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何で自分が? 長い時間をかけて迫りくる「静かな時限爆弾」・石綿(アスベスト)によって奪われた平穏な人生。
仙台、ロンドン、東京、尼崎――自身も患者である作家が現場を歩いて綴った連作小説。
かつて建築資材などに広く使われていたアスベスト(石綿)。
その細かい繊維を肺に吸い込むことで、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症することから、「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。
著者は若い頃、電気工事工として働く中、現場でアスベストを吸い込み、今なお後遺症を抱えている。
その経験をノンフィクションとして、『石の肺―僕のアスベスト履歴書』に書いたが、本書はその小説版と言える。
仙台、ロンドン、東京、尼崎とアスベストの被害に苦しむ人びとの運命を綴った連作小説集。
行政の対応が後手に廻り、結果として弱い個人が犠牲となっていく構図は、コロナ禍にも通じるものがある。
Posted by ブクログ 2022年02月01日
アスベストの被害に苦しむ人、不安を抱える人の生活の一コマを描くことで、アスベストの問題が普段の生活の中にあったことが浮かび上がってくる。誰もが建築の現場や電気工事などその利点を享受してきて、苦しみは現場の人たちだけに負わせてしまっていることは原発の問題にも通じている。
「うなぎ」は数十ページの話なが...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月19日
アスベストによる健康被害を主題にした4篇からなる連作短篇集。佐伯さんの作品を読むのは初めてだが、ご自身も過去にアスベストを吸い込み後遺症を抱えているらしい。その経験を踏まえてなのか、私小説なのかはわからないが、どのような状況でアスベスト被害に遭ったのかがとてもリアルに描かれている。
問題を先送りし後...続きを読む
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