長谷川修一のレビュー一覧
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『歴史学者と読む高校世界史』の第01章が面白かったため、長谷川修一の過去作として手に取った。旧約聖書の記述の全てを原理主義的に信じることは(信徒でないこともあり)元からしていなかったが、では実際にはどこまでなら史学的・考古学的に一次史料から確かめられるのか、という点について良い概説を提供してくれた。...続きを読むPosted by ブクログ
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ヘブライ語聖書(旧約聖書)がどう成立していったのか、なぜそれが必要だったのかというところがたいへんわかりやすく、おもしろい。
十戒の「主の名をみだりに唱えてはならない」というのを馬鹿正直に守りすぎてやがて正確な発音が失われたっていう話もおもしろい。(ヤハウェという読みは言語学的な推測だそうで)Posted by ブクログ -
世界史で聖書の存在を知ったとき,あるいは実際に聖書を読んだとき,「どこまでか史実なのか?」という疑問を抱くと思う。全てが史実なわけではない,かといって全てが空想でもない。
本書は,考古学の視点から聖書と史実の関係について概説したものとなっている,学問としての線引きについて知っておくと良いだろう。族...続きを読むPosted by ブクログ -
西洋美術を入口に聖書に興味を持って何冊か読んでみいる中で、学問的な色合いの本を探しているときに本書に出会った。
本書は考古学、歴史学の見地から旧約聖書の記述を検討していて、その史実性を跡付けようとしている。
決して宗教の虚偽や欺瞞を暴露しようと意図しているわけではなく、あくまで学問的に何が実在してい...続きを読むPosted by ブクログ -
帯の宣伝文句のような「本書は現地調査に従事する研究者の、大いなる謎への挑戦である」といった派手さやワクワク感はないが、読んでいて楽しい本だった。
考えてみると、自分も含めて多くの日本人の聖書の知識はお粗末と言わざるをえない。本書にもあるが、高校の教科書にはモーゼは実在の人物として登場し、出エジプト記...続きを読むPosted by ブクログ -
旧約のアブラハム以降のダイジェストと、そこでの出来事が遺跡や他の文献に
どうリンクしているかを解説する。
長い歴史を通じて多くの人に読まれてきた聖書の記述、
そのどこからどこまでが史実なのか、やはり興味が尽きないところ。
他の民族が滅ぶなかで、ユダヤ人のみが同一性を保ち得たとのことだが、
おそら...続きを読むPosted by ブクログ -
啓蒙思想の考えから、聖書を様式史として研究するアプローチに対して、聖書考古学では、考古学の発掘などのアプローチによって聖書の史実を検証しようとしている。この分野の本は、訳本ばかりだったので、日本人による新書で発刊されてよかったと思う。
本書の内容は、1.2章で、一般的な聖書の解説、考古学の手法の基...続きを読むPosted by ブクログ -
聖書には、事実とかけ離れた(事実とは思われない)記述がかなりある。そういった虚構を
崩す姿勢は、過去を明らかにする好奇心でもあるし、また、神の真意に近づく信仰でもある。「聖書学」というのは、こうした目的から始まった学問だ。その研究の手段として、主に考古学と史料批判がある。
現在の聖書考古学は、聖書...続きを読むPosted by ブクログ -
自分はどちらかというと原理主義的キリスト教信仰教育を受けてきた者だが、ある程度の年齢となりそれなりの人生経験を積んでくると、過去に信じていた内容を否定するものであっても、自分なりに冷静に、そして今まで蓄えてきた知識を持って論理的な判断を下す事ができる様になる。
この本では、旧約聖書に記されている内...続きを読むPosted by ブクログ -
古事記も引き合いに出し、旧約聖書を成立させた動機は、仮説だが、説得力がある。
その後は、地域限定の古代史そのもの。年代特定方法も含めて、考古学的。
逆説的になるが、現代まで連なるユダヤの民を見るに付け、「正典を持つ」威力を感じた著作であった。Posted by ブクログ -
本書は、旧約聖書の物語は考古学的に証明できるのかという観点から考察する書です。考古学であるから、発掘結果ベースということにはなるのだけど、旧約聖書の記述には少なからず時代錯誤が含まれているという点にはまさに目からうろこ。細かい点を記憶するつもりもなく読んだのですが、ざらっとユダヤ教の誕生の歴史もおさ...続きを読むPosted by ブクログ
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楔形文字は、非セム語のシュメール語のためのものだったが、古代セム系民族はこれらの文字を採用した。代表的な言語はアッカド語
シュメル語の洪水伝説、ギルガメシュ、アトラハシースの3つが洪水伝説として有名
メギドでギルガメシュ叙事詩の粘土板断片が発見
上エジプトのベニハサンには、紀元前19世紀のへきがが...続きを読むPosted by ブクログ -
著者の前作『聖書考古学』に引き続き、旧約聖書に書かれているエピソード史実性を調査するという内容。
私はそもそも旧約聖書を読んだことがないけど、そういう読者にもわかるようにそのエピソード自体も解説してくれるのでとても読みやすい。
旧約聖書自体を勉強しながら読むこともできて面白かった。
Memo:...続きを読むPosted by ブクログ -
結構内容は面白かったが、私自身は作者に大学で習った人間なので、まだ大丈夫だったが慣れない人には難しいと思った。イスラエルなどのオリエント関係を勉強したい人には良いかもしれない。Posted by ブクログ
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前年に発行された同じ著者の「聖書考古学入門」の姉妹編ともいうべき本で、考古学の基本を解説した後、旧約聖書の7つのエピソードについて、考古学的に解説している。
考古学の基本も簡単ではあるが一番大切なことを解説しており、そのうえで数字をどのように読むのか等考古学的手法の解説が述べられており、結論という...続きを読むPosted by ブクログ -
旧約聖書の「ノアの方舟」「出エジプト」「エリコの壁」「ダビデとコリアテ」「シシャクの遠征」「アフェタの戦い」「ヨナ」、7つのエピソードについて考古学・歴史学的考察を加えた本。大変興味深いとともに、最後に記される聖書の文化的価値についても考えさせられる好著。Posted by ブクログ
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聖書の考古学であるが、旧約聖書の初めの部分が、紀元前2000年ごろと旧約聖書で、書かれている部分が、ほとんど、確かかどうかわからないとか書かれているが、書かれている人物が120歳、160歳まで生きたとか書かれていると本当かどうか、明らかと思うが、でも、当時のことが書かれた碑文がないので、確かではない...続きを読むPosted by ブクログ
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聖書の記述はどこまでが真実なのか、誰が纏めたのか、を考古学の手法で検証すると同時に「イスラエル人」はどこから来たのかという謎についても言及している。また、聖書の記述の考察だけでなく考古学における発掘作業や遺物の同定の難しさ、聖書を歴史の史料として扱うことの難しさについても取り上げている。文書史料の...続きを読むPosted by ブクログ