スローターハウス5

スローターハウス5

小説・文芸
1,210円 (税込)

6pt

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主人公ビリーが経験する、けいれん的時間旅行! ドレスデン一九四五年、トラルファマドール星動物園、ニューヨーク一九五五年、ニュー・シカゴ一九七六年……断片的人生を発作的に繰り返しつつ明らかにされる歴史のアイロニー。鬼才がSFの持つ特色をあますところなく使って、活写する不条理な世界の鳥瞰図!

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スローターハウス5 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    私が必要としていた言葉がたくさん見つかった。
    今この瞬間も起きている愚かで不条理で納得のいかないことと、愛おしくて満ち足りた日々の一瞬一瞬を、どう共存させたらよいのか。どう考えれば納得いくのか。それは妥協のようにも聞こえるけれど、戦争体験者がもがき苦しみたどり着いた真理だと思う。決して諦めではなく、この瞬間を生きることに集中するということ。

    「美しい瞬間をながめながら、われわれは永遠をついやす」

    素晴らしい作品で、私のベスト10に入りました。
    もう一度読もう、原書も読もう。

    日本に生まれ育った自分としては、ドレスデン爆撃を広島の原爆と比較して語られることにモヤっとするけれど、伊藤典夫さんの後書きでそれはのみこめた。死者数ではなく、そこにあった一人一人の美しい瞬間に目を向けることを忘れないようにしたい。

    0
    2026年09月06日

    Posted by ブクログ

    テッド・チャンの「あなたの人生の物語」を元にした映画「メッセージ」のヘプタポッドを思い出しながら読みました。

    時間を、線形ではなく全体として一望するという感覚は、決定論や運命論的で自由意思の無い冷酷なイメージもありますが、この小説では一枚のペルシア絨毯の模様を、繰り返し愛おしく撫でる様な優しさを感じました。

    この小説はSFなのか、妄想か、後遺症か。
    過去、現在、未来様々な出来事を断片的につないだ
    ユーモラスな雰囲気とコミカルさの奥に、そう書かざるを得なかった悲惨さと、嘘をつかない為に虚実織り交ぜて書かれた真摯さを強く感じました。

    戦争や自然災害、病気、別離などの困難に直面した際に感じる「なんで私が」という気持ち
    原因を掘り下げても立ち行かないような時、
    「So it goes (そういうものだ)」というのもひとつの振る舞い方だと思う。



    0
    2026年02月25日

    Posted by ブクログ

    今日は平和だ。ほかの日には、きみが見たり読んだりした戦争に負けないくらいおそろしい戦争がある。それをどうこうすることは、われわれにはできない。ただ見ないようにするだけだ。無視するのだ。楽しい瞬間をながめながら、われわれは永遠をついやす──ちょうど今日のこの動物園のように。これをすてきな瞬間だと思わないかね?

    0
    2026年02月16日

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦時に著者本人が体験した出来事をSFを交えながら半フィクション小説として書いた作品。コミカルでユーモアなストーリーの中でも戦争は非常に冷たく、そして自分が死ぬとも思わず淡々と命を落としていく登場人物達が戦争の持つ暴力性をより際立たせている。

    「思うんだがね、あんたたちはそろそろ、すてきな新しい嘘をたくさんこしらえなきゃいけないんじゃないか。でないと、みんなは生きていくのがいやんなっちまうぜ」

    というセリフこそがヴォネガットが小説を執筆する大きな力になっているのだろう。

    0
    2026年01月21日

    Posted by ブクログ

    随分前になるけど、これ読んだあと、東欧あたりを旅したときに、ドレスデンを訪れた。とても美しい街だった。教会の戦争を伝える傷跡なども見学したなぁ。

    0
    2025年04月20日

    Posted by ブクログ

    ごく稀に、ほんとうに元気…というよりも逆に追い込まれているのか、いまここに生きていることを実感するために、どう生きるか考えるために、生きること、死ぬことを描いた小説を、無性に読みたくなるときがある。(とても傲慢な感覚なので、言葉にするのがとても難しいです。ご不快に思われたら申し訳ありません。)

