大前粟生のレビュー一覧

  • ピン芸人、高崎犬彦
    お笑いの世界を描けるのは、現代の姿がすごくよく見えている人だという気がする。裾野が広がった上に先鋭化してしまって、先端も末端ももう見通せない。小説であつかおうとするだけで正直えらいと思うが、この作品はお笑いに味方されたり見捨てられたりしている人間を主人公に据えたことで、地に足が着いたものになっている...続きを読む
  • きみだからさびしい
    たくさんの恋愛の形が出てくる。相手と自分のスタンスが違う時、どう折り合いをつけるか。。という答えのないことについて心の動きが細かく書かれている。相手にあわせればいいということでもない。作品にも出てくる通り、性別の違いなどもあり、「対等」は難しいなあと共感した。

    あとは片付けもモチーフとして出てくる...続きを読む
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」
    恋愛がよくわからない、セックスに興味がない男の子が主人公ってだけでも心底嬉しかったのに後半は私が欲しかった言葉がいっぱいあって、読み終えた後に駅のホームで泣き崩れていた。
    世間に蔓延る嫌なことを拾い上げ、自問自答をしていく。
    それが誠実で凄く良かった。
    「つらい...続きを読む
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    すごく小さなものの集まりで、ぐるぐると回ってまた戻ってきたりして、それがオリジナルのものとして表出したりしなかったりするものが優しさに近いのかもしれない。初めて味わうような読書体験でした。
  • きみだからさびしい
    ここが良かった、このセリフが胸を打ったとか、そういうものを残しておけないくらい引き込まれて読んだ。
    あやめの不自由さや孤独、そのおもてにあるような快活さが好きだし、圭吾がお化けから始まり葛藤をじっくり炙るように燃させながらひとつ結論を得るまでが好きだし、青木の「おまえが幸せにならないと私は……」とか...続きを読む
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    映画化すると聞いて原作から読んでみました。表題作は独特の文章と主人公のあまりに繊細な思考がしんどくてしんどくて。でもそこがとても良い。私もたぶん学生の頃に漠然と考えていたはずのことが丁寧に丁寧に言語化されていて、痛々しいったらなかったです。(いやでも私はこんなに優しくなかったしもっとアホでした)

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  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    何回読んでも泣いてしまう。
    ずっと言葉にうまくできない自分のしんどさが七森くんのしんどさと繋がる。白城さんだってちゃんとやさしいし、ヤナだってちゃんとやさしいことがなんだか余計に苦しくなる。
  • きみだからさびしい
    最近自分のセクシュアリティについて考えることがあり、ポリアモリーについて知りたくてしらべてこちらを読みました。

    結果的に何か分かったか、というと私自身何か明確な答えを見つけられた訳では無かったけど、
    登場人物がそれぞれ感じていること、思っていること考えていることに共感したり、たまに共感できなかった...続きを読む
  • 死んでいる私と、私みたいな人たちの声
    『DVを受けているあなたは、誰???』

    〇〇からDVを受けているXX。って、あなたたち、誰だっけ?読み進めていくと、どうやらXXは幽霊らしいことがわかるけど、頭の中は混乱しっぱなし! でした…
  • きみだからさびしい
    素敵
    なんというか、とてもよくわかると思ってしまったらこの本の意味が無いのかも知れないけど
    でもこういう側面あるかもな私にもって
  • きみだからさびしい
    とても面白かった。
    わかる、昔その道(に似たとこ)を通った事ある
    わかる、わかるわかるわかる

    と同時にわからない。あの頃には聞かなかったし聞いても理解できなかった事が確実にある
    今なら知識としてわかる、そしてやっぱりわかる
    年齢を重ねたことで忘れていた、あまり気にしなくなったあの感覚がこの本にはあ...続きを読む
  • おもろい以外いらんねん
    日本のお笑い界で、男性優位の世界で、男性自身が違和感を持ち意識を変えていこうとする姿を見せてくれる本は初めて読んで、しかも男性の作家さんで、それがすごく嬉しかった!フェミニズムは女性だけの話ではない。古くからある根拠のない男らしさ・女らしさや価値観からみんなが解放されるべき。
    「自分が楽しんで笑って...続きを読む
  • おもろい以外いらんねん
    いままでは漫才とかお笑い芸人をおもろいから好きやなーっと漠然とした感情でしか観てなかったけど、芸人さんもいろんな葛藤があって、同じネタしてても1回1回感情とかちゃうんやろなって、次からそういうこと考えながらみちゃう

    このお話は、めっちゃ大きな出来事があるわけじゃなくて、ひたすら、人間の心の中を痛い...続きを読む
  • おもろい以外いらんねん
    自分がお笑い芸人に対して、日本のお笑いスタイルに対してもやっと思っていたことが明確に言語化されて、それを登場人物に喋らせて物語という作品に昇華させていてすごいなぁー。と思いました。

    刺さりました
  • おもろい以外いらんねん
    「本当に素晴らしい小説は、真に差別的であることはありえない」と言っていた人(たぶん佐藤亜紀『小説のストラテジー』だと思うが不確定)がいたのだけど、「おもろい以外いらんねん」もそういう意味で、そういう話だったと思う。「笑い」は「普通」からの逸脱とそれに対するツッコミで成り立つものだが、その「普通」が変...続きを読む
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)
    ⚫︎感想
    エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
    石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
    「かわうそをかぶる」浅倉秋成さ...続きを読む
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)
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    画面の
    向こうに
    隠された

    秘密と嘘
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    仕事帰りの書店で見つけて購入しました。
    「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフがあるということで。

    7作品中、6作品が平成生まれの作家さん。
    時代...続きを読む
  • ピン芸人、高崎犬彦
    2024年 24冊目
    アメトークでお馴染み、おもろい以外いらんねんの作者が描くピン芸人小説。
    ネタで笑いを取りたいけど、キャラやハプニングで笑いが取れてしまう、芸人としての不甲斐なさや歯痒さを捉えた作品であり、モグライダーともしげを勝手に想像してしまった。
    本の帯をかいてるのが苦渋を舐め続けてきたヤ...続きを読む
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)
    7人の作家のアンソロジー小説。
    VTuber、TikTok、位置情報を利用したアプリ、マッチングアプリ、YouTuber、Teams、故人のSNSアカウント・仮想通貨口座を題材にしており、令和の時代を感じる。
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    みんなが優しい世界。
    恋愛のあり方って、=性欲、独占欲、自己満足とかに繋がってることが当たり前になっていて、正直そんな世の中に戸惑いを最近感じてた。だけど、「私がすてきな私」、「すてきさが200%300%になることができる」人と出会うことができたなら、恋愛って形にわざわざ持っていかなくてもいい、自分...続きを読む