ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
聖書の記述には、現代の我々からすると荒唐無稽に思えるエピソードが少なくない。いったいどの程度まで史実を反映しているのだろうか。文献史料の研究にはおのずと限界があり、虚実を見極めるには、遺跡の発掘調査に基づくアプローチが欠かせない。旧約聖書の記述内容と考古学的知見を照らし合わせることにより、古代イスラエルの真の姿を浮かび上がらせる。本書は現地調査に従事する研究者の、大いなる謎への挑戦である。
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
『歴史学者と読む高校世界史』の第01章が面白かったため、長谷川修一の過去作として手に取った。旧約聖書の記述の全てを原理主義的に信じることは(信徒でないこともあり)元からしていなかったが、では実際にはどこまでなら史学的・考古学的に一次史料から確かめられるのか、という点について良い概説を提供してくれた。...続きを読むダビデあたりの伝承が境界例であり、分裂王国時代以降に少しずつ考古史料が増えてゆく過程について学ぶことができた。読んでいて興味深かったのは、聖書考古学におけるシュメール文明とアッカド語の重要性の高さ。古代ヘブライ語や古代ギリシャ語以外にも、アッカド語が読めるかどうかが、古代オリエント史におけるイスラエルの民の歴史を追跡するうえで重要であることが、史料活用の中で伝わってきた(同じ著者のちくまプリマー新書『謎解き 聖書物語』でもそうした史料活用のようすを確認することができる)。
世界史で聖書の存在を知ったとき,あるいは実際に聖書を読んだとき,「どこまでか史実なのか?」という疑問を抱くと思う。全てが史実なわけではない,かといって全てが空想でもない。 本書は,考古学の視点から聖書と史実の関係について概説したものとなっている,学問としての線引きについて知っておくと良いだろう。族...続きを読む長時代から新約時代,とはあるが,実際メインに扱っているのはアブラハムからダビデまでで,旧約聖書のモーセ5書と歴史書が該当する。
西洋美術を入口に聖書に興味を持って何冊か読んでみいる中で、学問的な色合いの本を探しているときに本書に出会った。 本書は考古学、歴史学の見地から旧約聖書の記述を検討していて、その史実性を跡付けようとしている。 決して宗教の虚偽や欺瞞を暴露しようと意図しているわけではなく、あくまで学問的に何が実在してい...続きを読むるといえるか、と批判的で冷静な学問的立場を維持している。 神によるこの世の創生からではなく、アブラハムから始まる族長時代からが検討対象で、聖書の中であまりメジャーではない(?)ソロモン後からバビロン捕囚までの時期の歴史に割と多くのページを割いているのは、史料と発掘物に語らせる姿勢の表れかもしれない。 そのため、族長時代や出エジプト記が歴史的に実在していたかどうかは、明確に判断されていない。黒白はっきりしてほしい人には不満が残るかもしれないが、私は著者の真摯さが感じられて好感が持てた。 聖書のストーリーの説明はあまりないので、ある程度旧約聖書の知識があった方が楽しめるだろう。
帯の宣伝文句のような「本書は現地調査に従事する研究者の、大いなる謎への挑戦である」といった派手さやワクワク感はないが、読んでいて楽しい本だった。 考えてみると、自分も含めて多くの日本人の聖書の知識はお粗末と言わざるをえない。本書にもあるが、高校の教科書にはモーゼは実在の人物として登場し、出エジプト記...続きを読むも史実のように書かれている。史実だと思っていたことについて、フィクションの可能性が高いと指摘されるのは知識の修正という意味で有意義と思う。 「聖書考古学」とは、「聖書の歴史記述の深い理解に達するため、特に聖書の舞台となった古代パレスチナを中心とした考古学」という。そして、本書では、「信仰の対象としての聖書からは距離を置き、聖書を『人間が何らかの意図を持って書き、また編集したもの』として批判的に扱」っている。 例えば、イスラエル人には「大イスラエル主義」という政治的主張がある。これは「カナンの地全体がイスラエル民族に神から与えられたものである」という旧約聖書の信仰につながっている。一方、考古学的発見から、平野部にいたカナン人の一部が山地に住むようになり、彼らが次第に独自のアイデンティティを形成して後にイスラエル人として出現したという有力な説もある。しかし、出エジプト記がまったくのフィクションだと断言できないという聖書考古学の限界も、この本から読み取れる。 歴史本のブームの中で、自分の中にある史実を見直すきっかけとなってくれる本ということで良書と思う。お勧め。
