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数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマー奈良原和志。彼が初めて目指す八〇〇〇メートル峰は世界第四位のヒマラヤのローツェ、しかも最難関の南壁ルートだった。そこは伝説的登山家トモ・チェセンの“疑惑の登頂”の舞台、因縁の壁でもあった――名もなき日本人がいわれのない妨害にも屈せず、世界屈指の大岩壁に単独登攀(ソロ)で挑む本格山岳小説。
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Posted by ブクログ
そうか、笹本稜平は亡くなっていたのか。 この人の男性と女性の会話の感じが少し苦手なのだ。そもそもすべての会話がなんというか不自然というか前時代的な感がある。とはいえ山岳本は好きなので読んでしまうのだが。
ソロで数々の難壁を初登頂してきた奈良原和志が、伝説的登山家の初登頂に疑惑を持たれた最難関のローツェ南壁に挑む本格山岳小説。 山岳冒険小説や山岳警察小説といった山を舞台にした小説は数多あるが、登攀自体にここまで的を絞った山岳小説は稀であろう。 ローツェ南壁登攀の前哨戦として、先輩アルピニストの磯村とと...続きを読むもに挑むローツェ・シャール縦走もリアル感がタップリ迫力のある描写で、著者もこのコースを経験したのだろうかとの思いがよぎる。 「単なる功名心や征服欲のためではなく、素直で謙虚な心で山と戯れる人びとが増えてくれば、人類はそれだけ豊かになるはずだ」との和志の思いは、作者の思いでもあるだろう。 「大事なのは心の中の真実ですよ。・・・必要なのは、自分が信じることができる真実なんだと思います」は、登攀ばかりでなく全ての事柄に当てはまる言葉。 3部作シリーズだそうで、残りもいつか読んでみたい。
ヒマラヤ、バルンツェの氷壁をソロで踏破した奈良原和志は一匹狼のアルピニストだった。仲間であり師である磯村に迎えられ、下山してからヒマラヤの登山記録を編纂しているエリザベス・ホーリーのインタビューを受けた。 大人数でチームを組み、大量の酸素ボンベや器材を活用して登る極地法が一般的な登山のイメージだが近...続きを読む頃は高山病のリスクを避けるため軽装で短時間での登坂と下山を目指すアルパインスタイルが主流と成りつつある。 他人と関わることを苦手とする和志としてはバディのスキルや判断決心の容易さから単独でのアルパインスタイルが性に合っており、合理的だった。 和志の夢である、世界第4位の高さでありながら実質高低差が3200mにも及ぶローツェ南壁の初単独登攀を実現するために、磯村からノースリッジ社の支援を受けることを提案された。1人の方が気が楽、孤独の中での集中力が最もパフォーマンスが発揮できるといった考えは次第に薄まり、周囲の期待を受け、仲間の支援があることが集中のための要素と思うようになってきた。 ノースリッジ社の担当の広川友梨、社長の山際、そしてローツェ南壁単独初登攀を疑惑ながらも打ち立てた先人トモ・チェセンを味方に付けローツェ南壁に和志は挑む。
無名のアルパインクライマー・奈良原和志がスポンサーや仲間を得て成長して行く様子は、読んでいて気持ちが良かったです。そしてマルク一味やネパール役人などダークサイドが存在しての攻防戦は、まさしく人間の性(さが)で、アルパインクライミングにおいても例外じゃないですね。 「大事なのは誰かがその頂に立ったと...続きを読むいう真実であって、それを信じることが登山という文化の高貴なモラル」の一文、なかなかシビアな課題だなと思いました。結局は「たとえ噓をつく人間がいたとしても、それは当人が心に恥を抱えて生きればいいだけの話」なのでしょうが、人間が不完全な以上、この課題は永遠に続きますね。
現代登山小説の完成版 アルパインスタイルにフォーカスを当てた小説。 実在する偉人が多く出てきており、とてもリアリティがあった。
良えよ。笹本君の久しぶりの山岳小説や。 駐在警察はイマイチやったもんなあ。テレビドラマもねえ。 マルクって奴が何するねんとハラハラしながら読み進んだが・・・チョット肩透かし。
ソロクライマー、奈良原和志。知り合いの磯村のパーミッションに相乗りし、アルパインスタイルで未踏の壁やバリエーションルートに挑戦している。 磯村の公募登山で一緒だったメンバーが日本の登山用具メーカーで広報をやっており、このメーカーのサポートをもらって、ローツェ南壁の登記単独登攀に挑戦する。 と、こ...続きを読むう書いてしまえば簡単だが、ソロクライマーの奈良原がすんなりサポートに承諾しないわ、ローツェにはなかなか挑戦できないわと、ストーリーが交錯する。
達成した瞬間で終わる。 まわりのその後はどうなるのか。 クライミングの描写は細かく肉迫してくるが、物語として、クライマックスのあとのカタルシスがなく、バサッと終わった感じ。
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