粟飯原文子のレビュー一覧

  • 崩れゆく絆
    近代アフリカ文学の原点と称されるアチェべの名作小説。

    舞台はヨーロッパ人によるアフリカの植民地化がはじまりつつあった19世紀後半の西アフリカ(現ナイジェリア)。
    絶え間ない努力と武勇によって若くして富を築いたイボ人の男、オコンクウォを中心に物語は進む。

    オコンクウォはレスリングのチャンピオンとし...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学は当然初めて。解説も読み応えあり。
    完全に未知なる世界である植民地支配前のナイジェリアでの日常自体が非常に興味深いし、ストーリーとしても面白い。登場人物名はンから始まったりするのでなかなか入ってこない。
    急に地方長官目線で語られる終わりはあっけなかった。

    村の運命を大きく変える白人は、...続きを読む
  • ぼくらが漁師だったころ
    最初はアフリカの馴染みのない文化、思想、そして人名や地名に困惑。
    わんぱくな4人兄弟の日常描写が狂人の予言を受けてからガラッと不穏な空気になり、あれよあれよと悪い方向に転がり落ちていく。やめてくれぇ、、、許してくれぇ、、、と思いながら読みました。
    少年たちのまっすぐさ、葛藤、未熟さに胸がギュッとなっ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    遠い大地の文化・慣習が近くに感じられるほどの瑞々しい文章だが、それを理解するための小説ではなく想像させることが目的。
    注釈が丁寧でとても読みやすい。
  • ぼくらが漁師だったころ
    表現力が素晴らしい。

    どんどん絶望的になって行く家族の状況に、「なんでこの本読んでるんだっけ…」と思いながらも読み進め、でも読後感は悪くなかったので良かったです…。
  • ぼくらが漁師だったころ
    ★憎しみは蛭だ。人の皮膚にくっついて栄養を吸い上げ、精神から活力を奪う。人をすっかり変えて、最後の一滴の平穏を吸い尽くすまで離れない★

    ナイジェリアの作家さんということで、その国の政治状況とも関連づけられながら書かれたこの作品は、ナイジェリアの国そのものを投影しているようだった。

    登場人物の性格...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    ミステリ、サスペンスとしての面白さもさることながら、簡潔でリズミカルな文体がとても良い。以前ノリウッド映画で垣間見たラゴスの街や邸宅、快活な女性たちがまとうカラフルな衣装を思い浮かべながら読んだ。ぜひ映画化してほしい。
  • 崩れゆく絆
    19世紀のナイジェリアが舞台。
    独自の神を信じ崇め、家族・ムラという単位で生活していた共同体に、キリスト教伝道師の入植により植民地化していく様を描く。中盤までは、文化や生活、信仰などについて淡々と描かれていますが、その後の畳み掛けるような展開がすごい。
    時代も国も違いますが、どこか今の社会にも共通す...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    コメディ寄りかと思ったら全然そんなこともない。
    シリアルキラーの妹を持つ真面目な姉が主人公。
    滅茶苦茶に読みやすくて展開も面白かった。
    話のつくりがうますぎる
  • 崩れゆく絆
    初めてアフリカ文学を読んでみた。内容としては特に難解というわけではない。始まりから2/3程度までは、主人公のコミュニティの儀礼、慣習、信仰などが細かく描かれている。若干冗長だなと思いつつ読み進めていくと、イギリス人がキリスト教という道具を持参して、植民地化の目的のもと渡来してくる。そこからはあれよあ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学というくくりが正しいのか、自信が持てないが、疑いの余地なく、優れた文学である。

    未知の世界。加えて、読みにくい、非直線的な書き口。私から見ると、非情で、矛盾を感じる文化。

    しかし、最後まで読み通し、その言われようのない悲劇的結末に接し、全てに予期せぬ意図を感じたのだ。人間社会、人間と...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    少し前に文庫化されぜひ読みたいと思っていた一冊。アフリカ文学の父といわれる、チヌア・アチェベの記念碑的一冊ということ。アフリカ文学には聡くないので、そういう意味での評価はできないが、歴史的背景も合わせて様々な学びを与え、人間と歴史の気づかない側面を教えてくれた。

     未開のアフリカ、一部族を取り巻く...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    ヤムイモのリアリズム。アチュべはナイジェリア出身の作家。ナイジェリアはヤムイモ産出量世界1位。なによりもまず重要なのはイモであり、あらゆる食事にヤムイモなのである。
    客人がやってきてに「コーラあるよ」ともてなすのだが、これはコカコーラの原料の「コーラの実」のようである。覚醒作用があるようなのでやっぱ...続きを読む
  • ぼくらが漁師だったころ
    憎しみは蛭だ。人の皮膚にくっついて栄養を吸い上げ、精神から活力を奪う。

    アブルに毒を飲ませても死ななかった時
    無傷の親指を血溜まりに浸して血まみれにすることと、親指が切り傷の血で濡れることは全く違うと理解したはずだ。

    やはりアフリカ文学ってことで、考え方とかがまるで違うと感じた。そしてそれ故に読...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    植民地支配される前のアフリカの伝統的な暮らしの素晴らしさを描き、欧州の文明到来により崩壊していく嘆かわしいお話かと思っていたら、もっと深くてたくさんの要素が詰まったお話でした。
    アフリカの集落の日常は物珍しく、慣習や考え方の違いは読んでいておもしろいですが、予想外に残酷で不可解だし、英雄オコンクゥア...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    重い話でした。
    伝統を守るとは?
    その中で地位を築くためには?
    その一方で、その伝統に潜む非科学的・非人道的な掟を守り続けるのはなぜか。
    それらを打破するのが、侵略に依ってしまうのが辛い。

    初めてのアフリカ文学。
    田舎者の私には、舞台となった前世紀初頭のナイジェリアの話が、なんだか知らない世界の話...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    読んで良かったと思う。
    アフリカについて世界史じゃない文学として初めて触れたと思うけど、なんともやるせない気持ちになった。
    植民地前の文化が全て肯定出来るわけでもなく、まして支配者側の考えが受け入れられるわけもなく。
    ただ後世の私はこれを読んだことがいつか何かの基準になると思った。
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    初のハヤカワミステリ。
    読みやすい文体で、細かい節に区切られているのでサクサク読めました。
    妹怖すぎ、かつての父親ももっと怖いけど。
  • 小さきものたちのオーケストラ
    チノンソはとても心優しい人で人の為に動ける人ではあるけど物語が進むにつれて元々の気質である暴力性だったり自己犠牲的だなぁと思った。

    物語が不運すぎるのもあってか怒りや悲しみ羞などの心の描写が分かりやすい

    人の出来る限界、人に降り掛かる不運についても、鶏は何が起こっても泣いて喚く事しか出来ないと重...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    「読書会という幸福」(向井和美/岩波新書)で紹介されていた本。初めてのアフリカ文学ですが、読みどころの多い小説でした。著者のアチェべはナイジェリア出身のイボ人作家。
    1958年にロンドンで発表された本書は「アフリカ文学の父」と呼ばれるアチェべの最高傑作とされています。

    (以下、プロットに若干触れま...続きを読む