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現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。
このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。彼の名は、オーブリー・ビアズリー。
マクノイア曰く、「とにかく、世界は知ったわけだ。あのオスカー・ワイルドを蹴散らすほどの強烈な個性をもった若い画家が存在するということを」。
保険会社に勤める病弱な青年・ビアズリーは、1890年、18歳のときに本格的に絵を描き始め、ワイルドに見出されて「サロメ」の挿絵で一躍有名になるが、その後、肺結核のため25歳で早逝。
フランス語で出版された「サロメ」の、英語訳出版の裏には、彼の姉で女優のメイベル、男色家としても知られたワイルドとその恋人のアルフレッド・ダグラスの、四つどもえの愛憎関係があった……。
退廃とデカダンスに彩られた、時代の寵児と夭折の天才画家、美術史の驚くべき謎に迫る傑作長篇。
※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2024年03月18日
圧倒的に引き込まれる、19世紀末ロンドンが舞台の画家ビアズリーの物語。
若くして亡くなるビアズリー、あのちょっと怖い絵を描く人!
男色家の作家オスカー・ワイルドって王子さまとつばめの悲しいお話の「幸福な王子」を書いた人よね!?
漠然と持つイメージを覆すストーリー。
目的のためには手段も選ばないビア...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月10日
オスカーワイルドのサロメは 以前 読もうとして断念したけれど、こちらのサロメはノンストップで読んだ。
どの辺りまでが創作でどこまでが事実なのかよく分からないけれど、ものすごくおもしろかった。
私にとって 原田マハさんの作品は それ自体が芸術的だけど、美術への興味だったり ぼんやりとしか知らなかっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月02日
メイベルもオスカー・ワイルドもオーブリーも、皆芸術に飲み込まれたのだ。情熱的で尽きることのない欲望を宿す彼らは皆芸術の被害者である。禁じられれば禁じられるほど、つい手を伸ばしてしまいたくなる。そこには理性など存在せず、子どものような無邪気な好奇心に突き動かされるまま、踏み込んでしまった底無し沼のよう...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月03日
この度、オペラ「サロメ」を観に行くことなったので再読。
私は原田マハさんの本で、画家を知るのですが今回のオーブリービアズリー はまた異質。一度知ってしまうと目を離すことが出来ない恐怖、禁忌、淫靡そして罪。癒されもしないし心が穏やかにも全くならない芸術。なのに、強烈な中毒性。
そしてビアズリーに深く...続きを読む
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