カロリン・エムケのレビュー一覧

  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について
    強制収容所の生還者、捕虜、強姦、虐待など過酷な体験からのサバイバーが自らの体験を言葉にする大変さ、言葉の重さ、沈黙に触れている。話の文脈もバラバラだったり、言葉に詰まりながらの語りは当たり前で、彼らとそうした体験を持たない聴き手との断絶を意識しながら、彼らの傍らにいて切れ切れの言葉を聴いていく、聴き...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    全体的に当たり前のことを書いているだけなんだけど、具体性と詳細さで細やかな部分まで主張を伝えてくる。当たり前のことに詳細に気づくことの難しさを感じるし、そういうことをきめ細やかに内省させてくれる。そして自分で気づき続けなくてはならないことを教えられる。のだが、こういう本を読む人にはたぶん少なからずそ...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    ドイツクラウスニッツに到着した難民達のバス、アメリカニューヨーク州スタテンアイランドで脱税たばこを売っていたと疑われて警官に取り囲まれたエリックガーナー、共に一方的な他者の憎しみが描かれている。バスの中の難民一人一人の境遇があるにも関わらずな難民として不可視な存在として全てを排除しようとしているので...続きを読む
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について
    それは言葉にできるからとカロリン・エムケは信じる。とても言葉にできない体験も、時間や聞く人への信頼などによって言葉になることもある。聞くこと、伝えることの大切さを説いて素晴らしい。他者の苦しみ、故郷などの体験から語られる文章にも感銘を受けた。彼女の弱者に向ける視線と本質を見極め言葉にする力にこれから...続きを読む
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について
    2019年?冊目。(最近レビュー執筆怠り数え忘れた...)

    『憎しみに抗って──不純なものへの賛歌』から注目していたジャーナリスト、カロリン・エムケの新刊(原書の出版は2013年で、『憎しみに抗って』よりも前)。

    年末年始、他に読みたい本がたくさんあるけれど、これは連休中にもう一度読み返さなけれ...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    世に蔓延る差別に対する指南書
    多様性なんて言葉が流行りとして使われてるうちはダメなんだろうなぁ
    そして皆にこの本をお勧めしたいが、まず読むのが(内容的にも)面倒くさいと感じるであろうと察するので、まずはその面倒くささを取っ払う活動しようっと
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    2018年18冊目。(再読)

    〉2018年17冊目。
    〉読み始めてすぐに心臓がばくばくし、読み終えてすぐに「もう一度読まねば」と急き立てられた。

    の通り、初読の直後にもう一度読んだ。思うところが多すぎて、それでもまだうまくまとまらない。長く付き合うことになる一冊。
    ==========
    2018...続きを読む
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について
    ホロコーストやユーゴの集団強姦などの非人道的な暴行・扱いを受けた人間が、なぜ自分の身に起きた出来事を話せないのか。
    常軌を逸した出来事を経験したからこそ、それを首尾一貫して説明できることは難しい。被害者の供述が曖昧だったり支離滅裂だった時、決してそれはその被害者の記憶力や説明力が問題なのではなく、た...続きを読む
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について
    言語化することは、その治療的側面からとても深い意義がある。その人の内面の課題を解決するためには、内面を言語化するしか方法がないと私は思っている。
    カウンセリングにしろ、トラウマ治療にしろ、その基本は「傾聴」することだ。すべてそこから始まる。ナラティブセラピーしかり、メンタライジングしかり。発達の未熟...続きを読む
  • イエスの意味はイエス、それから…
    旧西ドイツに生まれた著者、カロリン・エムケは、日本ではまだメジャーではないジャーナリストだ。
    現在は議論の場を設けたり、幅広いテーマで著作活動を行なっており、精力的な活動を行なっているという。
    彼女、そして本書に出会えたことは、大変良い出会いであった。

    日々、私には何ができるのだろう、とか、なんと...続きを読む
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について
     強制収容所での拷問、戦時中の集団強姦など、悲惨な体験をした被害者たちの話を聞いてきた著者。彼らが「それ」としか呼ぶことができない体験を言葉にしていくことの意義や、その過程で聞き手側に望まれる態度について論じるエッセイ集。後半は、故郷についてや、旅をすることについても語っている。

     印象に残った部...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    自分が傷つけられたことには意識的である。反対に人を傷つけたことには、気がついていないのだろう。多分、これまで、何気なく人を傷つけきたのだろう。
    多数派である限り気がつくことができない。さまざまな人がいる。よく対話をすることなくして、安易な思い込みでの発言や、軽はずみな発言は控えなければならない。
    ...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    やっと読めた。
    半分くらいから、頭に入ってこなくてつらかった。
    なぜだろう...
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    憎しみに憎しみで返すのでなく、
    なぜそうなっているのか前提や状況に知ろうとすること。

    人種、マイノリティ差別がテーマだけど、
    日々の周りの人への憎しみへの心構えとしても参考になるもの
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    差別について、違う表現方法で同じことが繰り返し繰り返し書かれている。ジャーナリストであり、同性愛者である作者。「駅で拍手をしたことが一度もなくても、私は軽蔑される人間たちのひとりなのである。私の愛し方ゆえに。考え方、書き方ゆえに」という一文が印象に残った。