埴谷雄高のレビュー一覧

  • 死霊I
    おもしろい。冒頭の蒸し暑さや、全編に散りばめられるギャグ。この小説、全編を通じてひとつのことしか言ってない。それが、一番最後の絶叫なんだよね。
  • 死霊III
    私は埴谷雄高の小説が大好き。なのでこの死霊は外せないコレクション。何度も読み直している。読む度に解釈が変わったりもする。未完のいうのがまた何とも言えず私を魅了する。
  • 死霊I
    さっぱり分からん。

    いや、分かるんだけど、こんなに読者に不親切な小説もない。
    なぜこんなに七面倒な言い回しと言葉を多用するんだ!!

    自同律の不快と虚体について登場人物たちとその妄想が渦巻く不毛な論争のストーリーです。

    ストーリーといえるかどうか・・・・

    自同律とは「私が私であること」
    虚体と...続きを読む
  • 死霊III
    第七章「最後の審判」は一気読みした。

    イメージの爆発がインフレーション起こした感じ。
    しんどかったあ。

    頭は使わずに読まないとこんな話は読んでられん。

    埴谷雄高氏はこの話を書くために一生を費やしたような人です。

    執筆に40年。気の長い話だ・・・。
    その間どうやって飯を食ってきたのか・・・

    ...続きを読む
  • 死霊III
     確かに読み辛いが、無茶苦茶面白かった、というのが率直な感想である。長過ぎるように思われる個々のセンテンスも読み進めるうちにクセになってくる。

     最近、熊野純彦が『埴谷雄高――夢見るカント』という本を出したが、“夢見るカント”とはまさにこの作家の資質を言い表していると思う。埴谷雄高の文学は、「人...続きを読む
  • 死霊III
    第7~9章。ガリラヤ湖の魚に拠るイエスへの、チーナカ豆に拠る釈迦への弾劾が黙狂、矢場徹吾によって語られる第7章は圧巻。「死霊」後半は妄想の対話篇と云ったスタイルに終止する。「自同律の不快」に拠り「未出現宇宙」から創出されようとする三輪与志の「虚体」が明らかにされようとする。そして、ぷふい、バッハ「フ...続きを読む
  • 死霊II
    第4~6章。以前読んだのは’76年刊の「定本 死霊 全五章」と云う版で、真っ黒けな装丁の本だった。従って第6章以降は今回が初読。霧の中の茫洋とした会話に終止する第4章、作者自身の共産党体験が色濃く反映される第5章、「愁いの王」のエピソードと転覆したまま川上に流されるボートに掴まりながら語られる妙な明...続きを読む
  • 死霊I
    序文から第3章まで。以前読んだのは学生時代だから、30数年ぶりか。今の方が読んでいて面白い。第3章、黒川建吉と屋根裏の蝙蝠とのエピソードが心に残る。狂言回しとしての首猛夫に対するかすかな苛立ちなど、昔読んだ時の感情が蘇って来る。 423頁
  • 死霊I
    これをこの本棚に入れるか否か迷った。
    というのも足掛け六年、未だに自分はこの本を「読めていない」気がするのだ。手探りで読もうとすれば、たちまち掴んでいたものが消えてしまう感覚。あと何年かかることやら。
  • 死霊I
    学生時代にハードカバーで読みました。非常に哲学的な小説。それでいながら、推理小説のような雰囲気も持っている気がします。好き嫌いは、はっきり分かれると思います。未完であるのが残念で仕方がありません。
  • 死霊I
    『ゲド戦記』とともに永遠のバイブル。
    時空を超えて「存在」を問いかけてくる作者の手腕と想像力にあと何度読み返せば追いつけるのか。完成を目指して再筆した矢先に逝ってしまった作者がのりうつれる語り部は今この世にいるのだろうか。。。
    文庫で再版されたので手に入りやすくなりました。
  • 死霊I
    本書は、浅く読み流すべきものではない。深く読み込み、何度も咀嚼すべきもの。この中には、存在の秘密、生命の意義などについて、思索のエッセンスが緻密に詰め込まれている。日本の誇るべき文学作品のひとつ、という謳い文句は断じて伊達ではない。同様の文体、話のつくりでもカラマーゾフの兄弟(日本語訳版)を読むより...続きを読む
  • 死霊II
    とりあえずⅡまでの感想
    登場人物たちが語る思想の内容が抽象的で高度すぎて、ほとんど理解できなかった
    これは評者が異端系の宗教思想に疎いからかも
    「非在の王」とかいうフレーズがかっこいい(中二)
    「よくわからないけどなんかすごい」というおもしろさはあった
    Ⅲまで読むかは微妙
  • 死霊III
    巨人の形而上小説。20年ぶりに再読。虚体のこと以外考えられなくなってしまった男たちとそれに振りまわされる女たち。ユーモラスな場面を挟み油断させておいて、突然激しく読者を叱責する。分裂の気質。
    4兄弟は、現実には生きていけないはずなのに動き回り、激しく沈黙を貫き、一転冗舌に虚について語り尽くす。その存...続きを読む
  • 死霊II
    埴谷雄高 「 死霊 II 」形而上学的な思想小説。4章〜6章。特に 5章「夢魔の世界」が凄い。


    静寂、霧、影、闇の演出、ランプシェードの明かりの対比が 幽霊世界を演出〜怨念や感情としての幽霊でなく、ただ存在を感じさせる幽霊を演出している。


    神など人間を超克する概念を用いずに、生者と死者との通...続きを読む
  • 死霊I
    埴谷雄高 「 死霊 I 」

    形而上学的な思想小説。ヒップホップバトルさながらの 言葉による 思想対立が面白い。

    まだ序盤なので わからないが、死霊という人間的価値が消滅した世界から 人間の価値、人間を超克した人間を見出そうとしているのでは?

    死霊は 戦争直後の著作だから 戦死者の霊を暗示してい...続きを読む
  • 死霊II
    文庫版。読破。
    一か月かけて読んでも小説内では一日も経過しておらず、
    著者が24歳から87歳までかけて書き上げた全九章の全文で
    三日しか経過していないのだっけと思いながら本を閉じた。
    (誤っていたらすみません)
    愁いの王のエピソードは好きですが、
    同じ落ちがついに書き上げられなかったマハーヴィーラで...続きを読む
  • 死霊II
    一巻と違って、読みにくいとか読みやすいとか、そういったものが全く気にならない(読みにくいけど)。ページをめくるのを忘れて考え込んでしまう。以下メモ。

    三輪高志と夢魔との「虚体――かつて無かったもの、決してあり得ぬもの」をめぐる激論。「無」をつくるということの不可能性とそれを可能にする「存在の革命...続きを読む
  • 死霊III
    「黙狂」の矢場鉄吾が語りだす『決して言ってはならぬ最後の言葉』(これだけ見るとアイタタだな)。宇宙史=過誤史。
    与志(と安寿子)の「宇宙に初めて創出された《虚体》」の問題が本題に入らずに終わってしまった(ように見える)のがな…
  • 死霊III
    作者が死ぬまで描き続けた傑作です。完結はできませんでしたが、インタビューによるネタバレが全集に掲載されています。