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考える自我から出発したデカルトに始まり、カント、シェリング、ヘーゲル、ショーペンハウアーにいたる西洋の近代哲学。本書はその遺産の上に立ちながらも、哲学そのものがキリスト教の伝統にいかに制約されているか、独断論に終始しているかを示し、新しい哲学の営みの道を拓く試みである。アフォリズムで書かれたニーチェの思考の記録を、音楽のように響き、肉声が聞こえるような新訳で!
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Posted by ブクログ
永劫回帰、超人、ルサンチマンなどの概念を生み出したことでも知られるニーチェだが、 なぜニーチェが、どうゆう理由で、それらの概念、価値を創り出したのか? それを良しとしたのか? この本ではそれらのワードはまだ出てきてはいないが、その結論に至るまでの思考の変遷をニーチェと共に追体験することが可能な本だ。...続きを読む 結論が正しいかどうかの議論とは別に、 その結論に至るまでの道筋に対峙していくことができる。時代を超えて。 それが古典の醍醐味である。 善悪の彼岸というタイトルのこの著書は、 過去から作り上げられてきた良し悪しという価値基準をぶち壊しにかかるニーチェの精神の奮闘を共に味わうだけでなく、参加することができる。 それほどに読者に何かを叩きつけてくる激しさをもった書。 まったくもって新しい。
ニーチェは初読。新訳かつ、原文では自明であろうが訳すと何を指しているかわかりにくくなる箇所は本文中で補足されているので読みやすい。用語や人物の注は巻末にまとめて。もう少し解説が欲しいところもあったが、1冊の文庫にまとめるのであればこれくらいが限度か。 序盤はニーチェの姿勢をわかっていなかった為、本...続きを読む音なのか皮肉で言っているのか掴めないまま読み進めたが、アフォリズムという断章を積み重ねる形式で記述されているが故、個々の内容の意を汲むのはそれ程難しくはなかった。ただ後書きにあるように断章間を紡いで真意を読み取ることまでできたかは甚だ怪しい。 上辺のみの理解で感想を語ることになるが、選民的貴族主義的な傾向はその後訪れる20世紀を知る者からすれば危うく感じる。それでも畜群道徳(本文中ではこの訳としては出てこない)に関するくだりは、21世紀の今も余りに低次な同調圧力として残存していることを思いださせて身にしみる。キリスト教批判、デカルト、カントらの哲学をも独断論的と評したことは当時どれほどの衝撃だったのだろう
非真理とは生の条件であるのに、その真理を追究しよう時点で哲学とは善悪の彼岸に立つ行為なのだ、と言うところから本書は出発する。哲学だったり宗教によって導き出された“真理”に固執した人々は深淵に取り込まれるか、家畜のような生き方を引き受けることになる。家畜のようになった人々は絶対的指導者を欲し深淵に取り...続きを読む込まれた人は落ちた世界で聖者とならざるを得ないかもしれない。ヨーロッパ史を考慮すると、頷かざるを得ない示唆に富んでいた。あと、PPはこの本の解釈するための物語だったのでは?!ってくらい理解を助けられた。
久しぶりに知的興奮をありありと感じた。 「真理」をあらかじめ設定した上で語り始めることの欺瞞。 すでに決まっている判断基準によって物事を分類する事への嫌悪。 「善悪の彼岸」へいくには、この世の中はだいぶ窮屈だ。 われわれは、「独立不羈な者」にならなくてはならない。
ニーチェの好んだアフォリズム形式。 短い断章ほど、ことばが力強い。 印象に残ったことば。 「高き人間を作るのは、高き感覚の強度ではなく、持続である。」 「男の成熟、それは子供の頃に遊びのうちで示した真剣さを取り戻したということだ。」
近代、特に西洋形而上学の伝統を根本的批判的に捉え直したいと思った時、ニーチェはいかに評価するかはともかく必ず通らなければならない道だと思う。西洋形而上学の形式としての体系に対する断章形式、高貴さの称揚… 近代に対して巨大なアンチを突きつけるニーチェの思考は、理性を超越した領域において、魂を揺さぶって...続きを読むくる。
これほど多くの気づきを与えてくれる書物は、自分的に「功利的理性批判」以来だ。凄まじい洞察力。徹底したアウトサイダー。いろんな本でニーチェ像を読んできたが、それらが全て陳腐な感想文に思えるほどの衝撃を受けた。そして、陳腐な感想文を自分も書きたい衝動に駆られている。書きたくなってしまう魔力がある、この本...続きを読むには。困ったもんだ。。
権力が横暴を極め、富裕層はひたすら自らの富を蓄積することだけを求めているような時代。ルサンチマンではなく、もっと強靭な個の思想を持つことが求められているような時代だからこそ、ニーチェは読み直されなければならないと、内なる声が教える。
遠近法により、哲学や道徳の絶対価値を批判し、秩序や善悪の判断を捨て、解釈だけがある新しい哲学について論じた本 光文社古典新訳文庫 ニーチェ 善悪の彼岸 「真理を女性と考える」という軽妙な序文から始まるが、「哲学の暴力」「悪循環の神」「家畜の群れとしての人間」「道具としての人間」「多くの人...続きを読むと同じ意見をもつ悪趣味」など ニヒリズムな言葉の数々に驚く 道徳を哲学の初期段階と位置付け、道徳を復讐、欺瞞、強制と結びつけるような過激な表現が多い 「生そのものは本質において、他者や弱者をわがものとして、傷つけ制圧することである」
「ツァラトゥストラ」よりは、その意味するところが明瞭だった。哲学批判や、生の本質が平等ではないなど、鋭い指摘があった。訳は読みやすかった。女性については、なぜここまで保守的なのだろうか。
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