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軽症なのに、なかなか治らない。怠けるつもりはないのに、動けない。服薬と休養だけでは回復しない「新しいタイプ」のうつ病への対応法を、精神科臨床医が、具体的かつ詳細に解説する。「自己愛」が発達する過程に着目し、これまで見落とされがちだった〈人間関係〉と〈活動〉の積極的効用を説く、まったく新しい治療論。
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Posted by ブクログ
「人薬」の偉大さに深くうなずく。対面エネルギーに勝るものはない。「どう考えるか」「どうするか」が、具体的で良い。
今までに読んだ著者の本(主にひきこもり関連のもの)は、今一つ患者を客体化・対象化するような著者の視線が気に入らなかったが、この本に関してはそういうことはなかったので印象が変わった。 ただ、人との関わりを通してうつ病(新型うつ病)が軽快したという事例がよくあったから他者とのつながりは大事だよね、という...続きを読む本書の主な主張に関しては、それって昔からある自助グループやセルフヘルプの考えと同じだし特に目新しいことでもないんじゃ?とも感じた。 最後の方に書いてあった、声楽のレッスンを行った結果うつ症状の改善が見られたという内容は面白かった。「身体のレベルでの自己愛の修復」が本当にあり得るなら自分ももっと運動とかしようかしら。
身近に新型うつ病の方がいるので、たいへん参考になりました。 メカニズム ・彼らの自己愛の脆弱さ。(生きていて良いのだ) 高いプライドと低い自信。 自己愛が低いので、他人も愛せない。 解決方法 ・自己肯定的になれるためのストーリー構築 ・①忘れる ②何か働くことでプライドを回復 ③毛づくろい(人薬...続きを読む) ・世間体は障害になりやすいのでご法度 ・挨拶、誘いかけ、お願いごと、相談事
著者は引きこもりが専門の臨床医 「うつ病に関して2冊目に読む本」として <第1章 現代社会とうつ病> 旧来のうつ病 ・重症・・・無気力、抑鬱 ・性格:責任感強い、執着気質→うつになって180度ひっくり返る ・きれいに治る 新型うつ病 ・比較的軽症 ・性格:他責的、問題回避的→うつになって強まる ・...続きを読む難治性 99年⇒08年 患者数が2倍以上に増加 生物学的には説明できない。「社会的」な要因 ・メディア ルーピング効果 ・「生存」の不安から「実存」の不安へ ・世間一般の心理学化 狂気の陳腐化、狂気へのセンサー過敏→軽症化 すれっからし、狂気へのセンサー過敏→難治化 操作主義、再帰性、マクドナルド化 コミュニケーション偏重主義と過剰適応 <第2章〜第4章> 薬物治療、認知行動療法→(対人関係療法)、環境調整 自己愛からレジリアンス(自然治癒力?)へ プラセボでも治れば結構 自己愛を補強するのが「人薬」 基本の人間関係は家族だが、人薬には家族以外の人間関係が大事 非特異的な人間関係(通りすがり)すら治療効果がある 自己愛「システム」固定的でなくダイナミック 中井久夫「治療文化論」 友人関係の変遷をたどった論文 「治療集団」的側面を持つ小集団 近代精神医学では熟知者による治療は禁忌だが、より原始的な社会ではそうも言っていられなかったはず。 <第5章〜第8章> 周りの人間は、まず何にせよ否定せずに受け止めてやる。 支援者を支援する→企業のラインへの支援 リワークプログラム・・・仕事が薬になる。活動が大事。 ベーシック・インカムには懐疑的。 生活保護はケアがあるので社会復帰するケースが多いが、障害年金を受給するようになると復帰困難。 収入だけでなく「生きる場」、社会とのつながりが必要→アクティベーション 似て非なるもの 気分循環症 境界性人格障害 対人嗜癖、行動化(自傷など)、他人を操作する傾向 →思い当たる人がいる。。。 発達障害 アスペルガーなど 安易に診断される風潮の反面、うつ病との誤診もある からだが大事・・・声楽療法、認知運動療法
家族以外の親しい人間関係を築くことの大切さを感じた 自我と自己の関係、自己愛からくる逃避がひきこもりなのだなと思った
軽症化しているのに治りにくくなっている新しい鬱病。その治療には引きこもりの知見が有効なのではないか、それは(適切な)自己愛と、それを元にした「労働」でもなく「仕事」でもなく「活動」を通じた人間関係である、という。なるほど。 斉藤環氏のこの独特な目のつけどころ、いいなぁ。 大雑把には理系/文系的な境界...続きを読むをまたぐ筆使いから、価値判断には非常に慎重であるところまで、耳を傾けようと思わせる。 booklogレビューの機能で本書からの引用をいくつか掲載したので読まれたし。
コフートの自己愛について、初めて認識でき、概要を理解することができました。 「自己ー対象」の関係から生きていく上で大切な様々な能力を取り込み吸収すること、 家族だけの関係では不十分だということ、など。 環境調整や、出会いのきっかけ作りなど、ソーシャルワーカーである私にとって、とても学びの多い一冊...続きを読むでした。 この本をきっかけに、環境調整についてもっと深めていきたいです。
傷つけないように管理する方法が主流になってきたため、小さな病が増加しているという。壮大な統合失調症患者は減り、日常でうつ病患者が増えている。現代的なうつ病について、どうしてなの?どうすればいいの?という問に、ある程度わかりやすく解説している。やはり、適度な距離の他者とのコミュニケーションは大切。そし...続きを読むて、それは長じてからでも有効だと、個人的には思う。
精神医学者や哲学者らの専門用語オンパレードでいささか読み解くには難解であり、辞書を引き引き読んだ。 著者はひきこもりの権威なので、それに焦点当てすぎの感はあったが、「人薬」と称して他者との関わりが治療に必要だとする理論は共感できた。 これは良書と呼べる一冊。
うつ病の改善、予防には、自己愛の形成、維持が大切で、それには「他者」の存在が重要で、「他者」とは、「他者性」を発揮できれば人である必要はなくて、「他者性」とは何かというと、自分にとって重要でありながら意のままにならないことだそうだ。 そこで、真っ先に思いついたのは、フットボールのクラブチームだった。...続きを読む 「意のままにならない」という言いまわしが気に入った。
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