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太平洋戦争時、日本領土内で起こった劇的な出来事を発掘!
当事者に綿密な取材を行って書き上げられた衝撃の戦史小説
北海道の海辺の寒村に次々と流れ着く死体の群れ。沖合で潜水艦に撃沈された輸送船では、上陸用舟艇に載れたのは将校ばかりだった(「海の棺」)
ソ連軍の侵攻にさらされた樺太の炭鉱町で、看護婦たちが集団自決を図った。記者の取材に生き残った元看護婦たちは固く口を閉ざすが……(「手首の記憶」)。
昭和20年8月22日。戦争は終わったはずの北の海で、ソ連籍と思しき潜水艦の攻撃で沈没した「小笠原丸」の悲劇(「烏の浜」)。
沖縄戦で軍司令部の散発要員として軍に帯同した理髪師が見た、軍司令官自決の真実(「剃刀」)。
訓練中に不幸な事故で沈没した潜水艦・伊三十三。9年の歳月を経て引き上げられた艦内の一室からは、生けるが如き13名の遺体が発見された(「総員起シ」)。
全5篇を収録。
Posted by ブクログ 2017年07月20日
吉村昭による短編小説集。太平洋戦争末期、現日高町厚賀沖にて、兵員輸送船「大誠丸」が米軍の攻撃を受け沈没した事件を主題とする作品『海の柩』が収録されています。実際に多数の将兵が亡くなった事件である為非常に暗い作品ですが、戦争という現実の中で暮らしていた厚賀の人々の姿が克明に描かれています。(日高門別 ...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年10月10日
総員起しは、森史朗の「作家と戦争」で紹介された小説だったので読んでみた。終戦後になって沈没した潜水艦から、死亡した当時のままの姿で発見されたというショッキングな内容が書かれていた。一貫して、吉村昭の小説に描かれている死に際の内面に迫っていく手法なだけに身に迫る怖さがある。ここには、「手首の記憶」など...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年03月07日
戦争にまつわる実話を基にした5つの短編小説。
もう、ずーっと読みたくて、古本で探しても見つからず1年。我慢できずに新刊をお取り寄せしました。読んで良かったです。戦争の悲惨さ、当時の人の思い、傷跡…。あくまで、「実話を元にした小説」なのでしょうけれど、Wikipediaなんかで調べただけではイメー...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年01月25日
昭和40年代に雑誌で発表されたのが初出であるという5篇の作品が収められている。5篇共に読み応えが在る。
色々な意味で、各作品に「惹かれる理由」が私個人の中に在るのだが、それらを割り引いても、各作品は「流石に高名な吉村昭の作品!!」という魅力に溢れている。題材となっている挿話も、「考えさせられる」と...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年02月09日
吉村氏の本2冊目。氏のおかげで戦中、戦後史に俄然興味がわいている。この作は、戦後8年ほどを経て引き上げられた潜水艦の様子の記述に、とにかく度肝を抜かれた。おそらくこの艦だけでなく、他の場所でも多くの沈没艦があるはずで、それらの記録も一部には残っているのだろう。しかし、氏の綿密な調査により、ここまで...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年09月16日
「海の柩」は次々と流されてくる兵隊の水死体、という状況からして恐ろしいのですが、それらに共通するある特徴の理由がわかった時、あまりの殺生ぶりに戦慄せずにはいられませんでした。「総員起シ」は潜水艦サルベージのドキュメントとして非常に興味深い話でした。せっかく戦争を生き残ったのに、9年後に引き揚げられた...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年12月20日
終戦前後に起きた悲劇を題材とした5篇を収めた短篇集。
残念なことにいずれも、現代では風化し、
忘れ去られた事件になり下がっているようだが、
それだけに衝撃的だった。
とりわけ『海の柩』、『手首の記憶』、『総員起シ』の読後感は重かった。
戦争とは、軍隊とは理不尽の塊であり、
戦争に負けるとはこういう...続きを読む
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