    タイトルと、そのタイトルの由縁、戦争、捕虜、ドレスデン大空襲、それを描いたSF小説。

    あらすじを読んで、このテーマがどう絡み合うのかがずっと疑問だった。ずっと読んでみたかったけれど、読むとくらってしまう性分なので怖気付いて敬遠していた。でもふと、読みたくなって手に取った。

    戦争がはじまったとき、あなたはまだ子供だった。戦争で犠牲になるのはいつも子供達。第1章でメアリの語る憤り、そして「ジェノヴァの善良な人びと、万歳!」
    善良な人びと、万歳。愛すべき隣人たち。
    すべてが失われた焼け跡で鳥がいう。
    何度も何度も、この部分を読み返してしまった。

    ドレスデンの大空襲は、ケストナーの戦争日記にてお母さんからの手紙で出てきたような気がする…

    とにかく、ありのまま 自分の手で 試行錯誤しながら…悩み抜いて…でも時に軽やかに… そんなふうに書かれていて、読んでいてなんだか、ふわふわと気持ちが軽くなるシーンや、ビリーの感情に呼応して泣き出してしまうシーンや、なんとも滑稽ですこし笑ってしまうシーンや,切なくて寂しい、でも永遠なんだ、と安心するようなシーンが
    痙攣的に訪れて。なんだかよくわからないんだけれど、とても、読めてよかった、と思えた。
    "そういうものだ"と繰り返されることばは、
    諦めのようでいて、不条理なようでいて。軽やかなようで、ずしんと重く響くような。
    起きたことなんだ、そういうものなんだ、そこに、やるせなさを感じるということは そういうものだ、と理解しようとしているようで、ぜんぜん納得できていないように感じるのだ。
    日々感じている不条理さ、不甲斐なさと、実際にそのことが自分の身の回りではじまった その時に自分はどう生きるのかどう振る舞えるのか、そういうことを日々考えている。そういうことを考えて気が滅入ったり、落ち込んだりする私に、ビリーが、ヴォネガットが、寄り添ってくれた。そう、そう思えた。

    0
    2025年04月03日

    Posted by ブクログ

    ビリー・ピルグリムは検眼医
    彼はけいれん的時間旅行者で、つぎの行先をみずからコントロールする力はない。したがって旅は必ずしも楽しいものではない。人生のどの場面をつぎに演じることになるかわからないので、いつも場おくれの状態におかれている、と彼はいう。

    そんなビリーはトラルファマドール星人に拐われ、トラルファマドール星で動物園に入ることになる。

    そして人生のなかばを過ぎるころ、トラルファマドール星人から助言を受けた。「幸福な瞬間だけに心を集中し、不幸な瞬間は無視するように、美しいものだけを見つめて過すように、永劫は決して過ぎ去りはしないのだから」と。

    0
    2025年02月04日

    Posted by ブクログ

    決してわかりやすい物語ではないのだけど、まるで水を飲むようにスーッと入ってくる。そんな文章だった。
    トラルファマドール星人の時間感覚を受け入れられる人はスーッと読めると思う。
    その時間感覚ゆえの世界の捉え方、「そういうものだ」と全てを一時的なものとして受け流していく生き方は、地球人の感覚からすれば投げやりにも見える。
    それでも、数えきれない不条理が、トラルファマドール星人のフィルター(ビリーは地球人だけど)を通して語られることで、一種の癒しを得た気がした。

    0
    2024年11月18日

    Posted by ブクログ

    ヴォネガットの半自伝的名作。
    ありとあらゆる理不尽を「そういうものだ」と一言で言い表すセンスに脱帽。
    戦争を肌で体験している人にしか描けない境地。

    0
    2024年01月04日

    Posted by ブクログ

    再読
    2026.3.27
    言葉で表せない戦争という惨劇の前でただ立ち尽くしてしまう感覚 
    繰り返される「そういうものだ」 この後には「と言うしかない」と続くのではないか
    ラスト付近のこの言葉は無力な個人が、それでも生きていくための祈りだと思う
    「神よ願わくばわたしに変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを見分ける知恵をさずけたまえ」


    2022.11.12
    人間の自由意志を否定したくなるほどの大量の死をもたらす戦争をトラルファマドール星人式の世界認識で追体験する。彼ら曰く全ては同時に存在しており、死は一時的なものなのである。

    0
    2022年11月12日

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