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Posted by ブクログ
死海のほとりでイエスの足跡を辿る現代の旅と、イエスが迫害されゴルゴダの丘で処刑されるまでの過去の物語を交差させながら、奇跡の人ではない新しいキリスト像を提示しています。
弱者のそばに寄り添いともに苦しむことしかできなかったイエス、しかしそのことは常人にはできないことであり、苦しみを抱えた人たちにとって大きな慰めであったのは間違いないと思います。
この小説は、遠藤氏ご自身が一生を掛けて答を求め続けた「信仰とは何か」という問いかけと氏が到達したそれへの答が示されているのだと思います。圧倒的な文章力できわめて構築性の高い物語が形作られています。
Posted by ブクログ
[希求の末に]近くに赴いたついでにエルサレムに立ち寄った著者は、大学時代から聖書を研究していた戸田に案内を依頼する。キリスト教に対する熱度は往時の頃と比べて衰えながらも、イエスの足跡を必死に探す著者であったが、戸田は行く先々で皮肉な笑いとともにその思いを跳ね返してしまう......。エッセイ的記述に聖書の物語を挟み込んだ作品です。著者は、本書をしてもっとも「その人らしい」と言われる遠藤周作。
遠藤氏が抱え込んでいた霧がかった心情を把握するために極めて適した一冊だと思います。個人的には遠藤氏はキリスト教の教え(特に無償の愛という点)そのものには共感を抱きつつも、現世に見られる数々の問題に対して人一倍の敏感さを備えてしまったが故に、その教えを最後まで信じきれなかったのではないかと。どこまで普遍化できるかは判然としませんが、遠藤氏の問題意識は極めて「日本的」「近代的」と言えるのではないでしょうか。
純粋に物語として引き込まれることができるのも本書の魅力の1つ。人間の弱さを見せ続ける「ねずみ」と呼ばれた人物に関するエピソードは読む者をして深い思索に誘ってくれるはずです。なお、本作は『イエスの生涯』という作品と裏表をなしているのですが、個人的には『イエスの生涯』を読んだ後にこちらを読むことをオススメします。
〜付きまとうね、イエスは。〜
(涙を誘うものではなく)じーんと来る読書でした☆5つ
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