ウィリアム・H・マクニールのレビュー一覧

  • 疫病と世界史(下)
    下巻は時代の下降とともに人口変化などのデータが増えてきて、より説得力が増す。と同時に、歴史上の出来事における疫病の与えた影響の大きさが感じられる。1500年代の新大陸に起きた出来事は圧巻の筆致。あっけなく侵略されてしまったのは、そういうことも要因だったのかと。
    今の時代に生きるありがたみを強く覚えた...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    何かしらの偶然でこの本を知り、読めた。本の価値とは決してボリュームではないことを確信できる。
    今までは「銃鉄病原菌」が最高と思ってきたが、マクニールの素晴らしさで目から鱗。
    中高で学んだ「歴史を塗り替える」とは戦争で打ち勝つこと、民族は前に進んで行ったという論理。

    だが、この本を読むと 救いのない...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    下巻の半ばから、ようやく(期待していた)本題。

    何故、かくも少数のスペイン人に、アステカとインカという二つの大帝国が征服されたのか。
    確かに、スペイン人がやってきて疫病が大流行して膨大な死者が出、且つスペイン人は疫病の被害を受けない。それなら、人口が激減して軍のみならず国家も社会も崩壊するし、「神...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
     人類の世界共同体化と西洋の興隆において、疫病と免疫が果たした役割の重要性を指摘した著述。これまで世界史というと武器・農機具・移動と生産に関する技術の発展の観点から語られることが多かったけれど、実は生物学的なプロセス、具体的には病原体と人間の免疫の共進化が強い影響力を持っていたという話。
     現代の文...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    人間もペストやコレラに負けじと……隔離政策や予防接種、研究などに力を入れてきたその始まりが鮮明に描かれている。
    原住民さんが可哀相。
  • 疫病と世界史(上)
    天然痘等の人類にとっては突発的に表れたミクロの病魔との戦いの歴史。
    文明の興亡に深く、絡んでいることに驚いた。
  • 疫病と世界史(上)
    (途中 2014年11月6日)
    疑問1「中南米大陸特有の病原菌がピサロやコルテス等ヨーロッパ人に感染しなかったのか」→病原菌の数や歴史の長さ、多様性が違う?
    疑問2「なぜアメリカ大陸の熱帯地方はアフリカと違い、人類の居住を妨げる程ではなかったのか」

    2019/5/27
    #感染症は食物連鎖に組み込ま...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    感染症が土着化すると、人口減少への圧力が減少、人口増へ
    民間の習俗は、疫病を防止することも助長することもあった。モンゴルの、モルモットは先祖かもしれないから狩らないようにする慣習はペスト菌との接触を遠ざけた(が、その慣習がなかった漢民族がかかった)
    タミル人の、水は毎日組み、室内で長期間そのままにし...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
    歴史を理解する上で、気候変動と人口動態は考慮しなきゃならんと思っていたが、そこに疫病も追加せねば。。。

    疫病は身体的にだけでなく、精神的にも人、社会を打ちのめす。(だから、南米の古代帝国はスペイン人に屈した)

    日本では、人口が十分になり、疫病が風土病として固定されるまでは、社会に免疫がつかず、1...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    疫病の発生過程の説明にまず驚かされた。初期の人間は、生態系の中に組み込まれており、自然な疫病による人口統制がなされていた。しかし、狩猟や農耕を始めることによって生態系を壊し、ミクロな病原菌の生態系をも壊すことによって細菌の繁殖力を増強することによって都市病等の病気にかかるようになっていった。このよう...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
    疫病の発生過程の説明にまず驚かされた。初期の人間は、生態系の中に組み込まれており、自然な疫病による人口統制がなされていた。しかし、狩猟や農耕を始めることによって生態系を壊し、ミクロな病原菌の生態系をも壊すことによって細菌の繁殖力を増強することによって都市病等の病気にかかるようになっていった。このよう...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
    世界史の大家であるウィリアム・H・マクニール先生による、疾病が及ぼした影響から世界史を読み解こうとする野心作。大変ざっくりした展開で驚くが、古今東西の具体例がふんだんに盛り込まれているので、納得できる。

    「マクロ寄生」と「ミクロ寄生」に挟まれる「宿主」。バランスをうまくとることで、この三者は存在し...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    上巻より読み応えあり。
    インカやアステカが滅亡してしまったのはヨーロッパ人の軍事力が高かったからと思っていたけど、ほとんどが未経験の疫病によるところと知って、そのスケールの大きさになんとも言えない気持ちになる。
    現在も北センチネル島をはじめ未開の部族といわれる人々との交流が制限されていることに納得が...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
    世界史を疫病の面から考察していて面白い。ぱっと思い付いたのは中世ヨーロッパのペストと新大陸の疫病くらいだったけど、至る所で病気の流行と人口減少は発生していたのだろうと考えさせられた。
    ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』と合わせて読むとより面白いかも。
  • 疫病と世界史(上)
    疫病からみた人類史の考察。病原体によるミクロ寄生だけでなく、文明によるマクロ寄生という視点。人口増加にはマクロ寄生とミクロ寄生の両方の克服があったとする。科学技術の発達で予防接種の行われる時代に生きることがなんとありがたいことか。ただ、ツエツエバエは怖い。
  • 疫病と世界史(下)
    第四章は、中世ヨーロッパで黒死病と恐れられたペストがユーラシアの草原に棲む齧歯類から広がっていくことを示す。第五章は、大航海時代にアメリカの新大陸に渡ったヨーロッパ人が、免疫系の整っていなかった現地のインディオに与えた影響を論じている。ジャレド・ダイアモンドが「銃・病原菌・鉄」で著述しているように、...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
    原書が執筆されたのは1970年代の半ばで加筆されたのは1998年。新型コロナウィルスが猛威をふるう20年以上も前のことだが、「序」で述べられる、グローバルな社会では感染症が一瞬で世界中に広がるだろうとの記述は、コロナで苦しむ現代社会を予言しているかのよう。
    著者は感染症が及ぼす破滅的な影響の例として...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    ダイヤモンドの銃病原菌鉄を大分前に読んで感動したが、疫病を中心に書いている本書のスペイン人が中南米に勝った一連の疫学的作用はこっちの方が俄然分かりやすいし、説得力がある。想像力が豊かだし、本当にそうだったんだろうなと言う凄まじい説得力がある。その上、結びに書いてあるこれからのインフルエンザを中心とし...続きを読む
  • 疫病と世界史(下)
    疫病・感染症との関わりという視点でみたマクニール先生の世界史講義。下巻は、モンゴル帝国の勃興から、近現代(1950年代)ころまでを扱っている。

    上巻よりも時代が下ってきているせいか、具体的なエピソードが多くなり、マクニール先生の筆も迫力を増している。世界史の大きな転換点には、いつも疫病との闘いがあ...続きを読む
  • 疫病と世界史(上)
    疫病・感染症との関わりという視点でみたW.マクニール先生の世界史講義。コロナウィルスが拡大を続けているから、ということではないけれど、なんとなく手にとった一冊。上巻は、原人たちの存在した時代、歴史時代から、モンゴル帝国の勃興の前頃までを扱っている。

    上巻では、私たちが文明を持つずっと昔から、私たち...続きを読む