旧約のアブラハム以降のダイジェストと、そこでの出来事が遺跡や他の文献に どうリンクしているかを解説する。 長い歴史を通じて多くの人に読まれてきた聖書の記述、 そのどこからどこまでが史実なのか、やはり興味が尽きないところ。 他の民族が滅ぶなかで、ユダヤ人のみが同一性を保ち得たとのことだが、 おそら...続きを読むく旧約の存在がユダヤ人を常につくり出してきたのだろう。 ユダヤの民族が生み出した約束の書、旧約。 それがいつの間にか信仰を通じてユダヤを作り出す書物へと変化したことが想像された。
啓蒙思想の考えから、聖書を様式史として研究するアプローチに対して、聖書考古学では、考古学の発掘などのアプローチによって聖書の史実を検証しようとしている。この分野の本は、訳本ばかりだったので、日本人による新書で発刊されてよかったと思う。 本書の内容は、1.2章で、一般的な聖書の解説、考古学の手法の基...続きを読む本的な説明と、オリエントの地独特の考古学についてまとめている。3~6章で、アブラハム、カナン征服、王国からバビロン捕囚、キリスト教へ(死海文書まで)をまとめている。7章では、今後の考古学、今後の聖書学についてまとめている。 3~7章は、聖書のあらすじの説明や聖書からの引用が多いとは思ったが、入門書の特性上仕方がないと思う。しかし、自分のように慣れていても、地図、時代(歴史などの年表)は、別紙の方がわかりやすいと思った。歴史と場所が複雑さが、旧約時代を理解する難しいところだと思うので。
聖書には、事実とかけ離れた(事実とは思われない)記述がかなりある。そういった虚構を 崩す姿勢は、過去を明らかにする好奇心でもあるし、また、神の真意に近づく信仰でもある。「聖書学」というのは、こうした目的から始まった学問だ。その研究の手段として、主に考古学と史料批判がある。 現在の聖書考古学は、聖書...続きを読むのなかの歴史的事実を明らかにすることが、主な目的となっている。信仰は別件だ。 考古学は「モノ」を取り扱う。それによって、客観的な事実が明らかになるのだ。しかし、「モノ」は何も語らない。「モノ」が語らない部分、言い換えれば「ヒト」が語る部分は、史料で明らかにするのである。 考古学の調査で、聖書の脚色が次々と明らかになっている。特に、出エジプトが今のところ根拠を持たないものであることには、驚いた。 久々に、聖書を紐解いてみよう。
聖書の事象の証明、確認に科学的手法・考古学からアプローチする面白さと難しさがよくわかる。 一気に読める読みやすい好著。
古事記も引き合いに出し、旧約聖書を成立させた動機は、仮説だが、説得力がある。 その後は、地域限定の古代史そのもの。年代特定方法も含めて、考古学的。 逆説的になるが、現代まで連なるユダヤの民を見るに付け、「正典を持つ」威力を感じた著作であった。
結構内容は面白かったが、私自身は作者に大学で習った人間なので、まだ大丈夫だったが慣れない人には難しいと思った。イスラエルなどのオリエント関係を勉強したい人には良いかもしれない。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
聖書考古学 遺跡が語る史実
新刊情報をお知らせします。
長谷川修一
フォロー機能について
「中公新書」の最新刊一覧へ
「学術・語学」無料一覧へ
「学術・語学」ランキングの一覧へ
世界史のリテラシー ユダヤ人は、いつユダヤ人になったのか バビロニア捕囚
旧約聖書の謎 隠されたメッセージ
謎解き 聖書物語
「長谷川修一」のこれもおすすめ一覧へ
▲聖書考古学 遺跡が語る史実 ページトップヘ