桑野隆のレビュー一覧

  • ロシア・インテリゲンツィヤの誕生 他五篇
    『知的な信念と感情的な〈中略〉要求との深い内的葛藤はロシア特有の病である』

    本著はまず、19世紀のヨーロッパ革命、或いはドイツ哲学やドイツロマン主義がロシアに与えた影響について解説、その後ベリンスキー、ゲルツェン、バクーニン(についてはバーリンは否定的)という3人を軸に、19世紀の所謂インテリゲン...続きを読む
  • バフチン
    バフチンの半生とその間の思索の流れについて書いている。

    対話性や笑い、カーニヴァルやグロテスクなどの語句については、小説以外の場面にも応用可能なものであり、それらへの導入的説明が書かれているため、初心者にも分かりやすいものになっているし、とても参考になる。

    バフチン年表や文献目録もついていて便利...続きを読む
  • バフチン
    尊敬する方にバフチンを読みなさいと言われ、読んでみた一冊。とってもおもしろかった。原典にもできれば触れたいところ。
    ドストエフスキーを読んだことがあったので、ポリフォニーは思ったよりもなんとなくつかめたような気がする。

    声の多層性は人間誰にでもあると感じた。

    ステキな友人に小島信夫の『残光』をオ...続きを読む
  • バフチン
    ロシアの文学評論家であるミハイル・バフチンの生涯を追いながら、
    彼の主要な概念・用語・理論枠組みなどを解説していく書籍。
    新書というメディアでバフチンの書籍が出版されるとは思っていなかったので、とても驚いた。

    バフチンは文学評論家ではあるが、おそらく、広くコミュニケーションについての考察を残した人...続きを読む
  • バフチン
    著者である桑野さんご自身もおっしゃられている通り「バフチンの全体像をできるかぎり簡潔した」本となっている。新書というジャンル(?)のイメージに違わずかなり読みやすく、その割に、けっこうディープな(公刊されていない)ノートやメモなどのテキストも引用されたりしていて面白い。新書で読んで「このテキストいい...続きを読む
  • 増補 バフチン
    バフチンの思想を解説している入門書です。平凡社新書の一冊として刊行された同タイトルの本の増補版で、前著の説明をよりわかりやすく書きあらためた内容になっています。

    バフチンの思想は、「ポリフォニー」と「カーニヴァル」という二つの概念を中核とする、文学理論として受けとられていることが多いように思います...続きを読む
  • ロシア・インテリゲンツィヤの誕生 他五篇
     筑摩書房からゲルツェン『過去と思索』が刊行されたのは、もう20年以上前だろうか?面白そうだなとは思ったものの、分厚い3巻本でかなりの高額と、ちょっと手が届かなかった。

     ゲルツェンは本書の主要登場人物。何だか懐かしく感じた。ソ連崩壊以降、ロシア革命についてもあまり読まれなくなっているのかもしれな...続きを読む
  • バフチン
    少し読む時期が飛び飛びになってしまったこともあり、咀嚼しきれていない。
    だがバフチンの思考は、人間の根源的な社会性をドストエフスキーやラブレーの文学の徹底的な読解から導き出しているのだということは把握できた。


    教育学研究の観点からすれば、溶解や一致をみることなく複数の独立した多声が響きあうポリフ...続きを読む