鈴木雅生のレビュー一覧
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第二次大戦における作者の操縦士としての体験に基づきながら、自由な精神性が失われる「戦争」に対する強烈な批判と理不尽さに対して行動=戦う情熱を示している。「したがって、私が戦うのは、それが誰であれ、… 他の思想に対してある個別の思想だけを押しつけるものだ」(P296)のくだりが響く。Posted by ブクログ -
敗北感漂うWWIIの戦禍を掻い潜り
「なぜ自分が死ななければならないのか」と問い続ける自伝的小説
目的を意識して行動する昨今の私達とは違い、志願して上記の命題に辿り着き、戦線でその問題の解答を得た作者の知見に胸を打たれましたPosted by ブクログ -
偵察機パイロットの話。作者の小説の中で総合的にいちばん好きです。昨今の情勢を見るに、この本の平和の定義が染みます。ラストの締め方には賛否あるみたいですが、個人的には秀逸だと思います。Posted by ブクログ
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素晴らしい作品。
純愛物語であり、ただの純愛物語ではない。
ある意味シンプルな王道悲恋であるが、
自然の中に生きることこそに幸福の道はあるというメッセージなどの哲学的・人生訓的な深みが一段奥に見える作品。
18世紀から版を重ね続けているのは、何故なのか。
これほどまでに美しい恋愛や自然描写。
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感想
どれだけの才を持ち合わせても、どれだけの美貌を手に入れても。孤独は人間に付きまとう。耐えるという態度を捨てた楽しむという付き合い方。Posted by ブクログ -
詩的な文章で、読んでいて楽しい。がしかし時折少々大袈裟…?と思うくらいロマンチックな言葉や言い回しが並ぶ。
自然に囲まれ、閉鎖的にではあるが幸福に暮らしていたポールトヴィルジニー。しかし権力や社会に巻き込まれることでその幸福は崩れていく…。
単純だけれど、自然への賛美と社会生活への批判が込められてい...続きを読むPosted by ブクログ -
人は何のために生きて、何に命を賭けるのか。
人間とは?個人とは?
戦争体験から生まれた思考はとても哲学的で、はっとさせられる記述もあり、すぅっと読めます。
やはりサンテグジュペリは面白い。
ぜひ。Posted by ブクログ -
所謂運命悲劇の物語。神様によって助けられ、豪華絢爛な生活をせず、質素倹約にそれでも幸せな毎日を暮らすポールとヴィルジニーとその母。
そしてきっかけとなる出来事が起き一気に転落。
物語としてよりも文学的価値の高い作品。一読の価値あり。Posted by ブクログ -
十人十色の「孤独論」とあるが、実際に20人近くの知識人、著名人による寄稿の寄せ集めなので、ダイジェストとしての読み応えはあるが、全てが皮層的で浅い。なんだか格言や至言を探し出したり、その言葉の周辺を少しだけ肉付けしたような文章。それでも思考のきっかけを得たり、脳内に連鎖して考えさせられるのだから、読...続きを読むPosted by ブクログ
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恋愛小説の古典のひとつで、清らかで純粋な二人の男女の恋愛悲劇を描いた作品です。
二人のもつ心の清らかさを示すように、細かく描き込まれた風景描写は圧巻ですし、いかなる時にも「神」の存在を信じて自らを律し、他者を恨んだり自暴自棄になったりすることなく常に思いやりを持って行動するヒロイン、ヴィルジニーの姿...続きを読むPosted by ブクログ -
美しい大自然のなかで育まれる無垢で純粋な愛情。
二人を引き裂く文明社会。
繊細で緻密な植物の描写は、まるで島の木々に囲まれながら太陽の光を頬に受けているかのような気分にさえなる。
社会状態は堕落、自然状態こそ自由と平和だと説いたルソーの思想の影響が強く表れ、また神こそが摂理という啓蒙的な宗教観も表...続きを読むPosted by ブクログ