ロダーリのレビュー一覧

  • 猫とともに去りぬ
     児童文学のような文体であり、非現実的なストーリーはまさに童話でありファンタジーである。ただその中にはさまざまな社会批判や人生の矛盾が描かれているのが面白い。
     濃厚なアイロニーを通して描かれる短編小説集だ。ファンタジーのフレームに入っているので平気でリアルを超えることができる。たとえば猫になったり...続きを読む
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳
    全20編の短い物語にそれぞれ3つの結末。どの結末が気に入るか。どれも気に入らないか。自分の好みがよくわかる。最後に作者が選んだ結末とその理由もあり、物語の届け先を考えた真摯な姿勢に尊敬の念が深まる。私は、基本的にハッピーエンドや道義にかなう結末が好きだけど、ピノッキオの話だけは、被雇用者の存在が気に...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    御伽噺・イタリア風味。シュールリアリズム系の短編集かと思ったら、予想よりずっと優しい世界だった。根っからの悪人はほとんどいないし、多少意地悪な人間も死ぬことはなく災難に逢う程度。そして善人は必ずささやかな幸福を掴むことができる。ロダーリは確かに児童文学作家ではあったが、それ故に彼の作品はただの子供騙...続きを読む
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳
    とてもいい本です。
    結末が3つに分かれていて、読者がどれも気に入らなければ自分で作ってみよう、という形式の本。
    結末が別れていても物語は楽しめるし自分で考える楽しみがあって、ロダーリの本の中でもかなり面白い方。
    解説にあった受け手と送り手では物語のコードの受け取り方が違う、という話は目からウロコだっ...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    感想は、「たのしい!おもしろい!変!」
    そんな短編集です。

    ユーモアがあって、ついにやにやしながら読んじゃう。
    一気にだいすきな本になりました。
    また数年後に読み返したい。

    とにかく突拍子もない本なんです。
    設定も、展開も、キャラクターが考えることも、台詞も。
    予想もつかないことが起きる。
    作者...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    鼻持ちならぬヤツでさえも、
    何故だかだんだん可愛らしく思えてきてしまう不思議。

    ファンタジーは現実逃避などではなく、
    むしろ現実と向き合う為の、知恵なりパワーなりを与えてくれるものなのだと、
    本書を読み終え、しみじみつくづく、感じたのでした。

    「ファンタジーは人間の精神・人格を形成する大切なもの...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    読みながら、意味もなく楽しくなってしまう。そんな短編集。不思議で、可愛くて、悪意がなくて、ほんの短編なのにどのお話の登場人物もたまらなく魅力的。特にレギュラー化してるあの社長が出て来ると、妙にテンションあがる。
    どのお話も素晴らしい。ファンタジーでSFで、ブラックだけど童話。読み始めたら、この魅力の...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    奇想天外な展開に冴え渡るユーモアセンス!多分母国語じゃないと半分ぐらいは理解できていないだろうと薄々感じながらも、読み進める内にノリが理解できてきました。久しぶりに純粋に「お話」を楽しむ本を読んだなと思います。
    翻訳も読みやすいですし、題名がいちいちステキですね。
    読みやすい長さの短編で構成されてい...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    こういう風刺がバッチリ効いたちょっぴり
    刺激の強い作品は大好きです。
    まさに大人のための童話。
    本当に予想もつかないことがよく起こります。

    表題作はまあありえないけれども
    ある種の自由への渇望が
    彼らを「猫」へと変化させてしまうのでしょうね。
    だけれども幸いにも主人公の男には
    「自由」を渇望するこ...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    イタリアの児童文学作家によるファンタジー短篇集。
    ユーモアたっぷりで不思議な世界観の中に
    アイロニーとナンセンスが散りばめられています。
    表題作の「猫とともに去りぬ」がお気に入り。
    読後に心がフッと軽くなります。
    こういう素敵なお話にはもっと若い頃に出会っていたかったな。

    長新太さんの絵本が好きな...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    児童文学ってことになってるが、現代社会や教育に対する皮肉が満載。詰め込みや押し付けまがいの教育への批判を子供にも伝えられるっていうのがファンタジーの魅力のひとつなんかな。面白かった。
  • 猫とともに去りぬ
    ああ、やっぱりロダーニさんの作品は好きだなぁ・・・・。  この年齢になるまで出会えなかったのがホント残念だけど、逆に今の KiKi だから彼の作品の良さがわかるという部分も多いような気がします。  どのお話も言ってみればナンセンスの塊なんだけど、そこに風刺とか皮肉が含まれているので思わずクスクス笑い...続きを読む
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳
    大人が読んでも楽しい童話集。
    結末が3つ用意されているところがまた面白い。子どもと接してきたロダーリだからこそ、未来に期待する気持ちが大きいのかもしれない。
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳
    オーソドックスな昔話に近い標題作からタクシーが宇宙を飛ぶSF系まで、様々なテイストの作品が詰まった短編集。老人や子供、ピノキオ、犬など主人公も幅広いです。
    各作品に3つずつエンディングがあり、並置される事でそれぞれの特徴がより明確になっているような。日常の中の非日常が、ユーモラスに描かれてます。
  • 猫とともに去りぬ
    自由だなあ、好きだなあ!

    ロアルド・ダール的なものも感じるけど、
    もっともっとすかっと自由な気がする・・・
    ロアルド・ダールがイギリスの霧を感じさせるとしたら、
    こちらは、イタリアのからっとした空気を思わせる。
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳
    物語の結末を創造する。
    学校の授業で是非受けたかった。
    作者の3様の終わりのパターンを分析するだけでも、自分の想像の殻を破る助けになりそうだ。
  • 猫とともに去りぬ
    ファンタジー短編集。表題作は、飼い猫として暮らせる道があることを羨むべきか、猫でなければ家に居場所もないことを嘆くべきか、どうにも悩ましい。非現実をさも当然のようにすらすら描かれ、頭の柔軟性が試された。とっぴな空想の中に現実社会への皮肉も読み取れ、執筆された当時のイタリア社会が気になるところ。もはや...続きを読む
  • 猫とともに去りぬ
    なんだか不思議な世界に誘われる短編集。
    家族共々魚になってベネチアの運河を泳ぎ回ったり、ヤマハのバイクと結婚したり。。
    一見キテレツな短編だが、皮肉や風刺がきいていて、イタリアってこんな土壌もあるんだと。
    ロダーリは、イタリアでは教科書にも載っているぐらい有名な作家。
  • 猫とともに去りぬ
    読むとクスッと笑えて、誰かに優しくされたみたいな気持ちになる。
    優しさに満ちたユーモアとナンセンスさに星新一を思い出した。星新一よりもこっちのほうがずっと前のものだけど。いい本です。
  • 猫とともに去りぬ
    はじめて名前を聞くイタリアの作家。
    シュールな作品集だが、イタロ・カルヴィーノよりも穏健的、かな?
    カルヴィーノの作品はずいぶん昔に読んだことがあるけど、忘れてしまったな。

    こういう作品こそ、作家の創造力がはっきり現れると思うのだが、なかなかそういうものにはお目にかかれない。

    好きな作品集だ。