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耳を澄ませ。何かが聞こえる――。テノリネコが膨らむ音が。徘徊するネコビトたちの呟きが。貝殻プールのラッコの水音が。盗んだトウモロコシをゆでる熊のご機嫌な鼻歌が。そして、吸血鬼(バンパイア)の奏でる陽気なラグタイムピアノが……。混沌と不条理の中に、世界の裏側へと読者を誘う魅惑的な企みが潜む。デビュー作『レプリカたちの夜』で大ブレイクした鬼才による、異彩を放つ傑作オリジナル短篇集。(解説・杉江松恋)
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Posted by ブクログ
シュールなキャラクターと理不尽な物語でできた独特の世界観が好みだった。 もれなくすべて唐突な理不尽オチで、大ドンデン返しを食らったあと少しして物語が終わった虚しさが来る。短編集でテンポよく読めるのも良かった。 途中出てくる吸血鬼の勤勉な青年、あれになりたい 。
“murmur”なんて英単語が存在することを知らなかったから、またまた、騙される人が多そうな嘘ついてと笑っていたら、私が無知なだけでした。そんなダジャレみたいな英単語をタイトルに持ってきて「まーまー」と書く、素敵すぎるセンス。 動物たちの“murmur”が聞こえてきそうで、ニヤけながらの読書。音に...続きを読む反応してデカくなっていく猫とか、環境汚染によって異形化した動物とか、見たこともない光景のはずなのになぜか想像できてしまうほど、文章がわかりやすい。かといって薄っぺらさを感じる文章ということはなく、想像の世界がどんどん膨らむのです。そのシュールさを今は笑っていられるけれど、もしかしたらそう遠くない将来、現実になるかもしれないなぁなんてちょっぴり恐ろしくもあり。 伊坂幸太郎が推しているだけあって、伊坂作品を好きな人ならば好みの範疇でしょう。この表紙のぬいぐるみがあればほしい。いや、やっぱりこんなん家に居ったら嫌かな。
基本的には動物や人外をテーマにした話。 まだ人類には早すぎるかもしれない内容だった。インフルエンザの時に見る夢を文章にした感じ。あまりにも突飛すぎて読み飛ばした回もあったが、吸血鬼が日本に来て豆を数える仕事に就いてる話はちゃんとオチがあって面白かった。
「テノリネコ」と「アンラクギョ」と「ベイシー伯爵〜」が好きな方。 個人的には楽しかった。短編集だからかな、短編集がでたらまた読んでみたい。
異色な動物たちが登場するシュールな世界の短編集。 ちょっと星新一を思い出させるようなSF的要素もある。 でも、いま読みたい感じではなかったかも。 読後少し疲れてしまった。 2020.12.28
『レプリカたちの夜』は安部公房と小山田浩子に似てたけど、本作は不条理さがカフカっぽいと思った。それぞれの短編の主人公みんな、不条理に翻弄されて何も解決しないまま振り出しに戻って途方にくれて終わる。「ヘルメット・オブ・アイアン」なんか、何を読まされているのか分からず読んでるこちらも途方にくれて面白かっ...続きを読むた。「アンラクギョ」が特に好み。ネコビトの話し方真似てみたりした。
7つの短編からなる短編集。正直言って玉石混合。 冒頭の「テノリネコ」は最高に面白かったが、後の作品になるほどなんじゃそりゃ?みたいなお話だった。 ただ、この洗練され卓越したユーモアと、スピード感を失わない言葉、会話の妙、展開の意外性は、何物にも代えがたい魅力を持っているのは間違いない。まさに伊坂幸太...続きを読む郎を思い起させる。そしてベースにある世界観というか人生観は実に哲学的だ。作家に求められる力量の一つは創造力だと思うが、それについてはもう何も文句はない。 「テノリネコ」と「採って獲って盗りまくれ」が大好きです。
短編のほうが、わけの分からなさが短く済んで、わけわからないなりに、何となく覚えてはいられるので、面白かったです。 人物の容姿とか、性格とか、背景の描写とか、細かい設定がいろいろあって、パロディだとか気付く人は凄く面白いんじゃないかなと思います。読む人間のほうに、センスが必要みたいで、わたしだと、上っ...続きを読む面くらいしか楽しめてないんだろうなと思うような作品でした。 好きなのは、「ヘルメット・オブ・アイアン」。漢字読みを、外国語にしたり、音読み・訓読みで遊ぶってのはよくある手法ですが、この変換には、笑いました。四兄弟なのか(笑)。
動物たちの行動、言動がいちいち面白い。人間を振り回す動物、振り回される人間。そのどちらにも滑稽さがある。存在しないはずの動物たちがそこに存在しているように生き生きとしていてただただ楽しめる。
デビュー作の衝撃には良くも悪くも面食らったが、妙に惹きつけられる【引力】が備わっていた。短編集となる本作は殊更バラエティに富み、舞台はギャグとシュールが渦巻く荒唐無稽で支離滅裂な終末世界。そして、そこには鋭く冷たい風刺的観点が張り巡らされている。一見ノリと勢いで押し切る作風に見受けられるが、実際は高...続きを読む度なバランス感覚の元で成立している印象も。プールに棲み着き人語を操るラッコ、熊の着ぐるみを纏う探偵、零細工場で働くバンパイア、この三本が特に面白いが、無闇矢鱈に巨大化したり、殺し合いをするのは興醒めする次第…。
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動物たちのまーまー(新潮文庫)
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一條次郎
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