アーシュラ・K・ル=グウィンのレビュー一覧

  • いまファンタジーにできること
    アーシュラ・K・ル=グウィンによる、読み手たち(または書き手たち?)への講義録。とても面白かった! まだ生きていらして、「文体の舵をとれ」のような講義を行なっていらしたら! と心から思う。わたしはファンタジーが大好きで書いているので、不注意にならないようにやっていきたい。封建制度もどきの量産なんても...続きを読む
  • 文体の舵をとれ
    実際に作家志望者向けのクラスを持っていたル=グウィンによる、文法から徹底的に学ぶ文章講座。練習問題も多数掲載。


    はじめにル=グウィンの作品を一つも読んでないことを懺悔しつつ、本書は大変面白かったです。
    ル=グウィンの教えは「独りよがりな文章を書かない」という点に重きを置いていて、そのために文法を...続きを読む
  • 文体の舵をとれ
    小説を書く人向けの文章指南本。より良い文章を書くための技術を様々な角度から教えてくれる。原文が英語なので日本語への置き換えだと理解が難しい箇所もあったが(特に時制の辺り)、視点(POV)など基礎的な部分から、文の響きや繰り返し表現など日本のハウツー本ではあまり見られないような内容もあり、自分の文章に...続きを読む
  • ラウィーニア
    語り手としてのラウィーニア、生きているラウィーニア。読者として物語に向き合ったが、両者は、一体化したり離れたりを(よく練られた語りに!)感じさせすぎることなく、ただ、「ひとり」の人間として在ったと思う。ときどき冷静な視点が内省するところは読者/わたしにも良い振り返りどきになったし、終わりの語り手とし...続きを読む
  • パワー 下 西のはての年代記III
    読者を呑み込む、というのだろうか。いやそれでは乱暴に過ぎる。けれどわたしは、この物語を読んでいるあいだずっと、主人公とともに歩んでいたように思う。信じては裏切られ、また、助けられ助けてという旅路。奴隷であり、追われるものであったという「鎖が切れたと思う」という表現は前後の文脈含め完璧にひとつの「流れ...続きを読む
  • パワー 上 西のはての年代記III
    この物語には、アーシュラ・K・ル=グウィンの頭のなかには、わたしたちが自分が属すると思っている以上の集合体の声が、流れているにちがいない。
    わたしは、大きな絶望感と空虚感の最中に、ほぼ偶然これを手に取って読んだ。グウィンは、むろんその腕を最大限伸ばして知識を得ただろうが、それのみに留まらず、実際に起...続きを読む
  • いまファンタジーにできること

    原点回帰の書

    「童心に返る」まさにそんな気持ちにさせてくれる本。
    ファンタジーとは何か、その根本にある動物物語とは何か?を繰り返し真摯に問うエッセイ。
    夢中になって物語を読み耽った頃を思い出し、やっぱり読書っていいな、ファンタジーが好きだな、と改めて感じる一冊。
  • ヴォイス 西のはての年代記II
    グウィンの作品の中でどれが好き? という(ある意味とても酷で厄介な)問いを投げかけられたら、いまの私は「ゲド戦記」や「闇の左手」よりもこの本(「西のはて年代記」二巻)をえらんでしまうかもしれない。そのくらい気に入りで、また、わたしにはまだおぼろげにしかわからない深い霊性を湛えた本のように思う。物語そ...続きを読む
  • ラウィーニア
    あとがきまで愛に溢れて少し切ない。幅広い読者層に受け入れられると確信!

    ウェルギリウスと『アエネーイス』へのル・グウィンさんの敬意と、彼女に対する翻訳の谷垣暁美さんの敬意で二重に包まれた、温かく素敵な一冊がいま私の手元にある。

    ・とある国のお姫様が男に出会う
    ・その男は未来で叙事詩を書いたウェル...続きを読む
  • 文体の舵をとれ
    「ゲド戦記」「闇の左手」、どちらも大好きで、かつ自分の物語づくりに悩んでいた私は飛びついた。数々の難題が繰り出されてくるが、それでも取り組んで良かったと思う。ただし底に共通設定があるイマドキの「ファンタジー」ではなく、「一から物語を作り(あるいは聞き)語りたいものの話」向け(だからこそ私にはとても合...続きを読む
  • パワー 下 西のはての年代記III
    『西のはての年代記III』の上下巻。

    表題はパワーだが、原題はもちろん複数形。個人の背景となる「権力」でもあり、個人の持つ「力」でもある。主人公のガヴィアは姉のサロとともに幼いときに水郷の地空奴隷狩りによって都市国家エトラの「アルカマンド」につれてこられて働いている。かれは、ひと目見たものをすぐさ...続きを読む
  • ラウィーニア
    ローマ建国前のイタリア。トロイアから落ち延びた英雄アエネーアスと結ばれた、ラウィーニア姫の愛と冒険の物語。さすがグウィン❗️読み応えたっぷり‼️
  • ギフト 西のはての年代記I
    ル=グウィンの『ゲド戦記』シリーズのあとしばらくたった書かれたファンタジー。少年オレックと少女グライの物語。

    オレックはカスプロマントの跡継ぎで、代々「もどし」のギフトを継承することが期待されている。グライは隣国のロッドマントの生まれで、母から「呼びかけ」のギフトを継承している。「呼びかけ」のギフ...続きを読む
  • ラウィーニア
    古代イタリア、ラウィーニア姫の物語。そこかしこに神がいる世界、戦があり平和がある。儀式があり読み解くお告げがある。日常を営む多くの人が共に住む場所に。
    身体を脱ぎ捨てた彼女の意識は、どの時のどの場所でどんな人々を見ているのだろう
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    とても上質なエッセイ。
    こういう本が翻訳され続けるように、知的人でいる努力を重ねたい。
    この本をおもしろいと思える読者が今後も絶えませんように。
  • ラウィーニア
    ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」にほんの少しだけ触れられているアエネーアスの妻ラウィーニアを語り部として「アエネーイス」の物語を描く。
    といってもウェルギリウスの「アエネーイス」なんて、世界史の知識としてしか知らず、トロイの木馬で有名なあの戦争の負けた方の人の話というぼんやりとした知識のまま読...続きを読む
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    偉大な作家が晩年に始めたブログの記事集。長い?人生を生きていくのにヒントになることがたくさん得られる。
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    あー!それ言っちゃう!という胸のすくようなエッセイが多くあった。著者の正直さ、誠実さが滲み出ている。

    特にうちなる子どもをカルトと言い、酸素だけを食べる人の話しがお気に入りだ。アンケート、信じること、怒りについても示唆に富む。

    『怒りの葡萄』は読もうと思った。

    2018年に亡くなっていたことを...続きを読む
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    実は、エッセイなのに、彼女のことをほとんど知りませんでした。
    でも、パラリとめくって読んだ言葉たちから、彼女のウィットに富んでいて、きっと剛毅で、でも軽やかで、年齢と同時に培われた含蓄を感じ、けして安い本ではありませんでしたが、すぐに購入を決めました。

    予想は大当たり!
    クスッと笑えて、ほっこりで...続きを読む
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    出だしからもうおもしろくてこの先に書かれていることであろうことにわくわくしている。
    お気に入りの猫パードについての「パード日記」、自分が書いた文章が誤って引用されていたことから展開する「内なる子どもと裸の政治家」など。