の果てに力尽きて入院する。ノーフォーク州ノリッジにあるその病院は、トマス・ブラウンの頭蓋骨が眠るとされている場所だった。旅の記憶と本の記憶が交じり合い、連想が連想を呼ぶメランコリックな旅行記小説。
旅の話とブッキッシュな歴史の話がシームレスに繋がれ、脱...続きを読むPosted by ブクログ -
イングランド ノーフォーク州を徒歩にて旅する。その風景の寂れた、枯れた姿にかっての栄華が立ち現れる。いく先々の土地から飛躍する思いの数々に読む方は目眩を起こしそうだ。列車から中国の太平天国の乱へ、コンラッドからコンゴへの、オーフォードの政府の研究施設のくだり、零落した貴族の跡地や侘しい宿泊施設。ゼー...続きを読むPosted by ブクログ
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たくさんの言葉で語られようとするある人物。彼らはみな、遠くからきて、ある日死を選ぶ。
こんなふうに書くと興味深いミステリー感が漂うけれど、この本が魅力をぐっと増すのは謎に分け入って考えるのは読者自身ということ。
たくさんのエピソードが次から次へと、まさに記憶の断片が移り変わり結びついていく。合間合...続きを読むPosted by ブクログ -
長短とり混ぜた四つの物語.生まれた国を出て知らない国を知った国にして生涯を終える移民の心情に寄り添って,手記やら新聞やら伝聞やら本人から聞いた断片など,細部にこだわったり突然違った話に変わったり,まるで不確かな記憶がさまようように物語られる.あちこちにあたかも事実のように散りばめられた写真たち,現実...続きを読むPosted by ブクログ