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25歳のサラリーマン・大森連は小仏峠の滝で気を失い、天明6年の武蔵国青畑村にタイムスリップ。驚きつつも懸命に生き抜こうとする連と村人たちを飢饉が襲い……時代を超えた感動の歴史長編!
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Posted by ブクログ
ある意味、SFか? 宇江佐センセがタイムスリップを描くと、こうなるのだ。 多くの時代物で鍛えられた手腕があっちこっちずばすばと発揮されています。 すげえ。 また、タイムスリップ先が鄙びた農村ってゆうのもナカナカ良い。 たまにはこういうモノもアリですね。
マウンテンバイクで旅をしていたら、ある時ワームホールにぶつかって江戸時代の農村に飛んできてしまう主人公のお話。飢えや理不尽な取り立てに苦しむ農民の生活を経験しながら、周りの人たちと絆を深めていく。後半の展開が多少好みではないけど、どんどん読み進めたくなる面白さがありました。
会社員が江戸時代にタイムスリップする小説。ライトノベルにありそうな展開であるが、タイムスリップ先が天明期の農村という点が地味であり、小説の奥深さがある。ラノベは転生先の人生に切り替えるが、『通りゃんせ』の主人公は自分がいなくなった元の世界について思い悩む。ラノベは転生先の生活に容易に適応するが、『通...続きを読むりゃんせ』は文明生活と異なる不便さを直視する。風呂やトイレに慣れるのに苦労した(52頁)。 「マックのハンバーガーや分厚いステーキが無性に食べたくなった」(61頁)。感染症の流行で人々が死に絶えた世界で生き残った登場人物も「ハンバーガー食いてえ」と言う(リン・マー著、藤井光訳『断絶 (エクス・リブリス)』白水社、2021年、140頁)。文明生活を懐かしむとしたら、やはりハンバーガーを食べたくなるだろう。ハンバーガーは文明の凄さを体現するものではないが、無性に食べたくなる。消費生活の便利さを象徴するものと言える。 江戸時代の人々は元号よりも干支を使っていた(63頁)。江戸時代の人々は元号の欠点を理解していた。元号は数年でリセットされるため、単位として欠点がある。頻繁にリセットされる単位としては不便なものである。この不便さは、大正という短い元号を経験した近代日本も認識していた。そのために戦前は皇紀が多用される傾向にあった。 元号の欠点に戦後の日本人が気付かなかった理由は、たまたま昭和が長かったからである。単に特殊な昭和の事情を伝統と勘違いしてはならない。昭和レジームに固執するならば、皇紀を利用した戦前の日本人の方が賢いことになる。 江戸時代の農民は虐げられるだけの存在ではなかった。「理不尽なことには徹底して異議を唱え、自分達の暮らしを守ろうとする。そのためには闘うことも恐れない」(136頁)。お上に従順な奴隷根性の日本人は明治以降の国家主義が作ったものと言えるだろう。
内容(「BOOK」データベースより) 平凡な25歳のサラリーマン、大森連はツーリングに出かけた先で道に迷い、滝の裏に落ちてしまう。目覚めると、そこはなんと天明6年の武蔵国中郡青畑村―!?時次郎とさな兄妹の許に身を寄せ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困等、江戸の過酷な現実を目の当りにしていく連。天明の大飢...続きを読む饉のさなか、村の庄屋が殺害される事件が起こり、連は思い悩みながらも自らの運命を切り拓いてゆく―。感動の長編時代小説! 令和2年5月12日~14日
連が江戸時代の人間らしくなっていくのをみてなんだかしみじみとした気持ちになった 個人的に時次郎がかっこいい。
タイムスリップもあるが江戸時代の農家の生活が描かれる。歴史に名を残さぬ人々の生活を感じることができる。
終盤の落としどころは、まぁ仕方ないかという感じではあるけれど、途中は面白い。後半は連載だったから仕方ないだろうけどバタバタした感じ。スイスイページをめくれる。
25歳の平凡な青年が江戸時代の農村にタイムスリップするという、宇江佐作品の中では異色の長編時代小説。 青年の視点で語られる贅沢と退廃に満ちた生活。一方で江戸時代での生活を礼讚する訳ではなく、特に飢饉を迎えて農民が鬼畜の如く変貌するさまは恐怖を覚える。このあたりのバランス加減が、宇江佐さんの巧さを感じ...続きを読むる。 気になっていた「さな」の出来事も、ラストで納得。普段、時代小説を読まない人にもお薦めできる作品である。
江戸時代へのタイムスリップものですが、行きついた先が 農村というあまりない設定です。 しかも、天明の大飢饉の年。過酷な農村の実態を目の当たりにしながら現代に戻る望みを捨てずに必死で生きる主人公の姿勢には好感は持てたけど、後半のさなさんのあたりの主人公には納得がいかなかったです。太助が戻ってきたことに...続きを読むも。 現代の生活があるのはこうやって身を粉にして働いてきた人々のおかげなのですね。
過去にタイムスリップする物語は多いけど,なぜか主人公が歴史音痴っていうのが定番.だけど本作はその点が違ったので新鮮でした.本を通していかに恵まれた境遇にいるのかを実感することも有意義だなと思う.最後は宇江佐さんらしい結末でほっこり&満足. 以下あらすじ(背表紙より) 平凡な25歳のサラリーマン、大森...続きを読む連はツーリングに出かけた先で道に迷い、滝の裏に落ちてしまう。目覚めると、そこはなんと天明6年の武蔵国中郡青畑村―!?時次郎とさな兄妹の許に身を寄せ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困等、江戸の過酷な現実を目の当りにしていく連。天明の大飢饉のさなか、村の庄屋が殺害される事件が起こり、連は思い悩みながらも自らの運命を切り拓いてゆく―。感動の長編時代小説!
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