陸奥爆沈

陸奥爆沈

小説・文芸
649円 (税込)

3pt

連合軍の反攻つのる昭和18年6月、戦艦「陸奥」は突然の大音響と共に瀬戸内海の海底に沈んだ。死者1121名という大惨事であった。謀略説、自然発火説等が入り乱れる爆沈の謎を探るうち、著者の前には、帝国海軍の栄光のかげにくろぐろと横たわる軍艦事故の系譜が浮びあがった。堅牢な軍艦の内部にうごめく人間たちのドラマを掘り起す、衝撃の書下ろし長編ドキュメンタリイ小説。

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陸奥爆沈 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    昭和18年6月、瀬戸内海の桂島泊地で謎の爆発で沈没した戦艦陸奥。なぜ事故が起きたかを丹念に検証する作品。

    最先端の技術を用い、国と国の争いで抑止力として重要な存在。浮かべる海城の戦艦。しかしながらそれを動かすのは人。帝国海軍の過去の歴史から同種の事故が頻発していることを筆者は知る。

    技術の極致、攻撃力の象徴の戦艦を支えたのは生身の人間。明治維新から敗戦まで、大日本帝国を支えた下級兵士たち。人々の意図を超えて暴走する機械。

    吉村昭ならではのカタストロフィ物を堪能できる作品でした。

    0
    2024年03月05日

    Posted by ブクログ

    昭和十八年六月八日、戦艦陸奥爆沈。
    死者、千百二十一名。
    筆者の努力により、次々に明らかになる謎。
    果たして、ひとりの軍人による行為で、一隻の戦艦が瞬時に沈没したのだろうか。
    今も残る謎。
    証拠は、塵となって消えてしまった。

    0
    2019年08月10日

    Posted by ブクログ

    戦局が悪化をたどっていた昭和18年6月8日正午頃、広島県柱島泊地に停泊中の戦艦「陸奥」は突如大爆発を起こしその場に瞬く間に沈んだ。
    それから26年の歳月を経て、本書は陸奥爆沈の真相に興味を持った著者による執拗な探求の道筋を辿った渾身のドキュメンタリー小説であり、歴史の暗部に光をいれた記録文学の秀作である。
    最初著者の関心は低調である。しかし、陸奥爆沈の資料を捜索し続けている内に、著者は何かにとりつかれたようにすみずみにまで目配りを行い、活動的かつ執念を燃やして真相に迫る凄みが次第に露わになってきて、たんたんと描いているはずなのだが、読んでいるこちらもその迫力に圧倒されぐいぐいと引き込まれていった。
    「陸奥」完成までの経緯から始まり、爆沈後の周囲の動きや、査問委員会の行動、大規模な箝口策、三式弾のこと、そして、困難を極める潜水調査と、緊迫感ただよう状況を刻々と伝えながら、次第に著者の筆致にも熱がこもってくる。その中で査問委員会が持った大きな疑惑が放火説であることを知った著者は、今度は日本海軍の歴代の爆沈事件にまで視野を広げていく。そこにみる構成と視点は、まるで社会派推理小説を読んでいるようであり、著者の思考過程をトレースするかのように展開するその「報告」は、まるで一緒に事件を追っているかのように錯覚させるものであって、なかなか見事な手法であったと言える。
    冒頭で著者はいう。別に兵器である軍艦には興味はない。だが、戦艦武蔵にしても(陸奥もそうだが)、フネを作り上げ動かすために結集した人々に戦争と人間の奇怪な関係を見出し、それほどの知識、労力、資材を投入したにもかかわらず、兵器としての機能を発揮しないまま、多くの犠牲者とともに沈んだ構造物に戦争のはかなさを感じると。
    そうした著者の視点は事実をたんたんと積み重ねながら、軍艦そのものよりも、それを動かす人間とその背景、組織の中の泥臭い人間関係の狭間で弱さを露呈する人間そのものの行動を明らかにすることであり、そういう意味では本書は陸奥のみならず軍艦爆沈事件に関係した人々のヒューマン・ドキュメンタリーであったと言えるだろう。
    実は本書の内容は、中学生の頃に読んだ『海軍よもやま物語』シリーズ(光人社)の中で、今ならコピーライトに抵触するのではないかと思えるほど詳細に紹介されていたのでかなりの部分は知っていて、いまさら感もあったのだが、内容はともかくとして、その鬼気迫る事件真相究明へのアプローチには圧倒されとても面白かった。最近は当時の日本軍機や軍艦などが映画やラノベ、ゲームなどで取り上げられてまたブームになっているようだが、軽薄な物語やキャラに熱中するのも良いが、一過性のブームに踊らせるだけではなく、その背後の生きた「人間」や無機的な兵器の行く末にまで思いをいたして欲しいものである。

