新しい哲学の教科書 現代実在論入門

新しい哲学の教科書 現代実在論入門

1,925円 (税込)

9pt

4.3

今、哲学は「人間」から離れて「実在」に向かっている。21世紀を迎えてすでに20年、哲学の世界では大きな変動が起きています。そこで問われているのは、「人間以後」の世界をいかに考えるか、というものです。「ポスト・ヒューマニティーズ」とも呼ばれるこの動向は、思弁的実在論、オブジェクト指向存在論、多元的実在論、加速主義、アクターネットワーク理論、新しい実在論など、狭い意味での「哲学」をはるかに越えた多様な領域に広がりつつあります。本書は、こうした動向の明快な見取り図を与え、自分の問題として考える手がかりを示すために気鋭の著者が書き下ろした渾身の1冊です。本書で取り上げられるのは、2016年に『有限性の後で──偶然性の必然性についての試論』の日本語訳が出版されて話題になったカンタン・メイヤスー(1967年生まれ)、2017年に『四方対象──オブジェクト指向存在論入門』の日本語訳が刊行されたグレアム・ハーマン(1968年生まれ)、そして2018年に日本語版『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)がベストセラーとなって広く名前を知られるようになったマルクス・ガブリエル(1980年生まれ)ら、最先端の哲学者たちです。「人間以後」の世界を考えることとは、「人間が消滅したあとの世界」という、ますますリアリティを帯びつつある世界を考えることだけではありません。それは同時に「人間の思考が届かない場所」を考えることでもある、と著者は言います。それはもちろん矛盾していますが、「実在論」への注目は、そこに現在の人間が希求するものがあることを示唆しているでしょう。それは、別の言葉で言えば、「実在論(realism)」とは「実存論(existentialism)」でもある、ということです。1987年生まれの著者は、「今」に生きることのリアリティを手放すことなく、哲学の問題とは「生きること」の問題にほかならないことを分かりやすく示しています。新しい哲学のムーブメントをただの流行で終わらせないために。未来のスタンダードが、ここにあります。[本書の内容]プロローグ 「何をしたいわけでもないが、何もしたくないわけでもない」 第I章 偶然性に抵抗する──カンタン・メイヤスー 第II章 人間からオブジェクトへ──グレアム・ハーマン 第III章 普遍性を奪還する──チャールズ・テイラーとヒューバート・ドレイファス 第IV章 新しい実在論=現実主義──マルクス・ガブリエルエピローグ メランコリストの冒険

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新しい哲学の教科書 現代実在論入門 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2020年07月12日

    本書は間違いなく、私にとっての「座右の書」になった。

    「高さ」と「広さ」は今の自分にとって、切実な問題だった。この世に、至高性と普遍性はない、と嘆く自分に嫌気がさしていた。

    今を生き、今を嘆く自分。まだ嘆きがあるだけいいのだろう。いま、ここではない、どこかを望めるだけ「まし」なのだろう。

    しか...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年07月03日

    メランコリー、メランコリストという枠組を提示され、さも自分を言い当てられてるかのようだった。

    メイヤスー、ハーマン、テイラードレイファス、ガブリエル…彼らの思想が現代の若者にどれだけ強力な武器になるのか。

    著者には今後さらに期待が持てる。

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    Posted by ブクログ 2020年02月23日

    ポストモダン以降の悪しき相対主義/独断主義を問い直すことから始まる現代実在論について、普遍性と超越性をキーワードに紹介、論考した一冊。そこで描かれている世界像が量子論やリトルピープル論とパラレルに見えるのも、きっと偶然ではないのでしょうね。

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    Posted by ブクログ 2019年11月29日

    著者の処女作。現代の哲学の状況をこの1冊でわかりやすくまとめつつ、「メランコリスト」という概念を提唱して現代人の「心のあり様」を表現し、最新の哲学の成果を踏まえた私たちの行く末を提案してくれる著作。個人的にフィットする内容が多く、特にエピローグに関しては感動的な体験でした。

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    Posted by ブクログ 2021年03月07日

    高校の倫理の教科書は実存主義までしか扱いませんが、その後出てきた「新しい哲学」の教科書です。カント以後の観念論をどのように破るかという横糸(実在論)と、「何をしたいわけでもないが、何もしたくないわけでもない」現代人(メランコリスト)がどのように高さ(超越性)と広さ(普遍性)を手にできるかという縦糸(...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年02月22日

    思弁的実在論の提唱者であるカンタン・メイヤスー、オブジェクト指向存在論を構築したグレアム・ハーマン、『なぜ世界は存在しないのか』の著書で知られるマルクス・ガブリエルに加えて、文化相対主義に抗して普遍性を擁護する試みをおこなったテイラーとドレイファスの思想を、わかりやすく解説している本です。

    著者は...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年08月15日

    マルクス・ガブリエルの「新しい実在論」って、なにが新しいのかわからんな〜と思いつつ、読んでみた。

    「実在論的転回」は、ガブリエルだけではないとは聞いていたけど、違いがよくわからなかったんだけど、メイヤスとか、ハーマンとか、いるわけですね。そして、それぞれの主張の概要もわかった。

    ポストモダーンの...続きを読む

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