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文学論で著名なバフチンだが、じつは哲学、言語学、記号論等々をまたぐ領域横断的な知のあり方が本領。その巨大な知の全体像をあますところなく描く最良の入門書。平凡社新書『バフチン――カーニヴァル・対話・笑い』(2011年刊)の増補版。
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Posted by ブクログ
バフチンの思想を解説している入門書です。平凡社新書の一冊として刊行された同タイトルの本の増補版で、前著の説明をよりわかりやすく書きあらためた内容になっています。 バフチンの思想は、「ポリフォニー」と「カーニヴァル」という二つの概念を中核とする、文学理論として受けとられていることが多いように思います...続きを読む。しかし著者は、バフチンの思想の全体像を、対話の哲学として理解するための視点を本書において示しています。ドストエフスキーの小説世界にポリフォニー性を見いだしたバフチンの議論は、かならずしも文学作品を読み解くために考案されたものではありません。「厳密に言えば、バフチンのポリフォニー論は、その数年前から形成されつつあった独自の対話原理を文学に適用した結果「見出された」芸術原理であった」と著者は述べています。 さらに著者は、「平凡社ライブラリー版あとがき」のなかで、近年のバフチン研究が、教育、精神治療、介護、異文化コミュニケーション、第二言語習得、メディアといった、文学や芸術以外の文やに進出しており、さまざまな領域における具体的な実践にその思想が活かされつつあることに触れて、そうした動きをバフチン自身の基本的な姿勢を継承するものだとして肯定的に評価しています。 もちろん、文学理論としてのバフチンのポリフォニー論やカーニヴァル論の入門的解説書としても、良書だと思います。
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