    0
    2014年04月15日

    Posted by ブクログ

    組織論として読むとき戦慄を感じる。
    極端な話、組織内の一人の不満分子が何千人もの命を奪い組織を破壊させることができる。
    たとえ他のどんな組織より規律が厳しくと統率が執れていたとしても。また、組織が危急存亡の時で困難に取り組むべき状況にあったとしても。
    陸奥爆沈という結果に対して、その原因はあまりにも些細なことに感じる。
    本書の結論は憶測にすぎないが、想像上確かにありうべきことだった。

    そしてどのような組織でも同じリスク、可能性を秘めている。
    組織が直面し続ける宿命ととらえるか、
    いつか克服すべき悠久の課題ととらえるか、読み手の置かれている組織内のポジションによって読後の感想が様々分かれるのだと思う。(個人的には、根本的に克服すべき課題だと思うのですが楽観的でしょうか)

    内部告発のチャンネルが増えて容易になっている現状を考えれば、昔よりも今の方が組織は内部リスクを多く抱えているはずであり、本書はより注目されるべき小説のはず。

    0
    2017年06月17日

    Posted by ブクログ

    あの潮の流れが入り組んだ瀬戸内海で1000人超の死者が出る大惨事。戦時中の海軍の膝下で起こったこの出来事を海軍がいかにして機密事項にしてゆくのか。
    浜で遺体を焼くシーンが印象的でした。後半筆者の独特の切り口から、ある仮説に至る。

    0
    2013年06月03日

    Posted by ブクログ

    吉村昭にしては珍しく、ドキュメンタリー形式の小説。
    昭和18年に起きた戦艦「陸奥」の爆沈事件を、それを調べる著者という立場から解き明かしていく。
    「陸奥」の話だけでなく、他の戦艦の爆沈事件の歴史を追っている点が興味深い。また、歴史上あった戦艦爆沈事件の原因が、どれも人間が意図してなしたことだという事実に驚く。
    戦艦の爆沈事件をとおして、戦艦という器に入っている1人ひとりの無名の人間にスポットライトをあてている見事な小説である。

    0
    2013年05月06日

    Posted by ブクログ

    吉村節炸裂!すごい本読んだ!導入部から秀逸です!!
    風化の波にさらわれて消えてしまいそうな真実・歴史の暗部を、綿密な取材で掘り起こしていく著者のその真摯な姿勢と執念が見事に結実しています。
    陸奥爆沈を通して描かれる社会・軍隊のひずみと人間の心の歪み。
    著者なりの、陸奥とともに沈んでいった魂への救済であり鎮魂歌であった筈が、それだけではなく、著者の取材とともに意外な真実が明らかになっていく。その様子は上質なミステリーのようだった。
    なんとも言えない読後感にそのままもう一度読んでしまった。
    吉村昭は本当にスゴイ!!

    0
    2010年12月17日

    Posted by ブクログ

    昭和18年、岩国市柱島泊地で発生した戦艦「陸奥」の謎の大爆発。記録文学の第一人者が、昭和44年に残存する資料やインタビューを通じて、謎解明に挑む。地道な調査を通して見つけ出した事実とは?意表をつく展開で一気読み。これぞドキュメンタリーという傑作

    0
    2023年12月31日

    Posted by ブクログ

    ドキュメントタッチの作品で、著者自身が取材を進めていく様が描かれている。旺盛な取材力で、この時期に後世に残してくれたのはありがたい。戦艦が、多種多様な人間を詰め込んだ容器と形容したのは慧眼。2021.3.6

    0
    2021年03月06日

    Posted by ブクログ

    陸奥の爆沈原因の探求よりも、それを探るうちにドンドン出てくる明治から昭和にかけて海軍軍艦が起こした数々の爆発事件。その発生状況や原因および海軍内での処理方法が興味深い。

    0
    2018年11月28日

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