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Posted by ブクログ
現代の地方都市は、かつての田舎にあった煩わしい人間関係はなく、ショッピングセンターで匿名の買い物をし、好きな家族や友人とだけの関係だけで暮らして行くことのできるほどほどパラダイスであるという説。若者は積極的に都会へ出ようとはせず、また経済的に出ることもできない。そういう環境の中で、中途半端な田舎である地方都市は、都会よりもド田舎よりも他者への想像力の欠けた場所になる。
著者の研究対象は岡山県であるが、自分の知る静岡や茨城の都市も似ている。描写される郊外の国道沿いにチェーン店が立ち並ぶ風景は、映画の『悪人』の舞台とも重なる。地方に住む若者たちの(今は見えないが予感されている)孤独は、深刻なものがある。どうつながるべきか、地方に住む者の一人として考えていきたい。
Posted by ブクログ
1.若者と余暇
ショッピングモールなどにより、余暇の満足度を高めている
ちょうど良い感じになっている
2.若者と人間関係
地元の人間関係中心
3.若者と仕事
やりがいは低いが親との同居により金銭面は満足だが、永続するものではない
4.地元が若者に愛されるまで
自分らしさを獲得できる場所
不安定な世の中を生き抜くため、地元の仲間の存在
5.ポスト地元の時代のアーティスト
新しい公共の構築にはポスト地元の地元のアーティスト
自分らしさは関係性にあり
6.新しい公共のゆくえ
ギャル的マネジメント
身近な人間関係の多様性に意識的で、同質的な仲間集団に対する愛着心は強いながらも異質な他者とのコミュニケーションを厭わず、謙虚に集団をまとめる仕切り方のこと
うちにこもる若者を外に引き出すコツを導く鍵
同化から統合へ
Posted by ブクログ
社会学者の著者が、岡山での社会調査をもとに、リアルな地方社会における若者の姿を描き出す。
現在篇では、1990年代以降のモータライゼ―ションが、現在の地方の若者の生活と満足度に大きな影響を与えていると指摘。1つは、余暇面で、大型ショッピングモールが立ち並ぶ郊外が、地方の若者にとって「ほどほどの楽しみ」を与えているという点。もう1つは、人間関係の面で、家族と同世代の仲間だけで構成される、地域社会における煩わしい人間関係を排除したノイズレスな人間関係が、若者にとっての地方都市の魅力を高めているという点である。一方、地方の若者たちの仕事に対する満足度は著しく低く、若者の多くが仕事に対する満足度の低さを仕事のやりがい(精神面)と親との同居(金銭面)によってカバーしていることを指摘している。
過去篇・未来篇では、1980年代~2010年代を代表する(と著者が考える)Jポップアーティストの楽曲を分析することで、若者の自分らしさを巡る心性の変化を分析している。1980年代、若者の自分らしさは、社会への「反発」により担保されており、若者にとって地元とは、退屈な日常を象徴するもので、魅力的なものではなかった。1990年代、「大人の世界」の安定性が崩れ、若者の自分らしさは、夢を叶えようと努力することにより獲得されるものとなったが、努力の称揚は競争による「勝ち組」と「負け組」を生み出し、若者たちは「人と人との関係性」によって自分のアイデンティティを確保する方向へと向かった。2000年代、モータライゼーションの完遂は「世界から自分たちを守ってくれる楽しい地元」を出現させた。
2010年代、「ポスト地元の時代」のアーティストは、「他人のことは分からない」という前提を持ちながらも、「他人とぶつかり合いながら自分たちを高めていく」という新しい世界観を提示し、「他者との出会いのなかで試行錯誤する自分らしさ」という自分らしさの新しいモードを生み出した。社会の安定性の崩壊は、画一的な生き方の押しつけから若者を解放したが、同時に、必要不可欠な公共性さえをも喪失させてしまった。この状況を打破するための「新しい公共」の構築には、「ポスト地元の時代」のアーティストに見られる姿勢が求められていると指摘。また、「新しい公共」の構築への鍵として、「ギャル的マネジメント」(身近な人間関係の多様性に意識的で、同質的な仲間集団に対する愛着心は強いながらも異質な他者とのコミュニケーションを厭わず、謙虚に集団をまとめあげていくような仕切り方)を挙げている。そして、現在「こもっている」若者は、「分離」の段階にあり、既に「統合」に向けた準備ができているのではないかと指摘し、「こもってないで外に出ろ」と声高に叫ぶような、社会の他旺盛に鈍感で未だ「同化」の段階にある大人たちより若者のほうが「新しい公共」に近い場所にいると言えるだろうと述べている。
いかにも社会学という感じの本。インタビュー調査に基づく現在篇は、自分と同世代でありながらも、自分自身はあまりその文化になじんでいない「地方の若者」のリアルな姿を知るのに有益であった。一方、過去篇・未来篇は、もっともらしいことを書いているが、著者の恣意的な分析・主張になっており、客観性に乏しいのではないかという印象を抱かざるを得なかった。取り上げられているJポップアーティストが、それぞれの時代を代表するものといえるのかというところから疑問がある。
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