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Posted by ブクログ
自らKY、ずれている、という森達也氏。その資質が、オウム真理教を内側に入って追った『A』や、放送禁止歌やエスパーなどの一風変わった対象のドキュメンタリの作成につながってきたのではと解説する。その森さんのエッセイ集。
エッセイ集なので、対象を絞った、その中で悩み抜く森さん特有の魅力はこの本にはない。もしくは薄い。
この本の中でも死刑制度や、天皇制に対するメディアの自粛(に代表されるメディアの変質)などへの言及は、すでにどこかで聞いた既視感があるが、きれがある。きれとは、ずれだ。
メディア批判も相変わらず。ここが著者の設定するプロブレマティックの中心にあるからだ。メディアが持つ力に対して、権力ではなく権力性だと主張する。権力とは認めない、と。なぜならメディアは自らの力に無自覚であるからだと。そして、これが大事なのだが、「権力を権力たらしめるのは自覚だ。メディアにはそれがない。だからこそ無軌道になる」と指摘する。いっそのことメディアが権力であればまだしもよかったということも多いのかもしれない。
面白くないわけではないが、森さんの著作を読むのであれば、『A』シリーズや『エスパー』シリーズ、『死刑』に関連するシリーズなど、もう少し骨のあるものをお薦めしたい。もう読んだのであれば、これも。
Posted by ブクログ
メディアのオウム事件以降の機能停止により、群れる羊度が高い日本人は危険な戦前と変わらない体制と同じ状態にある。戦争は高揚した危機管理意識からしか生まれない。すなわち仮想敵を作らなければ安心できず、自衛を理由に戦争を仕掛ける。優しさや善意が自衛の意識と融合しながら暴走する。メディアはそれを止めるのではなく、加速させる。厳罰化、監視社会は、メディアと権力の親和性の結果。
裸の王様は周りが普通ではなかった。
メディアの思い上がりはこれまでの自分の考えと全く同感。戦争に対する考え、現代社会が気付かないうちに危険な方向に暴走する考えは新鮮、かつ説得力がある。
Posted by ブクログ
本書は、物・事の見方を変える方法論だったり、思考方法だったりを期待して
読み始めると、ちょっと期待はずれになる場合があります。内容は、そうなんですが
科学的、学術的な感じではなく、筆者自身の経験を元に、さらに、短編集のような
感じなので、エッセイを読んでいる感じに似ています。その中で、視点をずらす方法
仕方を学び取るって感じですね。
内容は、上記にも記載しましたが短編集の形態をとっていますので、一貫性を
述べる事は難しいと感じていますが、それでも、ベースとなっているのは、
オウム真理教問題を発端にした、メディア批判でしょう。つまり、視点をずらす
という事の最初の階段は、メディアを信用しない事。これに尽きます。
そして、本書で学んだポイントは、
1.メディアは前提として、フィクションである事
2.メディアは多面的な世界や現象への一つの視点に過ぎない事
3.わからない事の大切さ
の三点ですね。これは至極当然事なので、学んだと言うよりも、再度学んだという言い方が
合っている気がします。なにが真実で、なにが現実なのか。なかなか、それさえも
探し出すは難しいですからね。
また、本書を通じて、「自分の弱い部分を再認識させられる」のが、結構苦痛であり、
新鮮さを感じました。視点をずらすという事は、筆者の言葉を借りれば、「AKY」
つまり、あえて空気を読まない事。まぁ、それが論理的に考えれば普通な事という状況が
多いですが、なかなか実行するのは難しい・・・・そう考えてしまう自分の弱さ。
自分を省みるちょっとした良い時間になりました。本書において、
正しい事を正しくできない非力さを再認識した事が、一番学んだ事かもしれません。
Posted by ブクログ
テレビ・新聞等、特に大手メディアは物事の一面に光を当てているに過ぎない。ということは多少賢い人間なら誰でも了解する事実だろう。しかし、世の中にはそれが絶対正しいと思っている頭の固い人が想像上に多いようだ。正しい正しくないという2元論がよくないとはいわないが、(そもそも、いい悪いというのも2元論だ)その方法だと、とんでもなく間違った方向にみんなで突っ走ってしまう可能性がある。それは過去の歴史を鑑みれば、火を見るより明らかだ。(明らかに誰が考えても了解できるような場合を除いて)それより、70%正しそうだとか、これは保留しておこうといった態度を取っておいたほうが懸命だろうと個人的には思う。視点をずらすというのは、テレビばかり見てると不可能だろう。読書を通してこそ、参照項が増えているために、複眼的な思考ができるようになるのだ。
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