草の花

草の花

440円 (税込)

2pt

研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上でめぐりあった藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹千枝子との恋にも挫折した汐見茂思。彼は、そのはかなく崩れ易い青春の墓標を、二冊のノートに記したまま、純白の雪が地上をおおった冬の日に、自殺行為にも似た手術を受けて、帰らぬ人となった。まだ熟れきらぬ孤独な魂の愛と死を、透明な時間の中に昇華させた、青春の鎮魂歌である。

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草の花 のユーザーレビュー

4.2
Rated 4.2 stars out of 5
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    Posted by ブクログ

    幸福になるために神に頼るのは罪の本質である。
    ”孤独“である為のに人を愛する孤独の自分を愛す、エーリッヒフロムも言ってましたね、愛されるために他者を自らを愛せと、正にその言葉が相応しい物語。愛があるから苦しみ、妬み、怒る、それこそが人間の最も重要な事でありその間に神の隔たりはない。過度な潔癖である汐

    0
    2024年04月16日

    Posted by ブクログ

    儚くも純粋な愛を知りすぎるほど知ってしまった主人公。何にも勝ることなく孤独と向き合う。
    どの会話も心地よく読めた。美しい。

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    2023年11月26日

    Posted by ブクログ


    今から50年程前の高校生の頃読んだ作品だが 本当にこの時期に出会えて良かった。この現代で初めて読む人達には色メガネをかけずに読めるのだろうか? 自由が不自由の内の自由から 自由を飛び越え過ぎ 多様化で自由の名の不自由な現代で このプラトニックな愛情を 人に紹介はできないのか?一生大事にしたい作品で

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    2023年08月27日

    Posted by ブクログ

    すばらしい読書体験でした。 芸術家を志し、自分を靭(つよ)くすることに執着し、そして孤独を愛しすぎた男の、儚く切ない青春の物語。 藤木に対する、千枝子に対する盲目的な愛に、苛立ちすら感じてしまうのだが、目の前に情景が浮かんでくるような美しい文章が、主人公汐見の数奇な運命を救済しているような気がする。

    0
    2022年09月17日

    Posted by ブクログ


    作者の魂が乗り移った様な、登場人物のひたむきな愛の渇望や孤独に、言葉を失う一作。
    書簡形式はあまり得意ではないが、それを差し引いても引力のある一冊。

    0
    2022年09月03日

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