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原稿枚数1400枚に及ぶ渾身の大著が遂に文庫化!文学、メディア、芸能等の歴史を横断する、橋本治にしか書けないアクロバティックなチャンバラ映画論にして、優れた近代日本大衆史。
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Posted by ブクログ
チャンバラ映画を軸にしてたどる、日本人の文化史・精神史の後編。ネットでは毎日のように「映画は娯楽なんだから!」VS「創作とは政治なんだから!」の論戦が囂しく繰り広げられるが、その辺の答えはこの上下巻に詰まっている。というか、「日本的なエンターテイメントとは何ぞや」という問いの答えは全て詰まっている。...続きを読む ただ……。 橋本は「テレビは芸が無いヘタクソでも有名人になれるメディア(※要旨)」とテレビを蔑み、「1962年にチャンバラ映画は終わった」と断言している。要はテレビ時代劇を下に見ているので、その辺は割引いて考える必要がある。 実際のところテレビ時代劇とは、クリエイターや俳優が映画につづく新たな開拓地として情熱を燃やした、素晴らしいコンテンツだったのだから……。
著者自ら言っているように、かなり面倒くさい語り口なのですが、あっちにこっちに振り回されながらもページめくる手は止まらない、という本でした。チャンバラ映画を語るということが、青年ということを語るという第四講の立て付けが面白かったから、なのか。ひさびさに出会う橋本治節が、心地よかったから、なのか。観客と...続きを読む時代劇の関係を1964年のNHK大河ドラマの第一作「赤穂浪士」を持って"卒業試験”とする、とか「らしい」見立てと論理展開を満喫した感じです。まさに、あとがきで自ら徳富蘇峰の『近世日本国民史』に張り合って『近代日本国民史』というのは紙数の膨大さ、だけではないと思います。上巻の感想でも書きましたが、直前読書の「社長たちの映画史」との繋がりと、東映アクション映画としての「シン・仮面ライダー」との重なり、が必然的で、1986年の書籍が今、文庫されてたまたま手にしたことにテンション上がります。そんな個人的な体験だけでなく、ここで書かれている大衆芸能論は、Youtubeや TikTokでのコンテンツについての未来予測になっていることにも驚愕しています。橋本治って存在の唯一無二性である「好きであること」「論評すること」の螺旋階段に巻き込まれた時間でした。
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