伊藤朱里のレビュー一覧

  • きみはだれかのどうでもいい人
    連作で綴られていく、それぞれの「事情」。みんな生きていれば何かしら「事情」がある。それはわかっている。だから同情してあげなきゃ、味方してあげなきゃ、納得してあげなきゃ、許してあげなきゃ、と思うけど、そんな余裕なんかどこにもなくて。あげて、あげて、お返しに、わたしは何がもらえるの?「事情」があるのはお...続きを読む
  • 緑の花と赤い芝生
    バリキャリな小姑と、ゆるふわな嫁のマウントの取り合いというレディコミみたいな設定なのに、中身は全然違う!
    世間に「正反対」とカテゴライズされる2人の内面に触れるにつれ、私たちはみんな、望まないまま無自覚に戦わされている、選ばされているということをジワジワと自覚してしまう。
    それは、誰かにというよりも...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
    この登場人物は私だ、と思いながら共感して別の登場人物を羨ましいと感じながら読み進めていたけど、タイミングと環境が違えば誰しもどの登場人物にもなり得ると気付いてぞわっとした。それなら私は私でいいという気持ちになった。
  • きみはだれかのどうでもいい人
    読み終わったあといろんな感情でぐっちゃぐちゃになった。そして余韻がいつまでも続く。
    すっっごい。
    特に最後の祈りがほんと、どうしようもないやるせなさと絶望感を抱きながらも、祈りという行為が唯一の救いに見えて。明るい光は無くても、ただの陰鬱なお話で終わらせない。
    副題の”forget, but nev...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
     タイトルに惹かれて手に取ったが、各章の女性の何処かしらには共感してしまい、後ろめたいのにページを捲る手が止まらなかった。
     物語の終盤において、須藤さんは働かなくても庇護される立場だから、聖人のように赦すことができたのでは、と最初少し思ってしまった。(そんな自分を嫌悪してしまう…。)
    だが、作中で...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
    すごく面白かった。
    陰湿で暗くて、人生うまく行ってない人の話ばかりなんだけど、ところどころ心にグッとくる話だった。
    とことん心の内側を掘り下げた感じ。
    また違う作品も読んでみたい。
  • 緑の花と赤い芝生
    読み終えた後に、タイトルを見て、なるほど、と思う。
    緑の芝生が更に綺麗な緑色になるよりも、見たことのない赤い芝生になろうともがくのは相当大変だろうな。

    この物語に登場する二人の女性、志穂子と杏梨。
    目指す所は正反対、行動も交わることがない。
    そう思っていたけど、根っこの部分は全く一緒なのかもしれな...続きを読む
  • 緑の花と赤い芝生
    女性が読んだ方が絶対共感湧くのだろうが(という感想自体が、この小説で訴えたい内容と相反しているのだが)、これオモロい!

    主人公は価値観や人生観が全く違う27歳の女性2人。嫁と小姑、理系と文系、理性と感情、見た目体裁を気にする派とやりたいことを一直線にやりたい派…。ことごとく価値観の違う2人が、ひょ...続きを読む
  • 緑の花と赤い芝生
    『万人に嫌われないために好感度で個性を塗りつぶしたような、この手の美人はかなり判別の難易度が高い。
    少しでも特徴を捉えようと細部まで目を凝らしてみたけど、清楚なベージュのワンピースといい、丹念に巻いた髪や睫毛といい、ピンクゴールドを基調としたアクセサリーといい、すべてがどこかで見たような感じでお手上...続きを読む
  • 名前も呼べない
    【名前も呼べない】
    「どうしてそうなの、どうしてこうじゃないの、どうしてああなの、どういうことなの。答えられなければ歩くことも許されないのよ」

    『私は単なる愛人じゃないと、多少なりとも役には立てているんだと、思いたかった。正しい場所に帰っていくための、潤滑剤として。』

    『誰のために笑ってるの、と...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
    再読!県税事務所に勤める年齢も立場も異なる4人の女性たちが織りなす連作短編集
    あまりにリアルすぎてヒリヒリしながら読んだ
    どんな人でも何かを絶対抱えていて、私自身も経験したことのある過去の仕事のトラブルや嫌な気持ちをつらつらと思い出した
    ”県税事務所”という場所柄相手をしなければいけない人たちもまた...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
    過去と他人は変えられない。
    変えられるのは未来の自分だけ。
    という言葉を思い出しました。

    あなたのためを思って、を振りかざされても、相手はそれを望んでいないことだって大いにある。
    勝手に向けた恩を相手から回収することを生き甲斐にされても困る。与えるなら、最後まで自己責任で。

    でも、
    他人をどうで...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
    歌の歌詞にも出てくる「って誰もお前のことなどきにしてないだろ」ってやつですね。強く生きていけそうな気がしてきた。
  • 名前も呼べない
    この本を読めて良かった!が読後すぐの感情。

    『名前も呼べない』と『お気に召すまま』。
    前者は固定観念をやられた。
    そして後者が特に好き。
    主人公(美波)の心情に共感する。

    どちらの作品も表現が好きだったので、
    伊藤朱里さんの他の作品を読みたい。
  • 内角のわたし
    死ぬまで自問自答して、自分の中でああでもないこうでもないを言い合っていくのだろう。
    自分を甘やかす声と糾弾する声、その他いろんな声と仲良く向き合っていかなきゃならない。
  • 緑の花と赤い芝生
    出来の良し悪しは分からないが、すごく好きな作品。杏梨の家族の話が特に心をめちゃくちゃにした。終盤の杏梨の母親やマリーの描写、それから氷の女王の言葉に泣いてしまった。最近の作品では久しぶりだと思う。ぜひ再読したい。
  • きみはだれかのどうでもいい人
    自分は染川さんや須藤さん側の、誰かに尻拭いをしてもらっている側の人間なので、読んでいて居た堪れなくなった。

    分かりやすいパワハラセクハラじゃなくても、
    善意でやっていることが
    誰かにも負担を強いているかもしれない…
    めんどくさ‼️‼️‼️‼️‼️‼️

    職務

    それぞれの立場を考えて
    バランスを...続きを読む
  • 内角のわたし
    何も知らずに読み始めたときは、3人いると思ったらこれ、みんな主人公の人格なのね。って感じで最初は読みにくかったー。

    そこに理解が追いついてからはサクッと読めました。サイン、コサイン、タンジェントの3つの人格がバランスをとって生きている主人公。そこから浮き彫りになるのは、女性という性が直面する理不尽...続きを読む
  • きみはだれかのどうでもいい人
    この物語の終着点とキーマンに気づいたとき、肌寒く感じた。なかなか最後までたどりつくのが難しいかもしれないけど、ハッとさせられる瞬間がある。作家さん本当すごい。

    パワハラやセクハラを受けた人なら、読んだときにつらくなってしまうんじゃないかと思う。私は気持ち悪くなった。ただ単に、電車に揺られて酔ってし...続きを読む
  • 緑の花と赤い芝生
    専業主婦の母に育てられたリケジョでバリキャリの志穂子と
    厳しい教師の母に育てられ家庭に重点を置く典型的女子の杏梨

    正反対な二人だったが、志穂子の兄と杏梨が結婚した事で密接に関わる事になってしまう。

    自分で選んだ道を信じて進んでいても
    選ばなかった方の道を思い悶々とする事は誰でもあるだろう。

    ...続きを読む