レベッカ・ソルニットのレビュー一覧

  • ウォークス 歩くことの精神史
    歩くこと。歩きながら考えること。それが人類をいつも前に進ませてきた。人類の精神を形作ってきた歩行の歴史を、自身の経験も交えながら縦横無尽に語りつくすノンフィクション。


    私は歩くのが好きなほうで、時間が許せば二駅分くらいの距離は歩いていく。交通費をケチってると思われたりもするが、私は一人でものを考...続きを読む
  • オーウェルの薔薇
    「戦争」の反意語は何かと問う。それは、「庭」とソルニットは答えている。戦争の時代に生きたG・オーウェルの庭に植えた薔薇が、この書名『オーウェルの薔薇』となった。オーウェルがこの時代に、どのように生きたのかがテーマなのだが、ソルニットの他の書物と同様に、単なる伝記ではない。いつものように、必然的なある...続きを読む
  • 定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか
    災害時になぜかユートピア的な利他的なコミュニティがたちあがることについてのソルニットの本。

    ソルニットは、社会変革のアクティヴィストだったり、フェミニズムの論者だったり、歴史社会文化に関する著作家であったり、さまざまな側面があって、それぞれに素敵な本を書いている。

    そうしたソルニットの作品の一つ...続きを読む
  • 定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか
    ◯他の方の感想でも書かれているが、この本を読むと日本人は災害の時に暴動を起こさないということについて、民族とは関係がないのでは、と考えさせられる。
    ◯もしくはそれ自体を前提とした上で、暴動等の比率の小ささを言っているのだろうか。
    ◯少なくとも、地獄に仏、地獄に天国とは言い得て妙で、助け合う心が人には...続きを読む
  • 定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか
    神戸地震の時、日本人は暴動も起こさず、礼儀正しく忍耐強いと世界で報道されていた。
    それは、間違ってはいない。
    しかし正しくは、大抵の人間は非常事態でも暴動も起こさず、礼儀正しく忍耐強いということ。
    実際に起きた少数の犯罪行為と、事実と異なる偏見やイメージにより、アメリカでの災害では黒人が略奪行為を行...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    『まったく何もしないのは案外難しい。人は何かをしている振りをすることがせいぜいで、何もしないことに最も近いのは歩くことだ』―『第一章 岬をたどりながら』

    例えば「Skyscraper」という英単語が「超高層の建物」を指す言葉だと知った時に生じる小さな衝撃は、空という手の届かない絶対的な背景がペイン...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    4連休ということで、ながらく積ん読していたこの本を一気読み。

    ルソー、人類の歩行の起源、巡礼、庭園の散策、迷宮、登山、観光旅行の発明、自然に対する美的価値の変化、都会における散歩、通行権をめぐる闘争、ベンヤミン、近代化と脱身体化、公共空間と女性、現代美術、ルームランナー、郊外、ラスベガスと盛りだく...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    写真家の石田さんの池ノ上QuietNoiseの展示の後、アンディに誘ってもらって光春で飲むぞの会に呼ばれたので行ったらその席の隣で、谷口さんたちがこの本の読書会後の懇親会をやっておられて、「ウォークス」面白いよと紹介してもらいました。下のリンクにもあるように、520Pの大作です。「暗闇のなかの希望―...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    歩行の歴史を語るなかに作者が散歩をするモノローグが挿入され、まさに思考がふらふらと歩き回るような過程をたどる。
    歩く対象としての自然が庭から山まで様々なかたちに変奏・解釈され、果てに歩くことのできない郊外にたどり着くのが特に興味深かった。
  • 定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか
    地震、洪水、大火災、そして9.11のようなテロリズムなどの暴力に出会ったときに、市井の人々が利他的に相互を助け合いユートピアともいえるコミュニティをどのように構築するかを描いた論考。本書の意義とは、災害によって極めて民主主義的とも言えるユートピアが立ち上がる可能性があるという点から、災害のもたらす影...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    (01)
    誰もができることとは言えないまでも,多くの人間たちが行うことができることとして「歩くこと」が本書では取り上げられる.全17章は,プロローグやエピローグにあたる部分を除けば,ほぼ時代を追う構成となっている.
    古代ギリシアの哲人たちや近代のルソーやキェルケゴールといった哲学者たち,無文字の時代...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    「説教したがる男たち」「暗闇のなかの希望」が面白かったいきおいで、ソルニットの主著(?)ともいえる「ウォークス」を読んでみる。

    500ページと分厚いうえに、かなり圧縮度の高い文章がつづき、ボーと読んでると、すぐに文脈がわからなくなる。というわけで、結構な集中度を要求する。

    内容としては、「歩く」...続きを読む
  • ウォークス 歩くことの精神史
    歩くことの歴史をたどり、その意味、メタファー、文学作品の中に現れる場面と効果などを丁寧に考察しようとすれば、これくらいの枚数(490ページ)は必要になるだろう。

    なるほど『偏見と自負』でも、歩くことは大きな意味を持っている。
    また、歩行に関する慣用句やタイトルが多いことや、女性が街を自由に歩くこと...続きを読む
  • 定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか
    自然災害は誰もが恐れ、できることなら起こらないでほしいと望むものだと思います。
    しかし、自然災害は起こります。現在でも日本は南海トラフ地震や首都直下型地震などの災害が来る来ると言われており、人々の災害への関心も高まっていると感じます。

    アメリカで起きたハリケーンや同時多発テロ事件が起きた時に人々が...続きを読む