内山節のレビュー一覧
-
この薄い書籍にこれほどの情報量、文句なし!天晴れ!
本書で言う狐に騙されるとは、ただそこで生きている木や花や水を何気なく美しいと思える無垢さであり、抑揚のない物語に趣を見出す感じやすさであり、与えられた秩序の中でだれもが楽しむ柔軟さだ。
すなわち、「狐が人を騙すわけない」と言いたい諸君はそもそも前...続きを読むPosted by ブクログ -
いやぁ、半市場経済って何? って思ったけど、意外といいことが書かれていた。ほんまに、いまの時代によくあるような、いわゆる自由な働き方とか、自分でつくる商い。現代の人々は、仕事において他者との関係性を重視する傾向にあることとか、経済とか一人ひとりの日常生活が同時に成り立つ仕事だとか、考えたいことのヒン...続きを読むPosted by ブクログ
-
魅力的な論考。さらっと読めるかと思いきや、とても濃密で時間がかかってしまった。ライフワークである各地での聴き取りはもちろんのこと、数々の伝説や信仰、死生観や自然観、森林やそれを取り巻く生業・生活のあり方、そして、歴史学の流派と変遷、あるいは知性と直観(!)といった論点までを詰めきり、緻密に構築されて...続きを読むPosted by ブクログ
-
渡邊十絲子さんオススメの一冊。
おもしろかった。
「歴史」をどう見るか、という新鮮な視点が興味深い。
特に、第4,5章が白眉。Posted by ブクログ -
内山先生のお話を伺う機会があり、早速購入。3.11以降、腑に落ちないことが多い中、ひとつの考え方を示してくれています。多様な関係(自然との関係も含めて)を作ることが人間の本質。確かにそうですね。とても参考になりました。Posted by ブクログ
-
戦後しばらくの間、日本の田舎には「キツネにだまされる」という伝承が残っていたが、1965年ごろを境に、その手の話をぱったりと聞かなくなったという。著者自身によるこのような経験にもとづき、「知性の歴史」からは見えない「身体性の歴史」と「生命性の歴史」について思いを馳せている本。著者は、この本の企画に「...続きを読むPosted by ブクログ
-
表題の疑問、気になって読んでみた。
1965年を境に、日本人はキツネに騙されなくなるらしい。
その理由は本書に任せるとして、
ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」はいつの時代の話なんだろう?と調べたら昭和40年代。
昭和40年は1965年なのでまさにその年。
ジブリがその境の時期を知っていたのか分からな...続きを読むPosted by ブクログ -
1965年、確かに日本が本格的に経済活動に舵を切った時期に重なる。
1964年東京オリンピック西川東海道新幹線開業、1970年大阪万博。
私の故郷枚方も田畑に囲まれた環境から、田畑が住宅地に変わり、新しくできたバイパス道路の周辺には多くの工場ができた時期に重なる。
田畑に囲まれた時代は毎日が自然の中...続きを読むPosted by ブクログ -
資本主義の原理では自滅する運命にある。富が集中すると市場は縮小し、悪辣な経営が資本主義的な動きを拡大し、拝金主義が広がることで社会が荒廃する、ため。
資本主義の対抗勢力が存在することで、資本主義を修正して延命した。
同じ小売業でも、拡大を目指すスーパーやコンビニと、生業として行う個人商店の2種類...続きを読むPosted by ブクログ -
地元の定有堂書店で購入。
読み始めてから期間経ったので例の如く前半の記憶は曖昧。南無。
眉唾トンデモ本かと思ったら、
歴史哲学本でした。
キツネが馴染みづらいなら、
ガンニバルはなぜ都市部では成立しないのか?
と言い換えてもいい。
ガンニバル一巻しか読んでないので見当違いかもしれないけどまぁそ...続きを読むPosted by ブクログ -
難しい内容だけど、日本人が昔から持っている価値観がどのように変わってきたのか?について丁寧に考察されている。とても読みやすい文章、展開であるところにも惚れ惚れとした。出発点が事実ではないところから、考察を深め事実が見つけ出される、という話はとても面白い。Posted by ブクログ
-
『国語教育は文学をどう扱ってきたのか」という本で、いわゆる「キツネ読本」が定番教材として扱われている背景に、ごんぎつねの話が昔と今では違ったという話があった。その話は面白いけど、そこで、なぜ変わったのか、それは「生命性の歴史の衰退」、という話が出てきて、その部分がよく分からなかった。そして、その引...続きを読むPosted by ブクログ
-
日本人がキツネに騙された事件が、
なぜ、1965年以降に発生しなくなったのかを問う本。
作者の住んでいる村を中心に書かれていたが、
もっと全国的な事例も知りたかった。Posted by ブクログ