作品一覧 2024/02/28更新 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex) 試し読み フォロー 人間みたいに生きている 試し読み フォロー ブラザーズ・ブラジャー 試し読み フォロー ペーパー・リリイ 試し読み フォロー 1~4件目 / 4件<<<1・・・・・・・・・>>> 佐原ひかりの作品をすべて見る
ユーザーレビュー ブラザーズ・ブラジャー 佐原ひかり 父の再婚で家族になった弟はブラジャーをつけていた。 LGBTとか性癖ではなく、純粋に好きなファッションとして。 姉のちぐさは受け入れたが、ふつうじゃないと思われたくない、でも弟の好きを大事にしたい、と揺れる繊細な気持ちに共感できる。 まっすぐな思いをぶつけ合う、ちぐさと晴彦のやりとりに、グッときた。...続きを読む 読後も爽やかで、良かったです。 Posted by ブクログ 人間みたいに生きている 佐原ひかり 声の調子や何気ない動作で注目を集め、空気の色や温度を変えるような存在。……指揮者が振るタクトを追うように、目が自然と彼女の行動や表情を追い、意に沿うような音楽を奏でてしまう。(P.7) そんな時、私はどう応えればいいのかわからず、途方に暮れてしまう。何か言おうと思っても、でてこない。月並みな言葉すら...続きを読む形をとらない。心が立ちつくすのを感じる。そして、一つ覚えのように、「そんなことないですよ」と、ただ泉さんの吐いた言葉を打ち消すことしかできない。壁のしみに向かって、綺麗になりますように、と唱えているような虚無感を覚える。(P.57) 確かに、真面目、と言われる。友達にも先生にも周りの大人にも。でも、ぴんとこない。私は、親や大人に教えられたこと、言いつけられたことを守っているだけだ。挨拶をする、勉強をする、礼儀を欠かさない、逆らわない。子どもとして、生徒としてあるべきふるまいというものがあり、それを守っているだけ。するべきことをクリアしていれば、後ろ指をさされることもないし、なにより面倒が少なくて済む。もしそれらを「やめる」なら、どこまで崩せばいいのか、逆らえばいいのか、加減を考えなくてはいけない。そちらのほうが、よっぽど面倒だ。 それを真面目と言っていいのか、褒められていいものか、私は最近、わからなくなってきている。(P.60) 泉さんが言っていたコーティングの"魔法”がここにもある。食べ物にかぎった話ではない。私だってそうだ。ワンピースに帽子に靴下に靴に。ただ伸び続ける髪を切ったり伸ばしたりして、装飾している。(P.92-93) 若さに固執する人間は、いくらでもいる。欲望は金を生み、金は倫理を殺す。(P.115) 誰も得をしないのに、誰もそれをやめられない。世の中にはそういうことがいくつもあって、きっと気づかないほうが幸せでいられるのだろう。(P.120) カードから文字が剥がれ浮き、口の中まで雪崩を打って押し寄せてくる。だめだ。これを出したら、私はまた、後悔する。思ってもいないことを言うのは簡単で、それに慣れるのはおそろしく早い。一度やれば、歯止めがきかなくなる。誠意のない受け答えのないむなしさを「真面目」な私は、よく知っている。(P.131) 私たちは普段からこんなもので応酬をしていたのか。投げたい球だけ投げて、取りたい球だけ取って、それをコミュニケーションと呼んで。大切なものだ、と信じ切って。家族という名前で身を寄せ合い暮らしたところで、この程度の、お粗末な理解しかできない。体の感覚も、正確にわかち合うことはできない。ことばも、あてにならない。次の瞬間、何をするか、されるか、わかりもしない。(P.146) 大切なのは、理由があるということ。そして、謝る時間が謝られる時間に変わってゆくということだ。(P.173) ひとにやさしくしたり、思いやったりするのは、コントロールしてできることだ。心がけと忍耐と見せかけでどうにでもなる。だから私は、自分がやさしい人間なのだと思っていた。コントロールできる範囲のものを自分だと思いたがっていた。誰かを怒鳴りつけたり、傷つけたり、加虐して愉悦に浸ったりするなんて、そんなのは本当の自分じゃないと、苛立ち、落ち込み、後悔しては嘆いていた。 わからない。コントロールしていることも、できないことも、すべて本当の自分なのか、それとも、どれも本当の自分じゃないのか。自分じゃない、という感覚とどう付き合っていけばいいのか。闇の中、歩いているということだけわかったまま行き先もわからず歩くよう、なにもわからないまま、生きているふしぎを抱えて自分を生きている。(P.176) 世界のややこしさに、めまいを起こしそうになる。 見えている糸、見えていない糸があって、見えている糸もまたそれぞれの色に染まっていて。何本かは同じように見えていたとしても、少しの差異で織りなす世界は変わり、同じ物を完璧に共有することはできない。どうにか糸をほどいて、色を変えて、また織り直してみても、相手の視界には少しも近づけない場合がほとんどで。(P.184-185) 食べることに違和感のある女子高生のお話。食べることへの嫌悪感、そして、周りの人、家族に理解して貰えない辛さ、生きづらさ、とても共感できる。私も「真面目」と言われたことはあるが、褒められているのか、よく分からなかった。私は、自分の好きなことをして、オシャレをして、メイクをして変わっていく友達が羨ましかった。真面目の崩し方が分からない。確かになと思った。真面目と言われる度、好意を寄せられる度、褒められる度、私は、あなたが思っているような人間ではありませんと言いたくなるし、騙しているようで申し訳なくなる。結局、1番わかって欲しい人にだけ、自分がどんな考えを持ち、生きてきたのか。それを知ってもらうだけで十分なのではないか。と気付かされた。唯にとってそれは泉さんで、泉さんにとって自分を1番わかって貰いやすい人物が唯だった。年齢も性別も違うふたりが、程よい距離で、互いを思って生きる。現実世界ではなかなか成立しないこの関係が本の中では綺麗に完結していることに美しさを感じる。私もそんな人に出会えるだろうか。 Posted by ブクログ ペーパー・リリイ 佐原ひかり 結婚詐欺師の娘(姪)と、その結婚詐欺師に騙された女が一緒に旅する話。 その展開自体面白いのに、最後の数ページでさらにとんでん返しというか、前提が変わる展開もあって最後まで目が離せない。 Posted by ブクログ ブラザーズ・ブラジャー 佐原ひかり 程よいページ数、かわいい装丁、中身、全部が良かった!ちぐさの黙りがちな性格に対して絵美が言ったことは的を得ているなと思った。おとなしい人が全員千草のような考えを持っていると思わないが、わたしもあまり口数が多い方ではなく、喧嘩した際も言っても伝わらないからと決めつけて黙ることが多い。相手にはそれが伝わ...続きを読むっていたのかと絵美の発言で気付いた。 ブラザーズ・ブラジャーでは晴彦のちぐさに対しての呼び方が「あんた」だったのに、ブラザーズ・ブルーでは「ちぐさ」に変わってるのが良かった。 最後の海でちぐさが晴彦のブラジャー姿の良さを叫ぶシーンは特に好きだった。智くんといた時のちぐさとは全く違って、思ったことをどんどん言う姿は本来のちぐさのようで見ていて楽しかった。 Posted by ブクログ ブラザーズ・ブラジャー 佐原ひかり 主人公の父が再婚し、弟になった母の連れ子はブラジャーを着けていた…。LGBTや多様性の話かと思ったら少し違った。でも他人に理解されにくい個性を認めてあげるという点では同じ主題なのかも。 Posted by ブクログ 佐原ひかりのレビューをもっと見る