國分俊宏のレビュー一覧

  • ソヴィエト旅行記
    内容についての良さは置いといて、訳者による前書きやあとがき、解説の丁寧さと熱意のすごさたるや…ジッドに込められた想い、前訳者に対する尊敬の念などを読んで、文庫と厚さにしては1200円ほどと高さを感じたが、これはそれ以上の価値がある。ソ連をより知るための教科書でもあるがそれ以上に現代人には必読書と感じ...続きを読む
  • プルーストと過ごす夏
    失われた時を求めてを読みたかったが、あまりに長いのでまずは入門書を、とこちらを手に取った。名作には解説が必要だ、と改めて思わされた本。様々な切り口で複数の有識者が解説してくれるが、何度も出てくる場面もあれば、何度も話題に上がる登場人物も出てくる。本編を読み、途中で挫折しない為にも良いきっかけとなった...続きを読む
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~
    傑作。どれも面白いが最後の「スルディス夫人」がいい。売れてないが才能ある画家がいて、絵の具屋の娘が目を付ける。彼の美貌と才能に惹かれて遺産を援助し結婚して生活する。話の筋としてはよくある事なんだが、これでもかこれでもかと作者が描写する表現が、惹き付け惹き付け。
    1ヶ月前に同じ作者の文庫を読んで、それ...続きを読む
  • ラブイユーズ
    バルザックの著作の多くは「人間喜劇」で括られていますが、本作は風俗研究-地方生活情景カテゴリ中の作品。
    タイトルのラブイユーズは、川揉み女(川の水をかき回してザリガニを罠に追い込む)の意味で、バルザックあるあるで重要だけど主人公じゃない人名(蔑称)。♪エビすくい、えびすくい♬
    登場人物整理は、文庫の...続きを読む
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~
    「オリヴィエ・ベカイユの死」がポーの「早すぎた埋葬」と似ているのは偶然なのだろうが、同時期に西洋では「生きたまま埋葬されるかもしれない」という恐怖が共通認識として広まっていたというのは興味深いことだ。
  • ソヴィエト旅行記
    ・これは面白い。歯に衣着せぬ鋭い意見。
    ・ソ連の欺瞞をジッドは見抜いていた。
    ・何度か読み直してみたい。
  • ソヴィエト旅行記
    ソ連崩壊前、共産主義にはそれなりに興味があった。その後歴史が証明したとおり、社会主義、共産主義は、たぶん人類の脳というOSに合わなかったんだろう。
    「あっ、合ってないなあ」、と気が付き出した時の人類がどういう非喜劇を演じたか、壮大な社会実験を行ったソ連の内情を垣間見ることが出来て、非常に面白かった。...続きを読む
  • ソヴィエト旅行記
    いい本でした。単なるソ連の批判ではなく哲学としても非常に奥深い本となっています。作者の批判が非常に理論づけされていて良かった。
  • プルーストと過ごす夏
    プルーストはどこを切っても良いがこの本は与えられたテーマでフランスの識者が『失われた時を求めて』から最高の引用をしてくれている。今度は高遠氏の訳でも読んでみたいと思わせてくれた。
  • ソヴィエト旅行記
    ソ連については教科書以上の予備知識はあまりなかったので、当時フランスでソ連の信奉者が知識人の中にも多くいたのには驚いた。あとがきにもあるように、「歴史が証明した」後に私は生まれたから。
    旅行記と聞いて想像した内容とは違って、ほぼソ連への批判文だった。最初こそはソ連への希望的観測を捨てきれていないよう...続きを読む
  • ソヴィエト旅行記
    1936年3~6月にジッドがソヴィエトを旅行し、
    考えたこと、感じたことが書かれた本。

    ジッドはソヴィエトに希望を見出していたが、
    実際に訪れてみると、理想とかけ離れた現実が
    そこにはあった。

    当時のフランス左派知識人からソ連は強く支持されて
    いたため、本書が出版されると、左翼から猛烈な批判を
    ...続きを読む
  • ソヴィエト旅行記
    面白かった。赤かった時代のソ連に旅行した時の作者の感想。こういう他国の政治には、くるんでくるんで、匂わせ程度にしとけばいいのに、多分それでも批判されるのに。別に攻撃、批判をしてるんでなくて、ちゃんといい所も挙げている。多分フランス人が一番、人間の尊厳、生きることの理由意味などに真摯に向かい合っている...続きを読む
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~
    一番読み応えのあったのは、「スルディス夫人」次が、「ナンタス」、そして「オリヴィエ・ベカイユの死」「呪われた家ーアンジェリーヌ」「シャーブル氏の貝」

    物語にグイグイひきこんでかれる感じがする。時代性を感じさせないものの不自然さや読みにくさがない、まるで19世紀のフランスにこちらがタイムスリップした...続きを読む
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~
    19世紀フランスの作家ゾラ(1840-1902)の短篇集。第二帝政期以降に本格的に立ち現れたブルジョア社会における、人々の生活や欲望を描いている。



    「オリヴィエ・べカイユの死」(1879年)

    意識はありながらも、肉体的には自らの意志で動くことができず、周囲からも死んだものとして扱われ埋葬さ...続きを読む