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「絶対的なものはある。ただし、それは複数ある」自ら“自由主義的保守主義者”を標榜し、いまや左右両翼の活字メディアで最も活躍する著者。深淵な思考の果てに見出したその「多元性と寛容の精神」を支柱に、国家から宗教、歴史まで、内在する論理を真摯に追究してゆく。著者の強靱な「知の源泉」に触れ、私たち読者が現代社会への強烈な覚醒を促される1冊。
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Posted by ブクログ
この頃の著者の本は密度が濃かったなあと懐かしくなる。思想的な面では相容れない部分が多く、さほど楽しめない。著者の思想から離れて他者を分析する際の眼差しが 、硬派でかっこいい。とはいえ近年はその眼差しも突飛な理論を引っ張ってきてムリクリ論評しているように見えて好きになれないが。 著者独特の自分の思想で...続きを読むさえ突き放して観察するようなスタンスは特に左派の市民運動に著しく欠けていると思う。その意味で、今後に生かしてゆきたい本である。
ジャンル分けに困る本だった。彼がいろんな雑誌等に書いたコラムとかを集めて手直ししたもの。話題が広くしかも結構突っ込むときもあるのでそれなりに知識がないと理解しきるのは難しい。 国策捜査とか日本の司法の拙さみたいのが垣間見える。これが民主国家かと思うような。 いろんな哲学の話とか全部おもしろかったけど...続きを読む一番心に残ってるのは一級のスパイマスターたちの共通点。それらの人が自国、自民族のために命を捧げる気構えがあるがそれが物語でしかないことも知っている、そして愚行権、他者へ危害を加えないならその人の物語を認めること。 あとは恐慌と戦争を繰り返し生き続ける資本主義を考察する上でマルクス経済学が助けとなること。 佐藤さんの考えの根本は自分と近いものがあるような気がする。
2008/11/24 メトロ書店御影クラッセ店にて購入 2011/4/18〜4/24 久々の佐藤氏の本。 こういうベビーな思想本は大学生の頃に結構読んだが、最近は全く読めていなかった。特に第五章の白井氏との対談は、佐藤氏のバックボーンを知ることが出来て興味深い。我が国もこういうユニークな人材を国策捜...続きを読む査のために失ってしまったのはもったいない。 私自身は理系であるが、たまにこういう本を読んで視野を拡げないといかんなあ。
著者が東京拘置所で過ごした512日間に読んだ読書の記録や、各種雑誌に発表された文章を収録した本です。 著者は「自由主義的保守主義」を標榜します。これは、「絶対的なものはある。ただし、それは複数ある」という立場で、その一つ柱となっているのが伝統的な公共性への信頼だと言えるように思います。他方で著者は...続きを読む、みずからの伝統への信頼が、他者の信念を否定することになってはならないという寛容の精神を強調しています。このことについて著者は「私はキリスト教徒なので神を信じている。……しかし、人間である私が、それが絶対に真実であると他者に強要することは、人間の範疇を超える逸脱行為だと思う」と述べていますが、キリスト教的な倫理が基礎になっていることがよく示されているように思います。そして、著者の立場を支えている3番目の柱となるのが、マルクス主義です。とくに著者は、日本のマルクス主義経済学者である宇野弘蔵を高く評価しています。 本書の議論にはさまざまな関心をかき立てられましたが、とくにおもしろく読んだのは、北畠親房、大川周明、葦津珍彦という保守思想の系譜に著者が注目しているところでしょうか。北畠の『神皇正統記』は、積極的に明の冊封体制に参画しようとした足利義満のグローバリズムと対立するものであり、著者自身の寛容な伝統主義に近い立場だと著者は考えます。そしてこの北畠を評価したのが大川周明であり、他方それを批判したのが原理日本社の蓑田胸喜だったとされています。著者によると、蓑田の日本主義は唯一の正しい日本国家のドクトリンを掲げる点でロマン主義的であり、むしろドイツ観念論のような発想に基づいていました。これに対して大川は、日本の伝統を『神皇正統記』のようなテクストに即して理解するという点で、直観に基づいて日本のドクトリンを掲げる蓑田とは対極的なアプローチを取っていたとされます。こうした著者自身の議論自体もまた、テクストに基づく伝統理解になっています。この点に、大川の発想をインテリジェンスの観点から現代に生かそうとする著者特有の知的態度が伺えるように思います。
新しい考え方についての手掛かりをもらえた一冊。 自分が逮捕されたら、果たして平穏な気持ちでいられるであろうか?
著者との知識に差があり過ぎてとてもすべて理解できるものではないが、 天皇制、ソ連崩壊、北方領土などについての言説にはなるほどと思わされる。
獄中記だったか国家の罠だったか。君は官僚としてはカリスマ性がありすぎる、みたいなことを言われた、なんて記述があったがその意味がよくわかる。 この本は右の雑誌から左の雑誌までを横断したコラム集である。で、あるのだが、右とか左とかはほとんど意味をなさない。なぜならこれはあくまでも「佐藤優」のコラム集であ...続きを読むるのだから。 知的水準の高い著作を書く作家だから彼の著作を読みたくなるのではなく、佐藤優の著作を読みたくて彼の著作を読んでしまう。そんなちょっとした中毒症状を起こしてしまう。 動物園とかのペンギンは、オス度の高いオスがいると、オス度の低いオスがメスの役割を果たすように受けになるって話があるけど、そんなカンジ。彼のカリスマ性にあてられてしまうと瞬く間に信者になってしまう。 それは知的水準というよりは神学という稀少なバックボーンに因る気がするし、更にいえばそういった学問的な何かとは関係のないところに因っている気がする。そういった恐ろしい魅力をこの著者は持っている。 いわゆるひとつの、くやしい、でも、びくんびくん。
外務省ラスプーチンと呼ばれた佐藤優さんが書いたコラムやインタビューをまとめた本。国家と神とマルクスというタイトルだが、それぞれをつなげて分析しているわけではなく、ひとつひとつについて語っているだけ。多くの引用や個人的体験をもちいて思想について語っている為、自分に都合のよい部分だけを切り貼りしているの...続きを読むでは??という疑念はぬぐいきれないし、分析もやや甘い気はした。しかし、手軽に読める本ではあるし、いくつかコトリと落ちた部分があるので星3つ。
この本を読んでわかったのは、著者がとんでもない巨人だったことくらいですかね。著者の頭の中をのぞける本だとは思いますが、理解できる本であるかどうかは読む人次第ですね。私は理解できませんでした。
個人的には、佐藤優という人はどうにも信用しきれないところがあるというか、やはり刑事事件の被告が起訴中に文筆活動をしているという構図には、幾ばくかの胡散臭さを感じざるを得ない。というよりも、敢えてそういう風に突き放した姿勢に徹しなければ、容易くシンパにされてしまいそうな自分に危うさを覚える。読んでいて...続きを読む何より感じるのは、彼のインテリジェンスのプロフェッショナルとしての資質である。右翼とも左翼とも真面目で建設的な議論が出来るのも、それに由来するのだろう。ただ、残念なことに、彼の議論の全容を理解するには、私の知識は浅薄過ぎた。もっと勉強しなきゃなんないなぁ。☆3つなのは、読者の知性が不足しているために判定不能という意味です。
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国家と神とマルクス 「自由主義的保守主義者」かく語りき
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佐藤優
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