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不遇の生活を送るSF作家キルゴア・トラウトのもとに、ある日アート・フェスティバルの招待状が届いた。開催地はミッドランド・シティ。その地でトラウトは人生の一大転機をむかえることに……著者自筆の自由奔放なイラストがちりばめられ、絵と文章が一体となって不思議な魅力をもたらす、涙と笑いの傑作長篇
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Posted by ブクログ
まったく評価されない孤独なSF作家キルゴア・トラウト。 精神がイカレかけている中古車ディーラーのドゥエイン・フーヴァー。 彼らは出会い、そして事件が起こる。 その他いろいろ。 様々なエピソードと作者直筆のイラストによって、アメリカの、世界の不条理さ、馬鹿馬鹿しさを描き出していく。 その他...続きを読むいろいろ。 「その他いろいろ」なんて言葉で世界を括ってしまうとはズルイ。 時折紹介されるトラウトの作品もかなり笑える。 その他いろいろ。
ヴォネガットの世界観は「タイタンの妖女」でほぼ全て示され、それを補完拡充することがその後の作品。で、その作業の行き着く果て及び結局それを止めた作品。作品というには丸裸すぎるほど生々しい哀しみ。
ヴォネガットの小説はいつも話の筋になかなか掴みどころがない。 そしてこの作品は今までにましてストーリーが掴めなかった。 読んでいて、いるのかいないのかも分からない透明のウナギを捕まえろ!と命令されている気分。 狂った登場人物たちによる、でたらめな事実が箇条書きで続いていく。 訳者のあとがきによると、...続きを読む“ヴォネガットが書いた最も直接的なアメリカ批判の書”なのだという。 確かにその通りで、“ヴォネガットらしい”宇宙を感じさせられる途方もない視点から見たアメリカという国を、 かなり痛烈な言葉で批判したり皮肉っている文章が多く目に付いた。 例えば、コロンブスがアメリカ大陸を発見した“1492年”について… “先生たちはこの国にこの大陸が発見された、と子供たちに教える。ところが、1492年のこの大陸には、すでに何百人もの人間が、充実した、想像力豊かな生活を送っていたのだ。この年は、海賊たちが、その人間たちをだましたり、略奪したり、殺したりしはじめた年でしかない。”(p26) 僕はヴォネガットのこういった、国や地球から飛び出したような、俯瞰的な視点から皮肉った文章が好きだ。 読んでいる自分も一緒に異空間に連れて行ってくれる。見たことのない景色を見せてくれる。自分が宇宙人であるような気分すら味わえる。 他にも、黒人奴隷問題やベトナム戦争についても、ブラックユーモアを交えて書いてある。 そんなヴォネガットの伝えたいエネルギーは凄く感じられるのだけれど、いかんせんストーリーが意味不明。 ついには語り手である作者自身も、創造主として小説の中に登場して、もはや『ソフィーの世界』的混乱状態。 “なにがアメリカをこんなに危険で不幸な国、実生活でなにもすることのない人びとの集まった国にしているのか、いったんそれを理解したとき、わたしはストーリーテリングを避けようと決心した。人生について書こう。どの人物にも、ほかの人物とまったくおなじ重要性を与えよう。どの事実にもおなじ重みを持たせよう。なに一つなおざりにはすまい。ほかの作家たちには、混沌の中に秩序を持ちこませておけ。わたしは逆に、秩序の中へ混沌を持ちこもう。自分ではそうしたと思う。”(p264) こんな弁解めいた文章もあって、でもこの一節がこの作品をよく表してる。 ヴォネガットの小説はどの登場人物も狂おしく、愛らしく描かれているのだ。 なんじゃこりゃとしか言えないのは、まだ僕の読書経験、ヴォネガット経験の不足が致すところでもある。 しかし、頻繁にはさまれる作者自身によるヘタウマな挿絵も一役買っているし、 キルゴア・トラウトやローズウォーターといったほかの作品でなじみのある登場人物も出てくるし、 他の作品も含めて何度か読めばヴォネガットの世界がより楽しめると思う。 作中に出てくるトラウトの『いまこそ話そう』という架空の小説の、 自分だけが自由意志を持っていて、他のみんなはなにも感じない機械だ(p317~)という表現は、 現代社会の人間関係を言い当てているようで面白いけれど、怖さも感じる。 ひと言じゃ言い表すことができない “その他いろいろ” そこに人生の実質があるのかなぁ? 今まで読んだなかで良くも悪くもいちばんデタラメな小説だと思う。 日本語では際どい(てかアウト!?な)ワードも多いので、原文で読んだほうが楽しめるかも。
