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新聞配達の早朝の町で、暗天に閉ざされた北欧の地で、染織家の妻と新たな暮らしを始めた仙台の高台の家で、そして、津波に耐えて残った小高い山の上で――「私」の実感をないがしろにしない作家のまなざしは常に、「人間が生きて行くこと」を見つめ続けた。高校時代の実質的な処女作から、東日本大震災後に書き下ろされた短篇まで、著者自ら選んだ9篇を収録。
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Posted by ブクログ
落ち着いていて美しい文章。 この文庫と字体の雰囲気もぴったり。 阿部公彦氏の解説に天晴~となったので、抜粋します。 「あからさまに悲劇を演出しようとするのではない。情緒の不安定さを押しつけようとするのでもない。さまざまな危機を横目で見やり、自身の中にも重たいものをかかえながら、細心の注意をはらって...続きを読む呼吸しつづけること。言葉を紡ぎつづけること。そして、上手に力を抜きながら他者の言葉を導きこむこと。(中略)このような小説的呼吸法を通して彼が読む者の呼吸を助け、ひいては生きるのを助けるような作用を生み出しているからではないかと思う。」
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