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正月に帰省した槇子は、生家が取壊され、テナントビルにされると聞かされた。胡桃の油で磨かれ黒光りする柱を眺め、柱に染みこんだ代々の女たちの思いを思うと、槇子は不意に自分の家を建てたい衝動にかられるのだった。女と家の共生関係を描いた表題作、学生時代の友人への複雑な感情を扱った「女ともだち」、煙草と男への拘りを語る「シガレット・ライフ」など4編を収めた短編集。
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Posted by ブクログ
特に『玉呑み人形』が秀逸だと思った。 どうにかして逃れたいとは思いつつ、一方で自らに根付く生まれた環境あるいは宿命。 男女の性差とか設定時代の古さとかいう議論は瑣末なことで、普遍的なテーマが上手く描かれていると思う。
3世代に渡る母娘と家のつながり。 自分の家柄とそれに縛られたがゆえの境遇を疎んじ、家を離れた主人公が帰省。祖母が胡桃の油で磨きこんだ黒い柱を見て「自分も木の家を建てよう」と決意するラストにぐっときた。自分の血のつながりを振り返ってみたりして。
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