ただただ面白いとしか言えないこの作品は非常に「面白い」。登場人物2人が徐々に近づいていくドキドキや、作家自身の登場、作家のイラストなどなどのテクニックも素晴らしいけど、人を深く描写するのはさすがのカート・ヴォネガット・ジュニアですね。
狂気を帯びた事件に関係したりしなかったりする人物とか出来事が、ユーモアやら愉快な挿絵やら皮肉やらSFやらを交えつつ公平に丁寧に描かれてる。最後、急にぐだぐだになるとこも含めてどこか愛しい。その他いろいろ。 この世界で思考して選択して行動することができる生き物はあなただけで、それ以外の全てはあなたに...続きを読む刺激を与えてその反応を確かめるために創造主が作った機械なのですよ。その他いろいろ。
→「スローターハウス5」の後に書かれた1973年の作品である。 この作品には、魅力的なヴォネガットの自筆イラストが多数収められている。 そして、段落の前には「→」がつけられている。 →「人生は危険だよ、それは知ってる。それに、苦しみもいっぱいある。 だからといって、まじめなもんだとは限らんよ」 な...続きを読むど等、キルゴア・トラウトの名言が多数収められている。 トラウトの短編小説のあらすじも、たんと収められている。 召し上がれ! →化学物質のせいで狂っているのは、ドウェイン・フーヴァーに限ったことではない。 →その他いろいろ。
当時のアメリカへの批判が込められているらしいが、残念ながら知識不足のせいかあまりピンとこなかった。あと特にわからない点としては、ラストのイラストはどう捉えればよいのだろう。まえがきにもあるように、この作品でトラウトやローズウォーターなどの過去作登場人物たちを放り出してしまうわけだが、この先ヴォネガッ...続きを読むトがどこへ向かっていくのかが気になる。
初ヴォネガット。何だろうこのとっ散らかった文章は(困惑)ストーリーがあるにはあるが、途中で関係のあるような無いような話が様々な角度(しかも急角度)から入り込んでくる。当時のアメリカへ対する皮肉や批判をたっぷり込めた物語だ。終いには著者自身が登場して「私は創造主だ」と主人公と絡む始末。心に残った言葉は...続きを読む「ほかの作家たちには、混沌の中に秩序を持ちこませておけ。わたしは逆に、秩序の中へ混沌を持ちこもう。」頻繁に挿し込まれている著者の描いた挿絵はなかなか味があっていい。いずれにしても、私には早かったようだ。ちょっとどこかに本作の解説がないか探してみよう。
花粉症のため通勤時にはマスクが欠かせない。うっとおしいことこの上ないが、本書を読みながらついにやけてしまう顔を隠すのには大変便利。 いつもの人たちがいつものようにわけわからない動きを見せて、今回もまともな感想は書けないけれど、やっぱりまたヴォネガットを読むだろう。
挿絵入り奇作 ヴォネガット作品の定番キャラクターSF作家キルゴア・トラウトを軸に、富豪(?)の主人公が発狂するまでを描く。 いたるところで発狂している文面、作者自身の挿絵、時間軸が交錯するストーリーといかにもヴォネガット・タッチ。初めて読むととまどうだろうな。 メインストーリーよりも、む...続きを読むしろ作中の挿話として扱われるトラウトの(もちろんヴォネガットの)SF小話が圧倒的に楽しい。 何度かヴォネガット作品を読んでいるので、この辺で主な作品の順番を整理しておきたい。斜字は既読、太字は今後の予定、赤字はお勧めである。 プレイヤー・ピアノ(1952) タイタンの妖女(1959) 猫のゆりかご(1963) モンキー・ハウスへようこそ(1968) ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (1965) スローターハウス5 (1969) チャンピオンたちの朝食(1973) スラップスティック : または、もう孤独じゃない! (1976) ジェイルバード(1979) ガラパゴスの箱船(1985) 青ひげ(1987) ホーカス・ポーカス(1990) タイムクエイク(1997)
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カート・ヴォネガット・ジュニア
浅倉久志
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タイタンの妖女
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