渡辺守章のレビュー一覧
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舞台も映画も見た事があったけど、スクリプトを本で読んだのは初めて。まったく違う経験。
そして、文字だとより深く染み入る。素晴らしい。
1897年の作品なのに、その台詞の息吹はいまもなお瑞々しい。後の全ての舞台、映画脚本のモデルになっているのだろう。特に思い起こすのは寅さんで、映画の中の筋書きは完全に...続きを読むPosted by ブクログ -
フーコーは、死の直前に「性の歴史」の第2巻と3巻を発表し、最終巻の「肉の告白」の完成を目前にしてそれを果たせずになくなってしまった。その原稿は、「開けてはならない」箱に保存されたのだが、フーコーの死後十分な時間がたったということか、今年、ついに発表された。
ということは、近いうちにその翻訳版がでる...続きを読むPosted by ブクログ -
生権力の概念をコンパクトに展開した章が白眉。史料考証は抑えてあるものの、フーコーの統治性論のエッセンスが示されてある。同氏の70年代後半のコレージュドフランスと合わせて読むことで、綿密な考証と概念枠組みの素描が一体となり、非常に重要な著作群であることが認知されてくる。Posted by ブクログ
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シラノは詩人で軍人、敵をわんさか作ってしまうけど、心優しい剣士。
しかし、彼の鼻は大きく醜い。それを気にして、秘かな想い人・ロクサーヌにも想いを告げられずにいた。そこに、ロクサーヌに恋した美青年・クリスチャンが現れ、彼の恋が成就するよう尽くすのだが…
台本のような本で、読んでて楽しい。舞台を観てい...続きを読むPosted by ブクログ -
意訳が多くあれこれ弄りすぎているので、他の版で読んだ方には違和感が、注釈で平気な顔してネタバレをしているので初めての方には興ざめの可能性があります。何かと訳者の方ががんばりすぎている翻訳です。ただしそのかいがあって詳しくなくても楽しめ、何より台詞回しが粋。内容も「男はつらいよ」的な感覚で、あれをフラ...続きを読むPosted by ブクログ
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才気に満ちあふれたシラノ(主人公)がバッドエンドを迎えるのが不思議。
舞台をそのまま小説にしているからか歯の浮くような台詞が目立つけど、僕はそこが好きです。きれいな言葉を普段から使っていきたいなー。Posted by ブクログ -
一つの社会における、権力と快楽と知は、いかにして関係するか――。
性とはそもそも、秘すべきものとしてはじめからあったのではなく、たとえばカトリック教会における告白の要請など、「制度」が性について語ることを煽動したことによって、語る=暴くために隠すようになった。
いわば、制度の必要に伴う変化だった...続きを読むPosted by ブクログ -
映画『愛しのロクサーヌ』を見て気に入り、この作品が元ネタということで購入。
頭が良く、勇敢なシラノ。しかし、その大鼻のために、愛するロクサーヌに愛を伝えることが出来ない。
そのうち、美男子クリスチャンとロクサーヌは惹かれあって、シラノはクリスチャンを応援するために彼の代わりに愛を語り、戦火の中手紙...続きを読むPosted by ブクログ -
慣れない形式、慣れない時代設定だったけどとても読みやすく、長台詞も読んでて気持ちいい。構成も隙がなく、第五幕が圧巻だった。Posted by ブクログ
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めも)
p96 一般的に認められている抑圧という事態や、また、我々が知っていると想定するものを基準に計られた無知から出発するのではなく、知を産出し、言説を増加させ、快楽を誘導し、権力を発生させるこれらの積極的なメカニズムから出発し、これらのメカニズムがどのような条件において出現し、機能するのかを追...続きを読むPosted by ブクログ -
男はハートだ!
外見は醜いかもしれないけれど、なんと高貴な心を
お持ちなのでしょう。無償の愛というテーマには弱いので
心にズキュンと響きました。
シラノやロクサーヌのことを想うと特に最後は涙なしでは
読めません。読後は感動のあまりしばし呆然とした程。
初めて読みましたがリズムがあって巧く訳され...続きを読むPosted by ブクログ -
台詞の表記の仕方が独特ではじめは慣れませんでしたが、50ページほど読むと慣れてきて、リズム感が心地よくなってきました。
内容は笑えるところあり、切ないところあり、とテンポがいいです。ラストは感動的。
ぜひ読んでほしいです。特に自分に自信の持てない才能ある男性の方に。Posted by ブクログ -
フーコー。最高。性の歴史第一巻。感動した。こんな天才になりたい。また、邦訳が最高。できればフーコー全部この人に翻訳してもらいたいと思った。でも二巻から違うんだよね。。こんなに美しい本を初めて読んだような気がする。2008.4.30-3(4d).Posted by ブクログ
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性の歴史Ⅳの『肉の告白』が出版されたこともあり、性の歴史を改めて読むことにした。先日亡くなった渡辺守章先生の訳書でもあり、その点でも感慨深い。
渡辺守章先生も訳者あとがきで言及されているように、フーコーが明らかにしようとしている性をめぐる言説が、ドゥルーズ=ガタリの『アンチ・オイディプス』を意識して...続きを読むPosted by ブクログ -
前から気になっていた本。
初めてのフランス劇。シェイクスピアに慣れているので、最初の群衆劇に「一体どう始まるのか??」と不安になりながらも、言葉の選び方・翻訳の仕方はシェイクスピアに負けず劣らず。
若干のネタバレをしていたので、シラノの態度(あるいはツンデレにも見えるような?!)に悲しみを持っ...続きを読むPosted by ブクログ -
舞台観劇後改めて戯曲読む。シラノがタイトルロールだが、クリスチャンの苦悩も実はしっかり描かれている。現代アレンジでも見てみたい名作。Posted by ブクログ
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即興で素晴らしい詩を詠み、音楽家として美しい歌を披露、熱血漢な剣客でもある知的で多才なシラノ・ド・ベルジュラック。しかし唯一特徴的な鼻が災いして恋には後ろ向きな男性でもある。シラノは従妹ロクサーヌに想いを寄せているが、ロクサーヌが容姿端麗なクリスチャンに心奪われていることを知り、ロクサーヌとクリスチ...続きを読むPosted by ブクログ
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内容は現代の感覚に通じるモノが多く文句なしに面白い。訳文も十分に実演に耐えられるものだ。光文社の「新訳」の中でも成功例に入ると思う。ただ注が不必要なぐらいに饒舌で「これは~への複線」とネタばらしまでするのはどうか?という疑問だけが残る。Posted by ブクログ