世界「比較貧困学」入門 日本はほんとうに恵まれているのか

世界「比較貧困学」入門 日本はほんとうに恵まれているのか

730円 (税込)

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スラムに住む子どもたちが笑顔で生き、かたや充実した社会保障に守られながら希望をもてない人たちがいる――。「日本は世界第三の貧困大国」とされている。一時は「派遣村」に代表される貧困問題がニュースとなり、生活保護をめぐる議論が断続的に世間をにぎわしている。たしかに私たちの将来の見通しはなかなか立たない。だが、物質的に恵まれている日本で「貧しさ」を実感している人は、はたしてどれだけいるだろうか? 『絶対貧困』『遺体』などのベストセラーで知られるノンフィクション作家・石井光太は、これまで世界の最底辺を取材しつづけてきた。その経験をもとに、途上国の貧困を「絶対貧困」、先進国の貧困を「相対貧困」と定義し、あやふやな「貧困」の本質に迫ったのが本書である。住居、労働、結婚、食事といった生活の隅々で、両者の実態を比較する。 【目次より】●第1章 住居――コミュニティー化するスラム、孤立化する生活保護世帯 ●第2章 路上生活――家族と暮らす路上生活者、切り離されるホームレス ●第3章 教育――話し合う術をもたない社会、貧しさを自覚させられる社会 ●第4章 労働――危険だが希望のある生活、保障はあるが希望のない生活 ●第5章 結婚――子どもによって救われるか、破滅するか ●第6章 犯罪――生きるための必要悪か、刑務所で人間らしく暮らすか ●第7章 食事――階層化された食物、アルコールへの依存 ●第8章 病と死――コミュニティーによる弔い、行政による埋葬 世界とくらべて、日本の貧困にはどのような特徴があるのか。たしかに日本では、貧困が社会のなかに溶け込んでいるため個々の事例としてしかとらえられず、大きな渦となって見えにくい。だが、それは裏を返せば、私たちのすぐ隣に貧困が潜み、だれもがそのふちに片足をかけていることを意味している。対岸の火事ではないはずだ。そしてこのことは、社会学のような学問や理論では決して見えてこない。現場を隈なく歩きつづけ、世界と比較するからこそ知りえる光景が、目の前に広がっていた。日本全体で約2,000万人、6人に1人が相対貧困であるという現実が厳然とある。働けど働けど、なぜか幸せを実感できない私たち日本人。その答えを本書で解き明かそう。

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世界「比較貧困学」入門 日本はほんとうに恵まれているのか のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    これは、貧困についての本のなかでもかなり内容があった。
    日本と途上国での貧困を比較して、両者の特徴を書いている。内容が詰まっていて、すごく示唆的な内容が多かった。
    貧困である、ということが人間にとってどうしてこんなに不利な状況を呼んでしまうのか。
    石井光太さんの本には、ほんとうにはずれがない。大好き

    0
    2014年06月25日

    Posted by ブクログ

    日本のような相対的貧困と途上国のような絶対的貧困の違いが分かりやすく書かれています。平易な言葉で書かれているので、入門書としては最適だと思います。予備知識がないと難しく感じるところもあるかもしれませんが、そこを調べながら読むといい学習になると思います。

    0
    2016年02月04日

    Posted by ブクログ

    ■低所得者だから不健康なのではなく,
     不健康だから低所得者なのでは?
     因果関係が逆転している。
    ■脚色されている部分も多いとは思うが,
     面白かったです。
     と,同時に切なかった…。
    ■この人の文章はうまいし,読ませる。
     だからこそなんだろうけど,胡散臭さも感じてしまう。

    0
    2014年07月17日

    Posted by ブクログ

    昔は駅周辺は路上生活者だらけだった。駅周辺の開発や駅ビル自体の近代化・整備が進み、そういった人達を見る事が極端に減った様に感じる。これは日本が裕福な国になったからではなく、単にセーフティネットが充実してきたからだ。然し乍らそれからも漏れて未だ完全な解消には至っていない。勿論衣食住何一つ不自由なく暮ら

    0
    2023年04月01日

    Posted by ブクログ

    僕は子どものころから貧困とは無縁だったので、定期的にこういった本を読まないと世界が狭くなってしまう。
    世界と日本がそれぞれ別の問題を抱えていることがわかる良書。

    0
    2018年11月30日

    Posted by ブクログ

    日本は先進国の中で3番めの貧困大国だという。1日1.25ドル以下で暮らす「絶対貧困」に対して、相対的に可処分所得が少ない層「相対貧困」が日本の貧困の正体だ。
    絶対貧困と相対貧困、それぞれの状態を、住居、教育、結婚、食事などの面から比較してみる、という試み。絶対貧困では住居が特定の場所に集まる(スラム

    0
    2014年05月17日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    相対貧困と絶対貧困の比較

    日本が該当するほとんどは相対貧困である
    我々が貧困と聞いて想像するのが絶対貧困の方

    この両者においての差異をさまざまなパースペクティブから読み解いたのが本書だ。

    本当にいろいろなことを考えさせられる。

    世界比較貧困学入門
    絶対貧困(一日1.25ドル以下での暮らし・発

    0
    2020年07月30日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ベーシックインカムのことを勉強しており、日本の貧困のことに知りたくて手に取った本。
    絶対貧困と相対貧困の事例を短いテーマ毎に並べ、比較しているため、非常に分かりやすい。
    住居、路上生活、教育、労働、結婚、犯罪、食事、病と死。
    日本は制度を利用することができれば、最低限の生活を送ることができるが、それ

    0
    2021年02月14日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    絶対貧困とは「1日に1.25ドル以下での暮らし。この金額以下で暮らしている人は世界で6人に1人いる。この人たちが貧困なのはよく分かる。しかし、日本は世界で第3位の貧困大国だと言われると。ピンとこない。これを理解するには相対貧困という概念が必要になる。
    相対貧乏とは「等価可処分所得が全人口の中央値の半

    0
    2016年04月07日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前にインドのルポを読んだときは情緒的に感じたが、この本はだいぶ冷静になっている。しかし、「比較貧困学」と言いながら「こんな話を聞いた」というどこの誰だかわからない人の話ばかりで、せめて元政治家や亡くなった若者くらいはもう少し特定できるのはずなのだが。はじめのページは各国の出稼ぎ労働者の数(中国が意外

    0
    2019年02月12日

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